ロープ(Rope) [DVD]劇場版(4:3)【超高画質名作映画シリーズ18】 デジタルリマスター版
映画「ロープ」を紹介します。
ひとつの舞台芸術を観ているかのような気分が味わえる「ロープ」。「サイコ(Psycho)」や「めまい(Vertigo)」、「鳥(The Birds)」などの名作を生み出したアルフレッド・ヒッチコック監督の作品です。
80分ほどの作品なので、寝る前のひとときや隙間時間などに気軽に観ることができますよ!
作品情報
- 作品名:ロープ(Rope)
- 上映時間:80分
- ジャンル:サスペンス、ドラマ
- 製作国:アメリカ
- 製作年:1948年
あらすじ
ニューヨークのとあるアパートの一室。大学を出たばかりの青年フィリップとブランドンが同級生を絞殺し、その死体を衣装箱に入れる。殺害の動機は、自分たちが他者より優れていることを証明するためだけだった。2人はさらなるスリルを求め、被害者の父や恋人、恋仇、伯母、そして恩師である大学教授を部屋に招いて晩餐会を開く。犯した罪の恐ろしさに次第に冷静さを失っていくフィリップと、大胆にも死体を見せたい衝動に駆られるブランドンだったが……。
(引用元:映画.com「ロープ」)
キャスト・スタッフ
- 監督:
– アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock) - キャスト:
– ルパート・カデル(Rupert Cadell)… ジェームズ・スチュワート(James Stewart)
– フィリップ(Phillip)… ファーリー・グレンジャー(Farley Granger)
– ブランドン(Brandon)… ジョン・ドール(John Dall)
– ジャネット(Janet)… ジョアン・チャンドラー(Joan Chandler)
「ロープ」注目ポイント
「素晴らしき哉、人生!」や「グレン・ミラー物語」など数々の人気作品に出演してきた名優ジェームズ・スチュワートを探偵役に据え、犯行を解き明かす静かな(サイコ)サスペンス物語。
狂気の沙汰のワンカット
密室サスペンスワンカットムービーとして名高い本作。
つまり全編ノンストップ。
80分もある映画がすべてノンストップと考えると、もはや狂気の沙汰としか言いようがありませんよね。
もっとも、ヒッチコックの代表作であり、史上初のワンカットムービーと言われる本作ですが、実際のところは何度かカット割りがあります。ワンカット(風)ムービー。
ちなみになぜこの時代にワンカットが革新的かつ斬新なアイデアとされたのかというと、俳優の負担が大きいからということ以外に、《撮影の限界》ということが挙げられます。
と、いうのも、当時は映像を撮影するのに約11分ほどのフィルム(35ミリ)を使うしかありませんでした。まあ、堂々とカット割りができるのであれば、たいして問題のない時間ですが。
ところが、すべてをワンカットにしようと思うと、それでは短すぎます。そこでヒッチコックは、登場人物の背中や家具をズームで映すなどして、カットのつなぎ目をわからないよう編集しました。
一応実験作となってはいますが、ただの傑作です。

俳優さんたちはもちろんだけど、なによりカメラさんお疲れさま……!
アメリカ時代のヒッチコック
サスペンスの巨匠ヒッチコックの監督人生を考えると、イギリス時代とアメリカ(ハリウッド)時代に分けることができます。イギリス時代の代表作は「三十九夜(The 39 Steps)」や「バルカン超特急(The Lady Vanishes)」、対するアメリカ時代の代表作は「サイコ(Psycho)」や本作です。
イギリスでもアメリカでも実績を残しているというのは……言わずもがな、それだけファンも多いということですよね!
そんなヒッチコックは生涯で50本以上もの長編作品を監督しました。
テーマは同性愛?
この作品の根底には《同性愛》がテーマとしてあるんだそうです。
たしかに主人公と相方の間では「2人で旅行に行こう」だとか「それが君の魅力なのだけど」だとか、「おやおやおや?」と思わせる会話が交わされていたりします。
ただし、それがあからさまでないのは、当時は検閲が厳しかったからということのようですね。この時代の匂わせ行為。
レオポルドとローブ事件
デヴィッド・フィンチャー監督の「ゴーン・ガール(Gone Girl)」同様、本作は実際の事件に基づいた作品となっています。その名も「レオポルドとローブ事件」。
同性愛関係にあった犯人2人が、実業家の息子を誘拐して殺害し、終身刑+懲役刑を受けたというものです。
犯行にいたった理由も、自分たちの優位性を確実なものにするためと、大元は「ロープ」と同じですね。ただ、舞台や設定など細かい部分はまったく違うので、普通にエンタメ作品として楽しむのがいいでしょう。
「ロープ」感想
きましたよ! ヒッチコック初のカラー映画!
加えて、史上初のワンカットムービーという初だらけの作品です。
もうね、「この時代にこんなことをやられたらたまったもんじゃねえ!」という感じ。厳密にはわかりづらくもしっかりカット割りが入っているんですが、それがわからないほどの編集技術です。
80分間ずっと部屋の中を行ったり来たりで派手な場面転換がないので(ワンカットなので当たり前)、演劇的な演出と言えるでしょう。ひとつの舞台を観に行っているような気分になります。
ちなみに本作ははじめから犯人がわかっているタイプのサスペンス。
冒頭でいきなり映し出される殺人場面はそこはかとなくショッキングですが、ゆえに後半では犯人とともに追い詰められているような感覚に陥ります。ハラハラドキドキです。
ブランドンとフィリップが同性愛関係にあるという裏(?)テーマも個人的にお気に入りで、それがうまく生きているなと感じるのが2人の性格の不一致。
早口になったりテンションが上がったりと多少の動揺はありつつも、終始落ち着いた様子を見せているブランドンに対し、フィリップは非常にわかりやすいですよね。「自分たちの優位性(=人間には優劣があり、自分たちは《優》のほうである)」を確認するというのが動機であるにもかかわらず、もしそんな優劣があるのだとしたら、フィリップはどう考えても劣!(是非はともかく)
完璧とは言えないものの冷静なブランドンのことですから、普通の状態であれば、そんなフィリップの性格はすでに見抜いていたはず。ということは、そこには多少の失敗やミスには目をつぶってしまう《普通以上》のなにかがあったのでは? と勘繰らずにはいられません。
ちょっとした台詞や仕草から、こうした人間関係を考察してみるのも非常に面白いですよ。
犯人はわかっているし動悸も殺害方法も明確なので、サスペンスというよりはヒューマンドラマですね。ヒッチコック作品は人間の描写がうまい!
無駄な登場人物がいない
【総合評価】
ストーリー:★★★☆☆
キャスト:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
演出:★★★★★
脚本:★★★★☆
小説や映画など物語性がある作品だと、どうしても「このキャラクターっていらなかったんじゃ?」という登場人物が出てきたりしますよね。
ヒッチコック監督の作品だと、それがない。
どのキャラクターも大事で、ちょっとした行動や仕草、視線に意味があるから、けっしてものすごい展開があるわけでなくとも画面から目が離せないんです。
それに、「ロープ」はじめ、ヒッチコック監督作品では「今度はなにをやらかしてくれるんだろう?」というわくわく感もあります。どんな試みがあったのか、なににこだわって作られた作品なのか、一度調べてから観てみると、また感じかたが違うかもしれませんよ!
※本記事の情報は2021年1月時点のものです。

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