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映画「オテサーネク 妄想の子供」あらすじ・感想|とにかく気持ち悪い!でもちょっぴりコミカルな演出が◎

オテサーネク_タイトル ファンタジー

オテサーネク (字幕版)

ただひたすらに気持ち悪い映画が通りますよー!(ハイテンション)

芸術的であることと気持ち悪いことって両立するんだなと久々に実感しました。この、本能に訴えかけてくるような気持ちの悪さはまさに芸術的。

それでいて、どこか可愛らしくもあるから不思議です。

本記事は2024年04月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。

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ワンフレーズ紹介

食べる前には手を洗うのがルールです。

作品情報

タイトルオテサーネク 妄想の子供
原題OTESANEK
原作オテサーネク(食人木)
ジャンルホラー、ファンタジー
監督ヤン・シュヴァンクマイエル
上映時間132分
製作国チェコ、イギリス
製作年2000年
レイティングPG-12
個人的評価★★★★☆

あらすじ

あるところに、子宝に恵まれない夫婦がいた。妻はそのことを気に病んでいたが、別荘に行ったある日、外で見つけた切り株をそれっぽく見えるように整え、「子どもだよ」といって持ち帰る夫。それを見た妻は、それに「オチーク」という名前を付け、本物の赤ん坊のように世話をし始める。やがて、本当に動き出したオチークは、次から次へと食べ物を求めるようになっていくのだった。

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登場人物

(敬称略)

ボジェナ・ホラーク(演:ヴェロニカ・ジルコヴァ)

不妊症の女性。子どもがいないことを気に病み、夫が持ち帰った赤ん坊型の切り株を我が子のように可愛がる。

カレル・ホラーク(演:ヤン・ハルトゥル)

ボジェナの夫で、無精子症。子宝に恵まれなかったことを人一倍気に病み、塞ぎ込む妻のために、別荘の庭で見つけた切り株を赤ん坊の形に整えて持ち帰る。

シュタードレル夫人(演:ヤロスラヴァ・クレチュメロヴァ)

ホラーク夫妻の隣人。基本的にはフレンドリーだが、お節介な一面もある。

シュタードレル氏(演:パヴェル・ノーヴィ)

ホラーク夫妻の隣人で、シュタードレル夫人の夫。

アルジュビェトカ(演:クリスティーナ・アダムコヴァ)

シュタードレル夫妻のひとり娘。無邪気で好奇心旺盛、知識に偏りがあり、ちょっとませているところがある。

ジュラーベク(演:ズデニェク・コザーク)

ホラーク夫妻が住んでいるアパートの住人。幼児性愛者の老人で、ことあるごとにアルジュビェトカに邪な視線を向けている。

アパートの管理人(演:ダグマル・ストリブルナ)

アパートの管理人で、庭にある畑でキャベツを栽培している。

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映画「オテサーネク 妄想の子供」の感想

映画「オテサーネク 妄想の子供」の感想です。チェコの民話「オテサーネク(食人木)」を題材にした内容となっています。ずっとうっすら嫌な気持ちになる作品です。

高熱を出したときの夢

全体的に、高熱を出したときに見る夢みたいな感じでした。

現実っぽいんだけどなんかおかしくて、悪夢といえば悪夢なんだけどやっぱり現実っぽいというか、そんな不思議な世界観。

冒頭を観た瞬間に悟りました。

……あ、これやべーやつだわ(褒め言葉)。

食事シーンがすべからく不快

基本的に、食事に関するシーンは不快な描写のオンパレードです。

色味も悪いし、盛り付け方もべしゃっとしていてまずそうだし、食べ方も汚い。食事中に観るのはおすすめできません、本当に。

でも、これには理由があるようです。

本作でメガホンを取ったヤン・シュヴァンクマイエル監督は、幼い頃、食べるのが好きではない子どもだったんだとか。で、ただでさえ好きじゃないのに、親には食べることを強要される日々。まあ、どの程度の強要だったかはわかりませんが、親として「食べてほしい」と願うのはある種当然といえば当然の感情なのかもしれない。

とはいえ、シュヴァンクマイエル監督にとって、それ(食べるという行為)は苦痛以外のなにものでもなかった

シュヴァンクマイエル監督は、幼少期よりこのかた、食事に嫌悪を抱いているようですね。

それが彼の作品の多くに反映されていると。

単純に、「食べるという行為に対するネガティブな感情」が表れているのかもしれないし、食べるのが好きでなかったという子どもの頃、彼には食事のすべてが、まさにその映画の中の「気持ち悪い食べ物&食事シーン」のように見えていたということなのかもしれません。

特別な理由でもない限り、普通、映画というのは食事&食事シーンをどれだけ美味しく見せられるかみたいなところがあると思うので、その逆を行くシュヴァンクマイエル監督の特徴というべき描写でしょう。

とにかく、本当に食欲が失せるような気持ち悪さです。

ちなみに、人間が食事するシーンはとても汚いのに、オチークが食事をしたあとは割と綺麗だったりするのが、これまたなんとも皮肉的。「人間の食事って化け物のそれより汚いものなんだぜ、ヒャッハー!」とか言われている気分ですね。

