
おんどりの鳴く前に
映画「おんどりの鳴く前に」の感想です。
ルーマニアとブルガリア合作のサスペンス映画。
淡々と展開していくうえ常に同じテンションなので、盛り上がりに欠ける印象ではありましたが、考えさせられる映画でした。というか、田舎特有の閉塞感みたいなものがひしひしと感じられました。
この映画、主人公がとてもいい(※善良な人という意味ではない)。

映画「おんどりの鳴く前に」の見どころは……
- 常にローテンションな演出&展開。
- 長い物には巻かれろタイプの主人公。
- 田舎特有の閉塞感。
本記事は2026年07月29日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
作品情報
| タイトル | おんどりの鳴く前に |
| 原題 | Oameni de treaba |
| ジャンル | サスペンス、ヒューマン |
| 監督 | パウル・ネゴエスク |
| 上映時間 | 106分 |
| 製作国 | ルーマニア、ブルガリア |
| 製作年 | 2022年 |
| 公開年(羅) | 2022年 |
| レイティング | PG12 |
| 好きレベル | ★★★★☆ |
あらすじ
ルーマニア北東部モルドバ地方のとある村。警察官のイリエは、果樹園を手に入れることだけを希望に、鬱々とした日々を過ごしていた。そんなある日、村で明らかに何者かに襲われたと思われる惨殺死体が発見される。赴任してきたばかりの若い警察官ヴァリは早速捜査に乗り出すが、イリエは……。
主な登場人物
(以下、敬称略)
イリエ
(演:ユリアン・ポステルニク)
やる気のない中年警察官。独身だが、結婚して家庭を持ってということに憧れは持っていた模様(ただし、離婚経験者)。今は果樹園を営み、第二の人生を歩みだすことに最後の希望を見出している。
ヴァリ
(演:アンゲル・ダミアン)
イリエの部下で、新しく赴任してきた若い警察官。正義感があり、積極的に事件の捜査に当たる。
コスティカ/コンスタンティン村長
(演:バシレ・ムラル)
村長。果樹園の持ち主で、イリエに購入を勧めている。
エディ/ヨルダン司祭
(演:ダニエル・ブスイオク)
村長と行動を共にしていることが多い。
クリスティナ
(演:クリナ・セムチウク)
遺体で発見された男の妻。息子がひとり。
モナ
(演:オアナ・トゥドル)
イリエの元妻。
コルネル
(演:ヴィタリエ・ビキル)
イリエの兄。
映画「おんどりの鳴く前に」の感想
映画「おんどりの鳴く前に」の感想です。村社会特有の閉塞感や息苦しさが、これでもかというほどに描かれていました(すごい)。
閉鎖されたコミュニティー
本作では、閉鎖されたコミュニティー(村社会)が描かれていました。
これがとてもリアルだった。
田舎特有のあの閉塞感ね。もちろん、そういうのがない地域もあるだろうし、「私は都会より田舎のほうが好き!」という人もいるでしょう。どこに住むにしてもメリット、デメリット、あるものです。
ただ、本作で描かれていたのは、例えると「学校帰りに寄り道したら誰かに目撃されていたらしく、その翌日にはもう噂が出回っていて、知り合いの大人に『昨日寄り道してどこどこにいたんだって?』と声をかけられた」みたいな息苦しさがある村(わかりづらい?)。馴染めればいいけれど、馴染めなかったら地獄というような。
最初から最後まで常にこの閉塞感が付きまとい、テンション低く展開していくお話でした。
イリエとヴァリ
で、やる気のない中年警察官のイリエのもとにやってくる、若く生命力にあふれた警察官のヴァリ。この2人は対照的でした。
映画を観ていると、どうしてもヴァリがイリエの比較対象として入ってくるので、イリエがとんでもなくやる気のない怠惰な警察官に見えるんですが、ヴァリはヴァリでまた問題があるように感じました。結局、田舎であることをうっすら見下しているし、正義感の名のもとにルールを破る。
若いから仕方ないところではあるんだけど、赴任したばかりの土地、つまり自分は新人なのに周囲の様子を観察しようとすらしないんですよね。この村に限らず、自分が既存のコミュニティーに受け入れてもらう側だとしたら、普通まずは辺りを見回してみるよねと思うなど。
とはいえ、正直、このヴァリにはもうちょっと派手に暴れてほしかった。
長い物には巻かれろ精神
村長や司祭の言うことに逆らえず、部下や女性には強く出る。
わかりやすく長い物には巻かれろなタイプのイリエ。
正直、序盤は見ていてだいぶ腹が立ちます。明らかに主人公らしくない性格なので。ただ、終盤に近付くと、実はこのイリエにも正義感がゆえに干された過去があることが明らかになります。なるほどこれが今のイリエにつながっているわけねと納得。
ただ、対比的に描かれているヴァリも、イリエになる素質があったのではないかと思っている。彼は一見正義感のある若者として描かれているようだけれど、イリエに強く言われると反論できずに「はい」と答えていました。まあ、指示を飲み込むことができず結局裏で動いていたようですが。
でも、このあとにイリエのような挫折を味わった場合、長い物には巻かれろな警察官になっていた可能性は充分にあるよなと感じました。
あと、酔った勢いで感情的に女性の家に押しかけるのはサイテー(※イリエの話)。
イリエは普通の人間
長い物には巻かれろ精神なイリエですが、人間くさくてとてもよかったです。
権力に逆らえないといっても、完全に正義感を失っているわけではない。権力の前では自分の発言など無意味に等しいと自覚していて、その無力感が正義感を抑えつけているだけ。
大なり小なり、危険を冒してまで大事にしたくないという状況ってあるよねと思う。イリエは良い奴ではないが、悪い奴でもない。普通の人間という印象でした。いや、悪い奴ではないと言うと語弊があるかな(ヴァリに対してパワハラはしているので)。悪人ではない、と言ったほうが正しいかも。
まあ、良い奴悪い奴というのも主観的な思想なので、ヴァリからしたら嫌な上司に変わりありませんが。
常にローテンション
なお、最初から最後までテンションが低い映画です。
山場らしきシーンですらローテンション。
それがこの映画のよさではあるんですが、退屈に感じる人も多いかもなと。個人的には、このローテンションぶりは好きでしたよ。イリエの鬱屈とした感情が反映されているようで。
鑑賞後、じゃあイリエはどうすればよかったんだろう? と考えても、答えが出ずにモヤモヤ。正義感の意味も考えさせられます。「正しいこと」を定義するのは誰なんだろう? とも。
とりあえず、散々な目に遭ったクリスティナ(とその息子)だけは幸せになってほしい。
映画「おんどりの鳴く前に」が好きな人におすすめの作品
映画「おんどりの鳴く前に」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 縞模様のパジャマの少年(2008)
- SKIN 短編(2018)
- M(エム)絶望の世界(2023)
- テレビの中に入りたい(2024)
映画「おんどりの鳴く前に」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2026年07月29日)。レンタル(有料)作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD(PREMIUM) |
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まとめ:息苦しさ含め楽しむ映画
先述したローテンションぶり、そして田舎特有の息苦しさ含め楽しむ映画でした。
長い物には巻かれろ精神で、序盤こそ見ていてイラッとするものの、どこか憎めないイリエのキャラもいい。ラスト10~20分ぐらいは「そう来るか!」という流れになっていくので、新鮮でなかなか面白かったです。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 100% Popcornmeter 82%
IMDb
7.2/10
Filmarks
3.4/5.0

