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映画「プラットフォーム」あらすじ・感想│資本主義や格差社会を表したスリラー?面白い?つまらない?

プラットフォーム_タイトル スリラー

プラットフォーム(字幕版)

一時期、結構話題になっていたスペイン発のスリラー映画「プラットフォーム」を鑑賞しました(実は二度目)。

グロさ普通、テンポ◎という感じ。

「めちゃくちゃ良い!」という人がいる一方、個人的には「普通に好き……かも?」程度でした。一度目の鑑賞前に絶賛コメントばかり読んでいたので、期待値が上がりすぎたのかもしれません……。

でも、面白いのには変わりありません。

本記事は2024年10月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。

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ワンフレーズ紹介

これぞ資本主義、格差(階級)社会。

作品情報

タイトルプラットフォーム
原題El Hoyo
ジャンルスリラー、SF
監督ガルダー・ガステル=ウルティア
上映時間94分
製作国スペイン
製作年2019年
レイティングR15+
個人的評価★★★☆☆

あらすじ

ある日、ゴレンが目覚めると、そこは「穴」の48層だった。そこは、台座で上層から下層に食事が運ばれる縦型施設。そこでゴレンは、同じ階層の老人トリマガシから「穴」でのルールを聞くことになるのだった――。

登場人物

(敬称略)

ゴレン(演:イバン・マサゲ)

自ら「穴」にやってきた人物。目覚めると48階層にいた。持ち込んだのは「ドン・キホーテの本」。

トリマガシ(演:ゾリオン・エギレオル)

48階層で目覚めたゴレンと同室(同じ階層)だった老人。持ち込んだのは「包丁(サムライ・プラス)」。

イモギリ(演:アントニア・サン・フアン)

かつては管理側だった女性。理想家でもある。持ち込んだのは「犬」。

ミハル(演:アレクサンドラ・マサンガイ)

食事が運ばれてくる台座に乗って、下に降りていく女性。曰く、息子を探しているらしい。

バハラト(演:エミリオ・ブアレ)

ゴレンと同室(同じ階層)になった黒人の男性。

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映画「プラットフォーム」の感想

映画「プラットフォーム」の感想です。完璧な民主主義がいかに難しいか、ということ。

格差(階級)社会と資本主義

台座に乗った食事が、上層から下層に向かって提供される世界……。

実に見事な格差(階級)社会を表していました。

ザ・資本主義という感じ。

上に行けば行くほど恵まれた環境になり、下に行けば行くほど苦しい生活になるという。

下層は下層でも、残飯を漁れる程度の下層にいる人間は、つまりその日暮らしのような毎日でも、なんとか生きていけるだけの食料が確保できるのに対して、そのさらに下層の人間は日々の食事さえままならず飢えていくだけ。

上には上がいるし、下には下がいる。

真ん中に開いた穴から顔を出して覗いても、上がどこまで続いているのか、はたまた下がどこまで続いているのかわからないという不穏さは、とても良かったです。

生まれの残酷さ

本作は、格差社会における生まれの残酷さもよく表現できていたと思います。

一カ月ごとに変わる階層。自分では、次にどの階層になるかわからない。上層かもしれないし、下層かもしれない。

上層に行ければいいけれど、下層で、それも食料も届かないような場所なら最悪です。下層になってしまったことを呪いながら飢えていくしかない。どんなに頑張っても……というか、頑張れる環境すら与えられなかったのだから。

今、この世の中には「自己責任論」を謳う人がかなり多くいる印象ですが、生まれた環境次第というところもあるのだという痛烈な皮肉を感じました。

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上層の人間の「明日は我が身」

ただ、上層の人間がただ「ラッキー!」と思うだけかというと、そうでもなく。

もちろんそれはあるんですが、「一カ月後、自分が置かれる階層によっては飢えるかもしれない」という恐怖から、「今のうちに腹一杯食べてやろう」と。

下層の人間をただ馬鹿にするというよりは、彼らは明日は我が身の姿そのものなんですよね。

性善説だけでは立ちゆかない世界

上層の人間にとっても、下層の人間にとっても、理不尽な世界の中。

当然、中には「みんな均等に食べれば、一番下まで食料は行き渡るはず」と主張する人間も出てくるわけですが。ここにきて性善説

わあ、失敗する未来しか見えないよーう……なんて、苦笑しつつ見守りました。

だって、それって、性善説と先に言った通り、みんながみんな協調性があり、同じ方向を向いていて、そのうえ過酷な状況にあっても他人を気遣える良い人じゃないと、立ちゆかない作戦ですよね。

現実世界でも、ルールを決めるときには「みんな良い人だろう」ではなく「一定数、悪い人がいるかもしれない」を念頭に置かなければこうなるよというのがよくわかります。

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無視される中間層

上層もしんどい、下層もしんどい。

なら、中間層が丁度良いのかというと、これもまたそうではないというのが、個人的に興味深いところでした。

これはゴレン自身によってですが、一部、中間層の食料が無視されるような場面がありました。「こいつらは普段なんとか食べているんだから、一日ぐらい抜いても構わないだろう。その分、下層に回せるし」ということで。

中間層、つまり、現実社会で言えば大多数を占める一般労働者だと思うんですけれども、自分たちは頑張ってなんとか暮らしているような状況で、決して余裕がある生活を送っているわけではないのに、自分より上層の人間から「まあ、言ってもお前ら普通に生活できてるんでしょ? だから優遇措置(あるいは施し)はもっと下の人間に与えることにするよ」なんて言われたら「いやいや、自分たちだって苦しいのは苦しいですけど!?」ってなるよなあと。

少子高齢化社会

もしくは、少子高齢化社会である今の社会にも相通ずるものがあるなと感じました。

中間層の無視。

特に今の社会は、完全に私個人の勝手な印象なんですけれども、高齢者か子どもか……このどちらかに対する政策が話題になることはあっても、中間層、20代~50代ぐらいまでのバリバリ働いている世代が報われる政策ってほとんど聞かないなと。

まあ、実際、私が政治に疎く、耳に入らないだけかもしれないんですけど。

なんとなく、ふと「この社会の構図に似ているなあ」と思ったところでした。

民主主義の難しさ

本作を観ていると、完璧な民主主義がいかに難しいのかがわかります。

理想の民主主義っぽいことはできても、完璧な民主主義はたぶん無理。相手を尊重し配慮するなんて、自分に余裕があるときじゃないと相当難しいですよね。

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映画「プラットフォーム」が好きな人におすすめの作品

映画「プラットフォーム」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。

まとめ:メッセージ性は強くも押しつけがましくない

格差(階級)社会、あるいは資本主義に対する風刺的な描写は多々あったものの、押しつけがましいわけではなく、それを抜きにしたエンターテインメントとしても楽しめるのが本作の魅力のひとつかなと思います。

ただ、謎が謎を呼ぶ構造であることは間違いない。……ので、好き嫌いには分かれるかもしれませんね。

Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 81% AUDIENCE SCORE 73%
IMDb
7.0/10

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