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【ネタバレなし】「イノセント・デイズ(早見和真著)」人は皆、何かから目を逸らして生きている

ヒューマン


イノセント・デイズ(新潮文庫)

  • 愛ってなんだろう?
  • 信頼って?
  • 人とのつながりとは?
  • 幸せってなんだろう?
  • 過去の何気ない一瞬は果たしてリアルなものだろうか?(美化されていないか?)

普段、こんなふうに考えることはありますか?

主人公も、その幼馴染みも友人も、ただの知人と言わんばかりの登場人物も皆、この小説に出てくる人物はすべからく人間味を帯びていて美しい。

そう感じさせてくれる衝撃作「イノセント・デイズ」(早見和真著)を紹介します。

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あらすじ

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。

(イノセント・デイズ「あらすじ」より)

こんな人におすすめ!

  • ミステリー好きな人
  • 読了後にじっくり自分の世界に浸りたい人
  • 読了後に脱力感を味わいたい人
  • 自分なりに考察したい人
  • 登場人物に感情移入するのが好きな人
  • 久々に衝撃作を読みたい人

「イノセント・デイズ」から思うこと

話の中心人物「田中幸乃」が死刑宣告を受けるまでに、一体何があったのか。ネタバレなしで、読了後の感想を述べていきます!

モカ
モカ

いやあ、かなりの衝撃作でしたね…。

人は皆、何かしらの罪を抱えて生きる

「罪」。

その言葉を聞くと「いや、そんな罪なんて早々犯すわけないし!」と考える人も多いのではないでしょうか。でも、ここでいう罪とは必ずしも「犯罪」ということではありません。

例えば、

  • 小さいころ、自分がやった些細な悪戯をつい友人のせいにしてしまった。
  • クラスメイトがいじめられていたのを、次のターゲットになるのが怖くて見て見ぬ振りをしてしまった。
  • 友達と遊びに行くのに、弟(妹)がしきりについてきたがるのを鬱陶しいと感じた。

こんな経験は、加害者、被害者どちらにしろ、きっと誰しもが何度も経験してきていること。あとあとになって感じた小さな罪悪感(罪)を通し、死刑囚となった「田中幸乃」を思い描くことでその人物像が明らかになっていく。

その臨場感がものすごく、一度読みはじめたら止まらない作品となっています。

モカ
モカ

現に、買ったその日に徹夜で読んでしまいました…。

すれ違いが描く複雑な人間関係

あらすじでも記述したとおり、産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官と、ほかにも幼なじみや両親、元恋人、そして祖母。

さまざまな登場人物が現れるなか、物語は幸乃の幼少期からはじまります。

この一冊をとおして、つい「幸乃にとって人生で一番幸せなときはいつだったのだろう?」と、いや、そもそも「幸せを感じるときはあるのだろうか?」と。

このたくさんいる登場人物のなかに、根からの悪人はいないのであろうと察することができます。

だからこそ、哀しい。なぜこんな途方もない判決が下されなければならなかったのか。もちろん、放火により3人もの犠牲者を出してしまったからこその死刑宣告ですが、なるべくしてそうなったとしか言えない残酷な現実。

偽善に生きる人、過去犯した罪のもと奔走する人、過去のことだと忘れようとする人、事務的に傍観する人、若き熱い思いで見守る人。

誰もがそれぞれの想いで、それぞれの感覚と記憶で「田中幸乃」という人物像を描きます。でも、そのどれもが「殺人犯」「死刑囚」とはかけ離れた人物像であることに、一種の文学的な、そして人間的な美を覚えるのです。

愛されることはこんなにも奇跡的なのか

両親から、友人から、恋人から、ほかの誰かから、ただ普通に愛されるということがこんなにも難しいことなのかと思わされる内容に、思わず涙せずにはいられません。

幸乃の放火殺人による死刑宣告は、それこそ幼少期から起きたすべての出来事が、一本の線でつながっているとしか言いようがありません。ちょっとした不幸がちょっとずつ積み重なり、たまたま(不謹慎かもしれませんが)起きた事件がそれだった。

だけど、まったく愛されていなかったわけではないし、特別人と違ったなにかを持っていたわけでもない。

ちょっとしたことがきっかけで誰にでも起こりうる不運とは、きっとこういうことなのだろうと思わずにはいられません。

「自分だけは大丈夫」

ついそう思ってしまいますが、もしかしたらそんなこと、この世の中にはひとつもないのかもしれませんね。

誰かの決断が誰かの人生を左右する

作中では、ひとりひとり、それぞれの人物が決断に迫られるシーンがあります。それは中学時代に出来た親友の行動だったり、幸乃と別れることにした元恋人だったり、事件の捜査に身を乗り出す幼なじみだったりとさまざま。

