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映画「セブン」あらすじ・感想|なにひとつスッキリしない最高の胸糞映画(褒め言葉)

セブン_タイトル サスペンス

セブン (字幕版)

モーガン・フリーマンとブラッド・ピット主演の作品。

一言、胸糞。

これ以上ないほどの良質な胸糞(最高)でした。ブラッド・ピットの演技力の高さ含め、彼の良さを再確認できる素晴らしい作品です。

本記事は2024年01月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。

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作品情報

タイトルセブン
原題Se7en/Seven
ジャンルサスペンス、ミステリー
監督デヴィッド・フィンチャー
上映時間127分
製作国アメリカ
製作年1995年
レイティングR18+
おすすめ度★★★★☆

あらすじ

新人刑事デヴィッド・ミルズと定年退職間近のベテラン刑事ウィリアム・サマセットが、連続殺人事件の犯人を追いかける。足で調査を進めていくうち、その動機がどうやら七つの大罪に関わるものだということがわかり……。

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登場人物

(敬称略)

デヴィッド・ミルズ(演:ブラッド・ピット)

新人刑事。直情的で、犯人捜査のためなら手段を選ばないところがある。

ウィリアム・サマセット(演:モーガン・フリーマン)

定年退職をすぐそこに控えたベテラン刑事。経験が豊富なため、デヴィッドに比べると冷静。

トレイシー・ミルズ(演:グウィネス・パルトロー)

デヴィッドの妻。夫と共にこの街に引っ越してくるが、治安が悪いため、なかなか馴染めないでいる。

ジョン・ドウ(演:ネタバレ防止で念のため俳優さんは伏せます)

犯人。ちなみに「ジョン・ドウ」とは特定の誰かを表す名前ではなく、名前がわからないときに警察で用いられる用語。女性の場合は「ジェーン・ドウ」。

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映画「セブン」の感想

映画「セブン」の感想です。モーガン・フリーマンとブラッド・ピットのコンビが最高。胸糞展開なのに、すべてが完璧すぎてボリューム感というか、満足感がたっぷりあります。

題材は七つの大罪

連続殺人犯を追いかける、ウィリアム(サマセット刑事)とデヴィッド(ミルズ刑事)

新人刑事とベテラン刑事のコンビということで、もはやそれだけで胸熱ですが、題材が七つの大罪というのもとても良かったと思います。

「七つの大罪」とは「嫉妬」「傲慢」「憤怒」「怠惰」「強欲」「暴食」「色欲」のことですが、厳密にはそれそのものが罪だというのではなく、罪に導く可能性のある感情や欲望ということですね。

つまり、これらの感情や欲望に身を任せて行動すると、罪を犯してしまう可能性があるからしっかりしようね! という、いわゆる注意喚起みたいなものです。

なので、七つの大罪をなぞらえてひとりずつ手に掛けていく犯人が「こいつらは七つのうちどれかの感情に支配されている。いつか大きな罪を犯すに違いない悪人なのである」と考えたとしたら、まあ、サイコパスなのに変わりはありませんが、一応道理が通ってはいます

なお、私は漫画やアニメも好きなので、七つの大罪と聞くと「鋼の錬金術師」や「七つの大罪」がふわんと頭の中に浮かびます(もちろん、この作品が公開された時点ではそんなことありませんでしたが)。

新人刑事とベテラン刑事のコンビ

新人刑事とベテラン刑事のコンビ。

これ自体は、日本のテレビドラマや映画などでもよくある設定と言えるでしょう。

鉄板というやつです。

作中で描かれている通り、新人のデヴィッド・ミルズ刑事は直情型正義感が強く、犯人さえ突き止められるなら手段は選ばないというような激しい一面があります。

対するベテランのウィリアム・サマセット刑事は、定年退職間近ということもあり、かなり経験豊富である様子。そのため、デヴィッドに比べるとまだ冷静で、どちらかと言うと清濁併せ呑むことができる感じです。

ところが、実際はそれだけではなく、物を投げつけたり、ナイフを的に刺したり……苛烈な部分もあります。

このシーン、ゾクゾクしましたね。

デヴィッドの妻ステイシーが「この街は好きになれない」というようなことを漏らしていましたが、それはおそらくウィリアムも同じ。それでも仕事の関係でなのか、長年治安の悪いこの街にいたために、ウィリアム自身精神的に参っているという表現なのだろうなと感じました。

これらの行動は基本的にひとりのときにするんですが、デヴィッドやステイシーの前ではあくまでも頼れる冷静な上司でいるのがやけにリアルでした。

普通そうだよなって。

精神科や心療内科にかかるような場合、必要な人以外、仕事関係の人にそれを伝える人はなかなかいないですもんね。後輩や部下ならなおさら。

本作は、人間関係や人の心の動きに対する描写が非常にうまく、感動しました。

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ジョン・ドウの正義

犯人であるジョン・ドウ。

客観的に見るとサイコパス以外のなにものでもありません。

ただ、純粋な愉快犯というわけではなくて、(免罪符にはならないし、サイコパスであることに変わりはないけれども)本人なりの正義に従って動いているんですよね。

問題がややこしくなりやすいのは、正義×悪のときではなく正義×正義のとき。

デヴィッドは自分の正義を信じて疑わないし(この場合はそれでいいんですが)、ジョン・ドウはジョン・ドウで己の正義を疑わずに行動している。ただ、ジョン・ドウについては、彼の正義=法律というわけではないのが特徴でしょうね。

