ゴーン・ガール(字幕版)
「ソーシャル・ネットワーク」や「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」などの名作を世に生み出したことでも知られている、デヴィッド・フィンチャー監督が手掛けたサイコ・サスペンスです。
ラストの展開は賛否両論あるでしょうが、個人的には好きでした。
本記事は2021年01月に執筆されました(2024年06月更新)。すべての情報は更新時点のものです。
ワンフレーズ紹介
表があれば、裏もある。
作品情報
タイトル | ゴーン・ガール |
原題 | Gone Girl |
原作 | ゴーン・ガール/ギリアン・フリン著 |
ジャンル | サスペンス、ミステリー、スリラー |
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
上映時間 | 149分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2014年 |
レイティング | R15+ |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
恋愛結婚の末、幸せな生活を送っていたニックとエイミーの夫婦。しかし、ある日突然、エイミーが失踪してしまう。自宅のキッチンから血痕が発見されたこともあり、警察はニックが疑わしいとして捜査を進めるが……。
登場人物
(敬称略)
エイミー・ダン(演:ロザムンド・パイク)
結婚5周年の記念日に行方知れずとなった妻。幼い頃、作家である母親に「アメイジング・エイミー」という自分を題材にした絵本を出版され、苦い思いをした過去を持つ。
ニック・ダン(演:ベン・アフレック)
自宅のキッチンから大量の血痕などが発見され、妻を手に掛けたのではないかという容疑がかけられる。
デジー・コリングス(演:ニール・パトリック・ハリス)
エイミーに付きまとっていた男。
マーゴ・ダン(演:キャリー・クーン)
ニックの双子の妹。ニックとはきょうだい仲も良好で、できる限り兄の力になろうとする。
ロンダ・ボニー(演:キム・ディケンズ)
今回の事件の担当刑事。
映画「ゴーン・ガール」の感想
映画「ゴーン・ガール」の感想です。幸せな夫婦が実は……というお話に加えて、ただのサスペンス/ミステリーに見えて実は……というお話でもある。
元ネタは実際に起きた事件
この作品の原作は、ギリアン・フリンの小説「ゴーン・ガール」なんですが、実際に起きた事件が基になっています。
What we might not know – but do now – is that it’s got deep parallels with a real life murder case, where Laci Peterson, who was eight and a half months pregnant, was killed by her cheating husband, Scott Peterson.
(引用元:Here’s The Real, Chilling Story Gone Girl Was Based On (No Spoilers!)│Grazia Daily UK)
スコット・ピーターソンという不倫中にあった男性が、妻とお腹の中にいる子(8カ月半)を手に掛けた事件です。所謂「スコット・ピーターソン事件」ですね。
といっても、本人は事件当初から今に至るまで、無罪を主張しているのだとか。
「どこからどこまでが『物語』に反映されているのかなあ」と気になる人は、ぜひニュースなどを読んでみてほしいところですが、物語からもわかるとおり、あまり気分が良くなる事件(?)ではありませんので、あしからず。
ロザムンド・パイクの妖艶すぎる演技
「007/ダイ・アナザー・デイ」(’02)でボンドガールを務めたロザムンド・パイク。
本作では、行方不明になった妻エイミー役を演じたのは彼女でした。
……めっちゃすごかった。
純真無垢で慎ましやかな表情を浮かべたかと思えば、一瞬ののちには艶やかな女性へと変化する。同姓でありながらも、このギャップにドキドキさせられました。
この「裏があるんじゃないか?」みたいな笑顔に、ゾクゾクすること間違いないし。
NO謎解き
途中までは期待どおりのミステリー感が漂うものの、中盤ですでに種明かしが行われるため、謎解き要素はほとんどありません。
なんなら、真相が明らかになってからが見どころ、まである。
個人的には本作唯一の良心はニックの双子の妹マーゴだけだと思ったんですが、どうでしょう?
演じさせられることへの復讐
さて、突然ですが、結婚とはなんでしょう?
私個人としては、地獄(墓場)だと思っています。
無論、友人で幸せな結婚をしている人もいるし、必ずしもそうなると思っているわけじゃないんですけれども。
私が結婚というものに幸せなイメージを抱けないのは、両親の仲が悪かったという理由が大きな割合を占めています(自覚あり)。加えて、私の場合は、父親との関係が良くなかったというのもある。
このように、個人の結婚観って最も身近なケースが見本になっていることが多いように感じています。
エイミーもそうだったんじゃないかな。
母親と父親の関係というより、作家である母親が「アメイジング・エイミー」という絵本を出版したおかげで、自分自身を演じながら生きてきた。
それでもニックと恋に落ち、やっとそんな自分から解放されると思ったのに、また「仲の良い夫婦」を演じさせられようとしている。それはある種、他責的と言っていいかもしれませんが、誰もがエイミーを顧みなかったという点については可哀想にと思います。
……まあ、何一つ譲らなくていい完璧な結婚生活なんて、世界中のどこを探してもないんでしょうけど。
それを当てこすったブラックコメディーとして観ても面白かったです。
エイミーの笑顔
エイミーの一見裏があるんじゃないかという笑顔が好きだというのは先述したとおりですが。
一番好きだったのは、エイミーがこちら(ニック)を見上げてくるシーンでした。
冒頭と終盤で同じ映像が流れるんですが、まったく同じ映像であるのにもかかわらず、おそらく我々(視聴者)の感想は異なったはず。
これぞ
フィンチャー・マジック!
その後のニックの行動に若干の違いはあるんですが、同じ人(や仕草)でも、受け取り方は相手(視聴者)次第ということがわかるシーンです。
登場人物たちの人間らしさ
ニックはニックでやべー奴だし、エイミーはサイコだし。
そこにばかり目が行ってしまいがちですが、緻密な計画を立てていたのに、ふとした瞬間にボロを出してしまうエイミーとか、ニックにしても、建前を大事にしすぎたり、八方美人だったりする性格が自身の首を絞めてしまったりだとか、そんな人間らしい二人が意外と好きでした。
正直、どっちもどっちな性格をしているので、どちらにも同情しきれない……代わりに、過剰に「ざまぁ!」ともならない絶妙な設定でしたね。なにしろ、二人ともやべー奴に代わりないので。
映画「ゴーン・ガール」が好きな人におすすめの作品
映画「ゴーン・ガール」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- エル ELLE(2016)
- ザ・バニシング―消失―(1988)
- ザリガニの鳴くところ(2022)
- ドント・ウォーリー・ダーリン(2022)
まとめ:エイミーのサイコっぷりが楽しい
ロザムンド・パイクの凄まじい演技が印象的な作品でした。
本作を観て以降、ロザムンド・パイクを見るたびに「エイミーだ……」と思ってしまうぐらい。もちろん、夫ニックを演じたベン・アフレックも素晴らしかったですよ!
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 87% AUDIENCE SCORE 87%
IMDb
8.1/10