ピーター・ラビット
元気いっぱい!
ちょっぴり生意気で楽しいウサギたちは、見ているだけで癒やされます。
原作を読んだことがなくても問題なく楽しめる内容となっているので、忙しい日々に癒やしが欲しい、心温まるおとぎ話のような物語が見たい、そんな人はぜひ観てみてくださいね。
本記事は2024年04月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
ハロッズでウサギたちが大暴れ。
作品情報
タイトル | ピーターラビット |
原題 | Peter Rabbit |
原作 | ピーターラビットのおはなし/ビアトリクス・ポター著 |
ジャンル | ファンタジー、アドベンチャー、ファミリー |
監督 | ウィル・グラック |
上映時間 | 95分 |
製作国 | アメリカ、オーストラリア、イギリス |
製作年 | 2018年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
イギリスの湖水地方に暮らす元気いっぱいのウサギ、ピーターと仲間たち。ピーターはマクレガーさんの畑に忍び込み、作物を拝借しようとして追い払われていた。そんなある日、マクレガーさんが倒れたことにより、親戚の青年(甥)トーマス・マクレガーが引っ越してくる。いかにも神経質なトーマスだが、自然と動物をこよなく愛する隣人ビアと出会い……。
▼DVD▼登場人物
(敬称略)
トーマス・マクレガー(演:ドーナル・グリーソン)
ロンドンのハロッズ(大手デパート)の玩具売り場で働いていた青年。マクレガーさんの甥。神経質で、動物嫌い。初っ端からピーターたちと激しくぶつかり合うも、ビアのピュアで優しい心に触れ……。
ビア(演:ローズ・バーン)
自然や動物をこよなく愛する心優しい女性。マクレガーさんの隣人で、隣に引っ越してきた縁でトーマスと知り合う。画家。
ピーター(声:ジェームズ・コーデン)
生意気で元気いっぱいのウサギ。よくマクレガーさんの畑に忍び込み、野菜を頂戴していた。動物嫌いのトーマスと激しくぶつかり合う。
マクレガーさん(演:サム・ニール)
トーマスの前に、ビアの隣に住んでいた男性。普段の不摂生がたたって発作を起こし、亡くなってしまった。
映画「ピーターラビット」の感想
映画「ピーターラビット」の感想です。心温まる物語でありながら、スラップスティックな一面もある本作。クスッと笑える内容になっています。
序盤で退場するマクレガーさん
原作に出てくる「マクレガーさん(マクレガーおじさん)」。
単なる嫌な人というか、清潔感のないおじいさまという感じに描かれているので、思わず「うわあ……」と引いてしまいます。
まあ、栄養など一切考えず、ああも暴飲暴食を繰り返していたらそうなるのも仕方ない、みたいな。
普段の不摂生がたたって心臓発作を起こすエンドというのが、なんとももの悲しい感じですね。
ただ、なんだろう。
そこにはピーターの父親の仇であるという一種の皮肉みたいなものが込められているようにも感じられました(実際のところは知りませんが)。
原作とは違うキャラたち
本作のベースになっているのが「ピーターラビットのおはなし」(一作目)ということなんですが、この「ピーターラビットのおはなし」って、考えてみれば結構残酷な内容になっています。
というのも、
グラック:原作の中のピーターは非常にシンプル。彼のお父さんはマクレガーの奥さんに殺されてパイにされてしまったことがあって、「マグレガーさんの畑にだけは、行ってはだめですよ」とお母さんに言われている。それでも庭に行って怒られるという物語だ。そこから僕たちは要素をピックアップして、やんちゃなところ、言うことを聞かないところ、いたずらっ子なところを膨らませてキャラクターを作り出していったんだ。
(引用元:実写版『ピーターラビット』、原作とキャラ設定を変えた理由は? ウィル・グラック監督に聞く|リアルサウンド 映画部)
ピーターのお父さんは、マクレガーさんに捕まって、その奥さんによりパイにされてしまったという過去があるんですね。
衝撃的。
なにこれ、本当に子ども向けの話?