この2人の対比がとても面白かったです。

なんていうか、ジョン・ドウって、この世の悪を擬人化した存在みたいやばい奴なんですが、なぜか魅力も感じてしまう……サイコパスってカリスマ性がある人も多いって言いますからね。まさにその通りの存在でした。

丁寧に描かれた3人の人格

すべてはラストのために。

そんな作品でした。

ネタバレは控えたいので、ラストがどんな内容だったかについては言及しませんが、ラストに関して「どうしてあの人はあんな行動を取ったの?」「もっと良い方法があったのでは?」と、いくつかの点で疑問に感じた人は多いのではないでしょうか。

でも、そのための2時間

そのための2時間だったんです。

ラストの展開があって初めてそれに気付くという、ものすごいお話でした。

最初から暴走気味に正義感を爆発させているデヴィッドに、一見冷静なようでいて、精神的に病んでいる(攻撃的な一面がある)ということがわかっているウィリアム。そして、単純な愉快犯ではない(本人の中では無差別ではない)ものの、サイコパスであることは変わりないというジョン・ドウ。

2時間にわたり、この3人の人格を懇切丁寧に描くことで、ラストの展開が自然に感じられるようになっています。

ただのサスペンスじゃなかった。

序盤から中盤、終盤にかけて、犯人を追いかけ、謎を解明していく……だけのように見せかけて、何気ないシーンでこの3人の人格を鑑賞者に刷り込み、「自分ならこうするけど、まあ、この人ならそうするだろうな……こういうところがある人だもんね」と納得できるようになっているなと感じました。

ネタバレなしで観たい内容

「サイコサスペンス」や「どんでん返し」などと言って紹介されることが多い本作なので、基本的にはネタバレや前情報なしで観ることをおすすめします。

まあ、ラストを知っていても楽しめることは楽しめるんですけどね。

ただ、それはもう観たことがあって、再鑑賞するよってときの話。人の話で聞いたり、文字で読んだりと「情報」として知ってから観るのは、面白さが半減してしまうような気がしました。

迫真の演技

刑事としてはルーキーでも、俳優としてはベテランのブラッド・ピット。そして、数々の有名作品に出演しているモーガン・フリーマン。

この2人が出演していることからわかる通り、演技がすごいです。

迫真の演技。

大袈裟すぎず、けれども変な感じもしないリアルな感じで、気味の悪さがより引き立っていました。演技のうまいハリウッド俳優はたくさんいますが、「セブン」の登場人物たちをこの2以外の誰が演じられたのか? と思わせられました。

むしろ、2人の演技が自然すぎて、この2人はそもそもそれぞれがこういう性格だったんじゃないかとすら思えるほどでした。拍手。

言葉にできない「ずっと嫌な感じ」

作風がシリアスであろうとなんであろうと、多くの作品が緊張感のあるパートと脱力できるパートに分けて、緩急を付けたりしていますよね。

でも、この作品にはそれがなかった。

ずっとなんだか嫌な感じ。

2時間ずっと犯人と戦っているわけではないし、アクションシーンが続くわけでもないのに、薄っすら嫌な雰囲気がずっと漂っています

物語自体は淡々とした空気の中進んでいくのが、とてもリアルです。

これってたぶん、被害者がまったくの他人だからなんですよね。

サスペンスものの映画でありがちなのが、刑事の家族や恋人、友人あたりが犠牲になったり、あるいは知人のそのまた知り合いが被害者になったりして、「絶対に星を挙げてやる!」と熱くなる展開ですが、この作品では被害者はデヴィッドとウィリアム、どちらにとっても赤の他人であるために、この2人の故人への感情は実に淡々としたものです。

ある種の正義を掲げ、犯人を突き止めたいという思いからデヴィッドが熱くなることはありますが、それは悪を退治するためであって、100%故人のためというわけではないという。

そして、この淡々とした雰囲気が「なんか嫌な感じ」につながっているのだと感じました。

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映画「セブン」が好きな人におすすめの作品

映画「セブン」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。

  • 羊たちの沈黙(1990)
  • ダーティハリー(1971)
  • ブレイン・ゲーム(2014)
  • グリーンマイル(1999)

まとめ:最高の胸糞映画(褒め言葉)

めちゃくちゃ後味が悪い胸糞映画です。

ただ、胸糞映画は胸糞映画でも、良質な胸糞映画でした。

スッキリとした終わり方ではないはずなのに、モヤモヤがほとんど残らない絶妙な塩梅の作品だったと思います。ラストを知って再鑑賞するにしても、また別角度から楽しむことができそうです。

Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 83% AUDIENCE SCORE 95%
IMDb
8.6/10

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