ひとつひとつの決断はバラバラでも、それがどんどん石が坂を転がり落ちるように悪いほう悪いほうへと向かっていくのがある意味、この物語の醍醐味と言えなくもないでしょう。

では結局、幸乃が死刑判決を受けるまでの一連の出来事について誰が悪かったのか。

きっと、誰も悪くない。

身近で起きる事故や事件って、むしろそういうことのほうが多くないでしょうか。他人事としてとらえるとしたら、「運が悪かったね」としか言いようがない出来事。

それを幸乃本人がどう考えているか、明確な文章として表れていないのも想像力を掻き立てられます。

主人公だからといってメインになるとは限らない

ここで強調しておきたいのは、この物語のなかでは各章、登場人物それぞれの視点から語られることになるわけですが、主人公であるはずの幸乃本人視点になっている部分はほんの一部ということです。

あとはすべて、これまでに関わってきた人たちの記憶のなかで生きる幸乃像から「一体どんな人物であったのか」「性格は」「生い立ちは」など、読者が想像できるギリギリのヒントを与えられるだけにしかすぎません。

もしかしたら、読者が想像した幸乃の姿もまた、本来の幸乃とは違った人物である可能性すらあるのです。

相手に同じ感情を求めることは果たして正解か

自分と相手、2人ともに同じ状況にいたとしても、もしかしたら覚える感情はまったく異なるものかもしれないし、同じようでいて微妙にすれ違ったものかもしれない。

相手に過度な期待をすること、同じ熱量を求めることがいかに無駄で、しかしながらこれほどまでに美しくリアルに描けるのかと思わずにはいられません。

みんなちがって、みんないい。

そんな詩がありますが、考えや行動は人それぞれ。十人十色なのです。「イノセント・デイズ」を読んだあとは、そんなもどかしい感情のすれ違いにどこかやるせない、やりきれない悔しさを感じさせてくれます。

幸せって一体なんだろう?

読了後に一番考えさせられるのが、ここ。

幸せってなんですか?

幸乃にとっての幸せとは? まだ若いながらも彼女を見守った刑務官の幸せとは? 幸乃を救うために奔走する幼なじみの幸せとは? 「普通の」幸せとは?

あなたにとっての幸せってなんですか?

そもそも、死刑宣告をされたこと自体、幸乃にとって不幸だったのか?

メディアが過剰(切り取り)報道し続ける親子3人の尊い命を奪った放火殺人事件の犯人「田中幸乃」の幸せは一体どこにあったのでしょうか。

それがまた読者にさらなるもどかしさを与え、読み終えたあとの疲労感と脱力感といったらものすごい! たったひとりの人間の生をここまで繊細に、丁寧に、かつ人間臭く描く著者の技術力に脱帽です。

ドラマ化もしている「イノセント・デイズ」(全6話)

イノセント・デイズ_ドラマ化

なんとこの「イノセント・デイズ」、WOWOWにて連続ドラマ化していたんです!

小説よりも映像で見たいという人はこちらから。

メインキャラクターのひとりでもある死刑囚「田中幸乃」を演じるのは、竹内結子さん。その幼なじみを演じる妻夫木聡さんと、祖母を演じる余貴美子さん、義姉を演じるともさかりえさんなど、そうそうたる顔ぶれでキャストをそろえてきたあたり、ドラマ化に対する本気度が窺えますね。

なお、小説とは異なり、ドラマ版の主人公は妻夫木聡さん(幼なじみ)。

複雑に絡み合っているようで実はシンプルな人間関係の相関図や、エピソードごとのあらすじを確認したい人はWOWOWの公式ウェブサイトからどうぞ。

ストーリー重視の展開に心を掴まれる

「イノセント・デイズ」は書籍という概念上「ミステリー」というジャンルに分けられているものの、実際のところ、犯行の動機がどうだったか、果たしてトリックはどのようなものだったのかというような通常のミステリー作品とは違い、登場人物(おおよそにして田中幸乃本人)の人生そのものに焦点が当てられているのが特徴。

そのため、非常に感情移入しやすい作品となっています。

登場人物の誰もがある意味ずる賢く、ある意味懸命に、ある意味当然のこととしてその人生をまっとうしているその瞬間、田中幸乃はなにを考え過ごしていたのか。

終わってみなければ何が正解かわからない。だからこそ人は後悔し、その後も強く生き続ける。

常に薄暗い印象を与え続ける内容とは違い、「人生」や「愛情」、「人間関係」などを改めて考えさせられる作品でした。

モカ
モカ

個人的にはここ数年で一番のヒット作!

モカ
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