とは思いますが、つまり「親の言うことはちゃんと聞こうね。親が駄目だということには理由があるんだよ」という教訓でしょうね。
公式サイトのキャラクター紹介でも、ピーターの父親の欄に「ピーターのおとうさん(マクレガーおばさんにパイにされた)」と平然と書かれていて、めちゃくちゃ怖い。
で、まあ、それはいいんですけれども。
この話からすると、原作のピーターは子ウサギ。でも、映画では立ち振る舞いといい声といい、大人(あるいは青年)っぽく描かれていました。
このあたりで、イメージとちょっと違うかもと感じた人は少なからずいたのではないでしょうか。
子ウサギだから悪戯も「はいはい、可愛いね」と読者に笑って許されていたわけで、これが青年/大人ウサギとなると腹立たしく感じるシーンもあるかもしれません。
個人的には普通に好きでしたが。
トーマスVSピーターのドタバタ攻防劇
本作の見どころのひとつは、トーマスとピーターの激しい攻防劇。
これらのシーンをどう捉えるかは本当に人によると思うんですが、私としては、スラップスティック感が出ていてとても良かったと思います。
いわゆるドタバタコメディーというやつですね。
神経質なトーマスと、自分の気持ちに真っ直ぐなピーター。
動物たちにああも自分のテリトリーを犯されたらたまらないだろうという気持ちもわかるし、自分たちがいた場所に、我が物顔で乗り込んでくる人間の男(しかも自分の父親の仇の甥)が、自分たちを本気で排除しようとしていると警戒するその危機感もなんとなくわかる。
でも、やっぱり、ほとんどが動物視点で描かれることもあって、ピーター頑張れ! という気持ちになってしまいますけどね。
生意気なのにキュートなウサギたち
今回、ピーターはとても生意気に描かれていますが、それでも可愛いと思ってしまうのは、基本的には素直だからでしょう。
特にキュンとしたのが、「謝罪」のおでこ合わせ。
「ごめんね」と伝えたいとき、その相手に自分の額をそっと合わせるんです。
グラック:あれは僕が生み出したアイデアなんだ。この映画の中では喋っているけれど、うさぎがもし喋らない状況で人間と関わりを持つときに何が一番いいだろうか考えた。犬も話すことはできないけど、彼らが何を要求しているか仕草でわかるときがあるだろう? それと同じように何か意思疎通ができるポーズがあればいいと思ったんだ。この映画が公開されてから、科学者の人に「あんなこと絶対うさぎはしない」って言われてしまったんだけれど、僕は「喋りもしないだろう?」と返したよ(笑)。
(引用元:実写版『ピーターラビット』、原作とキャラ設定を変えた理由は? ウィル・グラック監督に聞く|リアルサウンド 映画部)
どうですか?
ウサギでなくとも、例えば自分の家で飼っている愛犬がなにかしらの悪戯をして、一度は「コラ!」と怒ったとしても、シュンとした表情でおでこをくっつけてきたら、許してしまいたくなりませんか?
そんな感じの愛しさが、ピーターたちにも芽生えます。
日本とは違うかもしれないウサギのイメージ
ちなみに、ウサギのイメージって国によって違うような気がします。
日本だとペットとして飼っている人も多いし、おおむね「可愛い」という印象を持つ人が多いのではないでしょうか。そうでなくとも、十二支にも登場しますし、あとは多産なことから子孫繁栄の象徴とされることもありますよね。つまり、基本的にはプラスのイメージ。
そういえば、月に住んでいるのもウサギだとか言いますよね。
でも、実は、国によっては害獣に指定されているんです。
オーストラリアとかニュージーランドがその筆頭。
これは、農作物に深刻な被害をもたらしたりするからですね。
本作においては舞台はイギリスになっていますが、イギリスでも地域によっては(たぶん)害獣扱いになっているんじゃないかな。
特に、マクレガーさんは畑を持っていたわけだから、必死になって駆除しようとするのも当然なんだと思います。
大人向けのようなブラックコメディー
「ピーターラビットのおはなし」がベースになっているだけあって、本作も(一応は)ファミリー向けでもあるとは思いますが、もしかしたら大人のほうが楽しめるかもという描写が多々あります。
マクレガーさんは早々に亡くなりますし、なんかいろいろ爆発しますし、結構過激なシーンがある。
ある種、ブラックコメディー感が強い内容になっていました。
それでもやっぱり童話っぽい世界観
それでもやっぱりウサギたちは可愛い。
癒やされます。
原作をベースにオリジナル要素がかなり多い本作ですが、原作へのリスペクトがしっかり感じられ、ロンドンやハロッズなど現実的な話を途中に挟みながらも、童話っぽい世界観も根底には残っています。
ハラハラドキドキしつつ、最後には温かい気持ちになれる作品でした。
映画「ピーターラビット」が好きな人におすすめの作品
映画「ピーターラビット」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ピーターラビット2/バーナバスの誘惑(2020)
- ミス・ポター(2006)
- プーと大人になった僕(2018)
- 名探偵ピカチュウ(2019)
まとめ:ウサギはやっぱり可愛い!
話自体もシンプルで、基本的には人間(トーマス)VSウサギ(ピーター)の構造なので、頭を空っぽにして楽しめます。
トーマスがやらかしたかと思えば、ピーターたちがやらかす。
スラップスティック風味のドタバタコメディーは、普段の息抜きにぴったりです。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 63% AUDIENCE SCORE 56%
IMDb
6.6/10