
パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]
映画「パンズ・ラビリンス」の感想です。
ギレルモ・デル・トロ監督によるダークファンタジー。ギレルモ・デル・トロ監督といえば、最近だとNetflix映画「フランケンシュタイン」を公開して話題になりましたね。
めちゃくちゃ面白かった。
観たあとはなんとも言えない感情になるけど、そこも含めてすごかった。優しい世界ってなんだろうと考えさせられました。

映画「パンズ・ラビリンス」の見どころは……
- 終始不穏な空気感。
- トラウマ級のクリーチャーデザイン。
- フランコ独裁政権下での女性の生きづらさ。
本記事は2026年02月07日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
作品情報
| タイトル | パンズ・ラビリンス |
| 原題 | El laberinto del fauno |
| ジャンル | ファンタジー、ヒューマン、ホラー、アクション |
| 監督 | ギレルモ・デル・トロ |
| 上映時間 | 119分 |
| 製作国 | メキシコ、スペイン |
| 製作年 | 2006年 |
| 公開年(墨) | 2006年 |
| レイティング | 不明 |
| 好きレベル | ★★★★★ |
あらすじ
1944年、スペイン。オフェリアは、妊娠中で臨月に入った母親と共に、新しい父親である大尉のもとにやって来た。無理を押して長旅をしたからか、母親の体調は優れない。山中に身をひそめるゲリラ退治に勤しんでいる冷酷な大尉とも、オフェリアは相容れなかった。ある夜、オフェリアは妖精のような何かに導かれ、迷宮の守護神パンに出会う。パンから自身が魔法の王国の王女であることを聞かされ、それを証明するために3つの試練に耐えろと言われるのだが――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
オフェリア
(演:イバナ・バケロ)
妊娠中で臨月の母親と共に、新しい父親であるビダル将軍のもとへやって来る。が、冷酷な大尉を父親と認めることができずにいる。
カルメン
(演:アリアドナ・ヒル)
オフェリアの母親。妊娠中で、臨月に入っている。無理を押して長旅をしてきたため体調が優れず、医師から安静を言い渡されている。
ビダル
(演:セルジ・ロペス)
将軍。山中にひそんでいるゲリラを退治しようとしている。疑わしきはとりあえず罰する冷酷な性格。
メルセデス
(演:マリベル・ベルドゥ)
ビダルの家に仕えている使用人。オフェリアに寄り添い、親身になる。
パン
(演:ダグ・ジョーンズ)
迷宮の守護神。オフェリアに3つの試練を言い渡す。
ペイルマン
(演:ダグ・ジョーンズ)
2つ目の試練でオフェリアが出合ったクリーチャー。目を手に装着し追いかけてくる。
映画「パンズ・ラビリンス」の感想
映画「パンズ・ラビリンス」の感想です。子どもの頃に観ていたらトラウマになっていただろうなというシーンが多数。最高でした!
オフェリアとオフィーリア
まず、この映画の雰囲気、そしてオフェリアという名前を聞いて思い浮かんだのは、ハムレットのオフィーリアでした。有名な絵画にもなっていますね。ミレーによる、少女が川に浮かんでいるあの絵です。
あれはオフィーリアの悲劇を描いた絵ですが、なんかもう、いろいろと本作のオフェリアと重なる部分があって切なくなりました。そう思ってあの絵を改めて見てみると、本作のオフェリアと雰囲気まで似ているような気がしてくる。
ハムレット同様、本作はオフェリアの悲劇を描いていました。間違いなく、ダークファンタジーの最高傑作だと思う。
優しくない世界
この世界は、オフェリアという少女にとって優しくない世界だった。
実父は死ぬし、新しい父親は誰から見ても冷酷だし、大好きな母親は「父親を失望させるな」と言うし。そういう時代だと言われればそれ以外にないんですけれど、戦争だのゲリラだの、少女には関係ない。オフェリアは現実から逃げ出したくなった。
少女の世界を大人が壊している。戦争の犠牲になるのはいつだって子ども。
母親は母親なりに、オフェリアを愛していていたのはわかりました。現実を受け入れ、折り合いをつけることが幸せにつながる道だと教えようとしたのでしょう。
オフェリアに再婚の理由を尋ねられた時「ひとりだと寂しいから。大人になればあなたもわかるわ」というふうに答えていましたが、実際のところは、寂しさ以上に、女性ひとりでは生きていけない時代だったからというのも大きいのだと思う。
世界がオフェリアに冷たすぎて、終始胸が痛んでいました。
っていうか、晩餐会でオフェリアの母カルメンが大尉とのなりそめを語っていたけど、女性ゲストたちはなんだか嫌な感じでしたね。あの時、大尉が「妻は客人をもてなすのに慣れていなくて」的なことを言っていましたが、何がいけないのか私にもわからなかったので(笑)当時の女性に生まれていたら、地位のある人には嫁げなかっただろうなとしみじみ考えてしまいました。
トラウマ級の名シーン
実は、ずっと前からペイルマンのデザインだけは知っていまして。あの、手に目玉をつけて追いかけてくる不気味なクリーチャーですね(ダグ・ジョーンズがパンと一人二役で演じたらしい)。
覚悟はしていましたが、実際に動くのを見た時の衝撃たるや!
