サスペンスホラーの巨匠、アルフレッド・ヒッチコック監督の作品を語るうえで無視できないのが「サイコ(PSYCHO)」。公開が1960年ということもありモノクロ映画ですが、本物の名作は時代を超えても色褪せません。

なんと今年(2020年)で公開から60年!
掟破りのハチャメチャな設定と新たな取り組みは、当時の人たちをワクワクドキドキさせたはず。多少ショッキングなシーンはあるものの、ヒッチコック色が強い作品となっています。
作品情報
- 作品名:サイコ(PSYCHO)
- 上映時間:1時間49分
- ジャンル:サイコスリラー
- 製作国:アメリカ
- 公開年:1960年
あらすじ
会社の金を横領した女が立ち寄ったベイツ・モーテル。そこには管理人の青年ノーマンと離れの一軒屋に住む年老いた“母”がいた……。
こんな人におすすめ!
- サイコホラーのルーツとも言える名作が観てみたい
- ヒッチコック作品をまだ観たことがない
- 白黒かあ……ちょっと抵抗あるんだよね……
- そもそもサイコホラーってなに?
スタッフ・キャスト
- 監督/製作:
– アルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock) - メインキャスト:
– アンソニー・パーキンス(Anthony Perkins)⇒ ノーマン・ベイツ(Norman Bates)役
– ジャネット・リー(Janet Leigh)⇒ マリオン・クレイン(Marion Crane)役
– ジョン・ギャビン(John Gavin)⇒ サム・ルーミス(Sam Loomis)役
– ヴェラ・マイルズ(Vera Miles)⇒ ライラ・クレイン(Lila Crane)役
– マーティン・バルサム(Martin Balsam)⇒ ミルトン・アーボガスト(Milton Arbogast)役
「サイコ」注目ポイント
ジャンルの枠組みを超えて、多くの作品に影響を与えてきたのがこの「サイコ」という映画。ヒッチコック監督の鬼才ぶりが遺憾なく発揮されています。
当時の映画作品としては異色
当時の感覚として、「サイコ」は数多ある映画作品の中でも特に異色……というより、まさに「問題作」に近い立ち位置だったことがうかがえます。
なんといってもサイコパス×女装ですからね。かつてないルールギリギリの内容に、一時は公開も危ぶまれたようです。それが意外や意外、いざ公開に踏み切ってみると受けが良かったというのだから世の中わからないというか、さすがヒッチコック監督というか。
意外な“あの”シーンで落とし穴!?
「サイコ」の中でもっとも有名なシーンといえば、会社の金を横領して逃亡中のマリオン・クレインがシャワールームで刺されるところでしょうか?
「これぞヒッチコック!」と言わんばかりの場面についそこにばかり目が行ってしまいがちですが、実はその前のちょっとしたシーンではアメリカ映画史上初の映像が流れているんです。
それはトイレに破いた紙切れを流すシーン。
スクリーンにトイレが映ることも、トイレに水を流す音を入れるのも当時の常識から考えればありえないことだったそうです。面白いですね。
見事なまでのミスリード!
途中まで、話はマリオン・クレインが主人公であるかのように進んでいきます(主人公のひとりとしても差し支えないとは思いますが)。マリオンは会社の金を横領して逃亡する女性。
映画分析の観点から言うと「ああ、良いことにはならないんだろうなあ」とすぐにわかる出だしです。そもそもけっこうしょっぱなにベッドシーン(を彷彿とさせる場面)がある時点で察し。
でも、あくまでもマリオンが金を横領したという話を軸に物語が展開していくはず……と思いきや、これらの演出はすべてミスリード! あれだけハラハラさせておきながら、容赦なくマリオンを途中退場させてしまう度胸もすごい。
斬新なカメラワーク
「アメリ」の記事で主人公のアメリが嫌いなものについて触れました。それは「昔のアメリカ映画に出てくるわき見運転のシーン」。“どの”作品というわけではなく、なんとなく“あるある”な気がしますよね。
「サイコ」も例外ではなく、車の運転シーンが出てきます。
ここ。ここで他の作品ではなかなか見られない斬新なカメラワークの登場です。マリオンが金を盗んで逃亡を試みる最中、信号で停車することになります(マリオンの車が先頭)。
そこでパッと景色が切り替わり、運転席のマリオン視点で歩行者を映し出すんですね。これはなんとも珍しく新しいカメラワーク! そこに上司がいてマリオンと目が合うと「あれ? いや、でも見間違いか……」みたいな表情(演技)をするのも乙な演出としか言いようがありません。
「サイコ」を観た感想
随分前に一度観たきりの「サイコ」でしたが、名作は何度観ても、あるいはオチがわかっていたとしても楽しめるものですね。
特に先述した歩行者を映し出す場面なんかは「憎いねえ、このこのっ!」という気分にさせられます。
それに、マリオン中心で進んでいた話なのに退場はやけにあっさりしているあたり、さらに言えば探偵のアーバガストが事件解決に向けて活躍してくれるのかと思えばあまりにお粗末な退場となってしまうあたり、ヒッチコック作品ならではの“サイコパス”っぷりをひしひしと感じます。
とはいえ、「鳥」や「めまい」など他の代表作に比べると、取っつきやすい作品であることは間違いないでしょう。典型的なフーダニットをメインに据えた内容。殺人シーンで流れる金属音が入り混じったようななんとも耳障りな音は、一度聴いたら忘れられません。
モーテルに立ち寄る前のバケツをひっくり返したような土砂降りは大ざっぱな感じが否めませんが、「ハイ、今からとんでもないこと起こるよ!」「先行き真っ暗だよ!」と観る人の心を一気に掻っさらっていきます。
60年前の作品であるにもかかわらず、今観ても斬新だと思わせてくれる演出が多々あるのも見どころのひとつです。
これぞサイコホラーの最高峰!
ヒッチコック監督はまさにサイコホラーのマザー(親)とも言うべき存在。彼の生み出す作品に影響を受けた映画監督は少なくないことでしょう。
昔ながらのクラシック作品やヒッチコック作品を今から観はじめたい人には、「サイコ」というタイトルながらも話の流れが掴みやすいこの作品がおすすめです。
※本記事の情報は2020年11月時点のものです。

複数ブログ運営中! Twitterでは随時ブログ情報を更新していますので、よろしければフォローお願いします♡
コメント