シャイニング 特別版 コンチネンタル・バージョン [DVD]
「インターステラー」の記事でも触れた「2001年宇宙の旅」や「時計じかけのオレンジ」「フルメタル・ジャケット」など名作中の名作を生み出し続けたスタンリー・キューブリック監督。
没後20年以上経つ現在でも、その作品たちが色褪せることはありません。
人間の本能や不思議な一面、なにより一コマ一コマ切り取ったような映像美を描くことを得意とした鬼才スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」は、サイコホラーの金字塔ともいうべき作品です。
あらすじ
冬の間は豪雪で閉鎖されるホテルの管理人職を得た小説家志望のジャック・トランスは、妻のウェンディーと心霊能力のある息子ダニーとともにホテルへやってくる。そのホテルでは、かつて精神に異常をきたした管理人が家族を惨殺するという事件が起きており、当初は何も気にしていなかったジャックも、次第に邪悪な意思に飲みこまれていく。
(引用元:映画.com「シャイニング」)
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こんな人におすすめ!
- サイコホラーにゾクゾクする
- ストーリー性より映像美に惹かれる
- 原作と違ってもいい!
- 「よくわからない、でも不気味」な映画が好き
スタッフ・キャスト
- 監督:スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick)
- キャスト:ジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)― ジャック・トランス(Jack Torrance)
シェリー・デュバル(Shelley Duvall)― ウェンディ・トランス(Wendy Torrance)
ダニー・ロイド(Danny Lloyd)― ダニー・トランス(Danny Torrance)
【ネタバレなし】「シャイニング」を観た感想
唯一無二の父が次第に狂気の意思に操られていく――そんな様子をリアルに描いた衝撃作「シャイニング」。名前だけ、あるいはインパクト大のパッケージデザインだけ知っているという人も多いのでしょうか? そこで、ぜひここでいま一度紹介したいと思います。

とりあえずダニーが可愛すぎるよ!
【1】原作とはまったく違う
まず、この「シャイニング」を語るうえで欠かせない論点が、原作とはまったく違うということ。それについては原作者であるスティーヴン・キング氏もたびたび苦言を呈しているほどです。
たとえば原作では事細かに説明されていた不可解な現象が作中では単なる心霊現象のようなものとして描かれていたり、なぜそんなことになったのかという原因が明かされていなかったり、――それゆえ、納得に足る理由がなされていないために、「難解な映画」とされてしまうことも。
でも、スタンリー・キューブリック監督の真骨頂は実は、そこにはありません。

あくまでも個人的な意見ですよ!
【2】物語性より映像美
スタンリー・キューブリックの持ち味は、物語の独創性というのはもちろんですが、なんといってもその映像美にあります。
映像美とはなにか。
簡単にいえば映像の美しさのことですが、たとえば「アバター」だったり「2001年宇宙の旅」「ムーラン・ルージュ」なんかは映像美を重視した作品のひとつといえるでしょう。
だから映像の一コマ一コマは非常に美しい。
でも、映画の背景にストーリー性を求めている人にとっては「なにか違う」感じがするかもしれません。いわゆる「コレジャナイ感」です。
個人的には、もう少し「シャイニング」がなんたるかについて、そして父ジャックが狂気に呑み込まれていく過程を詳細に描いてほしかったかなという感想です。
【3】他の作品とは一味違う
先述のとおり、「時計じかけのオレンジ」や「2001年宇宙の旅」「フルメタル・ジャケット」などさまざまな作品を手がけてきたスタンリー・キューブリック監督ですが、「シャイニング」は他の作品とは雰囲気が多少異なるので驚いたファンも多いはず。
これまで公開されてきた作品が割と社会問題や人間性、科学の進化などに焦点が当てられていたのに対し、「シャイニング」はむしろ映像美を重点的に攻めたエンターテインメント性が強い作品となっています。
それでもいまなお最高のホラー作品として語り継がれているのですから、すごいですよね。

原作に忠実に作られていたとしたら、他の作品と同列に並んでいたのかもしれないけど……。
【4】俳優陣の演技力に脱帽
もちろん、「シャイニング」の魅力はスタンリー・キューブリック監督のみによるものだけではありません。いうまでもありませんが、映画作品とは監督のみならず、キャストやその他スタッフの共同作業により作られるものだからです。
中でも群を抜いてすごいのが、キャスト陣の演技力の破壊力。
まず、これにおいてもスタンリー・キューブリック監督という人間を語らなければなりません。満足のいく画が撮れるまで妥協することなく、テイク数を重ねていくのがこの監督のやりかた。
一説では、あるシーンのためだけに148テイクも撮ったのだとか。ほかにも、たったワンシーンのためだけに2週間を費やしたなんて話もありますね。
リテイク、リテイク、リテイクの積み重ね――で、本作は全体を通して実に5年以上もの製作期間を設けています。
特にウェンディ役を演じたシェリー・デュヴァルは、スタンリー・キューブリック監督の罵声を浴び続けました。なぜかって? それはひとえに、作中に描かれているリアルな緊迫感を出すためです。
あの迫真の演技は心の底から湧き出てこそのものだったんですね。
【5】後味は悪い
ホラー映画というのはたいていの場合そうですが、後味はかなり悪い作品といえるでしょう。
予想していたにしても、それにしたって悪すぎる!
こう、グロテスクだったり納得がいかないというような後味の悪さではなく、なんとなく心にしこりを残していく絶妙なモヤッと感がたまりません。
作中に描かれていないことも原作で詳細に説明されていることがあるので、気になる人は原作を読んでみてくださいね。
【6】子を守る母の愛は深い
もし、自分があんな状況になったら――。
どうしますか?
自分の身に差し迫る危険をひしひしと肌で感じながら、それでも子どもを守ろうと行動することはできますか? 命の危険にさらされてなお、子ども(ダニー)の名前を必死に呼び続ける母の姿はまさに一心不乱。
ときに子を守ろうとする母の愛は本当にすごい力を発揮します。
原作とは別物だと考えるべし
すでに原作を読んでいるという人。あるいは映画のほうを見て、原作にも興味を持ったという人。
いろいろいると思いますが、原作者が何度も苦言を呈している時点で、原作と映画は別物という意識を持ったほうがある種のエンターテインメントとして楽しめるかもしれません。
そして、「シャイニング」公開後40年が経ち、「ドクター・スリープ」(続編)が発表されました。「ドクター・スリープ」を観る前にいま一度、「シャイニング」で復習してみてはいかがでしょうか?
※上記の情報は2020年11月時点のものです。

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