想像以上に気持ち悪いし、怖い。下手なホラー作品よりビビったかもしれない(笑)。
それにしても、あのシーンは「ダメと言われたらちょっとでもダメだろー!」とツッコんだ人も多かったんじゃなかろうか。それに、時間制限があったから、私だったらソッコーで走って帰るけどなとハラハラしました。そのあと、パンに「ルールを破った」と叱責された時の「事故よ!」というオフェリアの言い訳も「事故とは……?」ってなるし。事故ではない(笑)。
自分が、一度でも大人にダメと言われたことは100%やらない子どもだったので(怒られるのが嫌すぎて)、ああいうのを見ると冷や汗ものです。
牧神パン
劇中に登場する「迷宮の守護神パン」は、ギリシア神話に登場する牧神パン(パーン)のことかな? と思います。パンについては「LAMB/ラム」を考察した際にも少し触れたのですけど、半人半獣の神様で、人間と山羊を掛け合わせたような外見をしています。
まさに本作に登場するパンのようですね。
パンは昼寝を邪魔されると、激しい怒りを見せ大暴れし、羊や羊飼いたちを混沌に陥れることもあったということで、パニックの語源ともされています。また、パンは牧羊や羊飼いたちを監視する役目を担っていたらしい。劇中、オフェリアのそばで試練をこなしているか監視しているようなのもそういうことなのでしょう。たぶん。
映画「LAMB/ラム」(2021)に関連している(かもしれない)からか、私にとってのパン神ってけっこう不穏な存在なんですよね。なので、「これはあいつだ!」と認識した瞬間からドキドキしました。
なんとも言えない気持ちになる映画
基本的に、「これは……(絶句)」ってなるような映画でしたね。
なんともいえない気持ちになる。
オフェリアが幸せだったか不幸せだったかは、オフェリア自身にしかわからないことだけれど、不幸せだったとは言い切れないんじゃないかなと思う。この年齢で、自分を見失わないオフェリア。すごい子です。優しく、正義感にあふれ、賢くて勇敢。
なんでこんな子がこんな目に? と思わずにはいられません。メルセデスの気持ちがわかる。
女性の生きづらさ
メルセデスといえば、本作は、当時の女性の生きづらさをこれでもかというほどに描いた作品でした。今でもそう感じることはあるにはあるけど、この時代の比ではないですよね。
メルセデスしかり、カルメンしかり。
スペインはこれより前に女性に参政権を与えていますが、フランコ独裁政権下にあった時代には、やはり女性から選挙権を奪っていたみたいですし。それからなんと、女性の参政権は1970年代まで復活しなかったそう。その影響をめちゃくちゃ受けている将軍なので、そりゃあ義父ビダルも女性の扱いに関しては、まあ……ってなりますよね。
ただ、それは女性を甘く見ているということでもあるので、ただの使用人だと思っていたメルセデスにしてやられるわけですが。スペイン内戦が終わり、フランシスコ・フランコが独裁政治を敷くようになり、これは女だけでは生きていけないと再婚を決断したのですかね。オフェリア母は。
女だけで生きるのは難しいとわかっていながら、どのような行動を取るのか。抗うようにして生きるメルセデスと、ただ身を任せるカルメンの対比も良かったです。どちらが良いということじゃないんだよな、とも。
鑑賞後、しばらく余韻に浸ってしまうような内容でした。悲しくてつらいけど、なぜか優しい気持ちにもなれる不思議な映画。絶望だけではありませんでした。
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※記事執筆時点での情報です(2026年02月07日)。レンタル(有料)作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD(PREMIUM) |
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まとめ:衝撃的な展開と内容
ギレルモ・デル・トロ監督の名作ということで、前情報をそれなりに頭に入れた状態で鑑賞しましたが、それでもやっぱりだいぶ衝撃的な内容に思えました。
なにより、デザインが良いですよね。記憶に残るショッキングな画。
そりゃあいろんな人が「名作だよ!」と言うわけだと。たぶん、一生忘れない映画だと思います。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 95% Popcornmeter 91%
IMDb
8.2/10
Filmarks
3.7/5.0