コミカルなストップモーション

ただ、この「気持ち悪い」という感覚だけに頼っていないのがシュヴァンクマイエル監督のすごいところ。

シュヴァンクマイエル監督の作品には、ほかにも「アリス」や「ファウスト」などがありますが、両者共通しているのは、ストップモーションを使っているというところです。

ストップモーション・アニメーションの多用。

これもヤン・シュヴァンクマイエル監督作品の特徴的な部分ですね。

で。

ボジェナが我が子のように甲斐甲斐しく世話をした切り株赤ちゃん「オチーク」。本作では、このオチークの動作がすべてストップモーションで表現されています。

……可愛い。

どう考えても問題児というか、やべー生き物であるはずなのに、ストップモーションでコミカルな動きを付け足すことで、なんだかちょっと可愛らしく見えてきます。

ちなみに、ホラーク夫妻が暮らすアパートメントには、幼児性愛者のこれまたやべー老人が住んでいるんですけれども。

アルジュビェトカを見て股間がギュンギュン(失礼)になる描写とかも、謎にストップモーション。

なので、やっぱりかわい(以下略)……嘘です。可愛くは見えません。ただ、コミカルには見えるので、めちゃくちゃ気持ち悪いんだけれども、「うわあ、気持ち悪い……(ドン引き)」で済みました。

まあ、上記のどちらとも、笑えるか笑えないかは置いておいて。

幸か不幸か、このストップモーションがワンクッション挟む役割を果たしていました

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疲れ切った二人の夫婦関係

本当の我が子のようにオチークを可愛がるボジェナに対して、夫であるカレルは「切り株が動くなんて普通じゃない」と現実を弁えています。

そして、たびたびボジェナを窘めようとしている

それでも、このカレル、ボジェナを前にすると本気で強く出られないんですよね。

ボジェナを愛していて、子宝に恵まれず気に病んでいた時の精神的に不安定な妻に戻ってほしくないと思っていたからかもしれないし、カレルも精神的に疲弊しきっていたために、必死になって止めるほどの気力が湧かなかったのかもしれない。

それはわからないけれど、この二人はもう疲れ切っていたんだなと感じました。

無垢で悪気のないアルジュビェトカ

アルジュビェトカ。

……日本語だと舌を噛みそうな名前です。

が、ここではそれはどうでもよくて。

このアルジュビェトカが良い働きをするうえに、一貫してめちゃくちゃ奇妙な子どもなんですよね。

一見、無垢な普通の少女であるアルジュビェトカ

でも、親に隠れてセッ……(以下略)の体位の図が乗った本を読んでいたりするし、カレルたちが「もう面倒見切れない!」となっているオチークに対して「食事の前は手を洗うのよ」なんて躾をしたりもする。

このように、子どもの無垢な邪悪さが垣間見えるホラーって、結構怖いですよね。悪気がないからこそ恐ろしい、みたいな。

特に、変態おじいさんを意図的に誘惑するシーンがあるんですけれども、これがまた「どこかで誰かがそうしているのを見たの!?」というほど、ぎこちなくもこなれた様子。セッ……(以下略)の本を読むぐらいだから、やっぱりこれも本から仕入れた知識なのかもしれませんが。

どのシーンかはお楽しみということで、アルジュビェトカの「いや、絶対駄目だろ(笑)」という行動にも要注目です。

子がいない生きづらさ

ホラーク夫妻は、妻のボジェナが不妊症夫のカレルが無精子症という設定になっています。

もうね、どうやってもほぼほぼ子どもは無理やん、という。

もともと子どもを欲している夫婦だったら、相当つらい状況です。いや、そうでなくても、結婚している二人ですから、周りが「子どもはどうなの?」とか聞いてきそう。

今、このご時世でもまだそんなふうに無意識の圧力をかけてくる人っていますよね

もっとも、そういうタイプの人は、未婚の人には「結婚は?」。結婚していたら「子どもは?」。子どもがいたら「二人目は?」。女の子なら「男の子もいいわよ」。……みたいに、次から次へと余計なお世話でしかないことを言ってくることが多いので、本来は気にするだけ無駄なんですが。

でも、ボジェナのように子どもが欲しいという人からしたら、聞き流せなかったりもする。

近くには可愛らしい(?)アルジュビェトカがいて、産婦人科に行けば妊婦さんや子連れのママたちがたくさんいる。ボジェナにとっては地獄みたいな状況だっただろうなというのが、容易に想像できます。

カレルと違って、ボジェナは働いていないみたいだったので、思考を逃がす場所がなかったのも良くなかったんじゃないかなと。

私は感じたことはないんですけれども、子がいない生きづらさを感じている人は、少なくはないだろうと想像しています。

ボジェナは、そのあたりの救いをオチークに求めてしまったということですね。

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映画「オテサーネク 妄想の子供」が好きな人におすすめの作品

映画「オテサーネク 妄想の子供」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。

  • ファウスト(1994)
  • アリス(1988)
  • ルナシー(2005)
  • ブリキの太鼓(1979)

まとめ:可愛いオチークとアルジュビェトカ

なんだかんだ、オチークは可愛いです。

やべー生き物であることに変わりはないけれども、意外と素直なところがあったり、アルジュビェトカの言うことは素直に聞いていたり。

とにかく嫌なのは変態おじいさんでした。本能的な拒否感が込み上げてくるタイプのリアルさ。

Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 84% AUDIENCE SCORE 85%
IMDb
7.3/10

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