エスケープ・ルーム2:決勝戦(字幕版)
映画「エスケープ・ルーム」の続編です。
同一の主人公で話がつながっているので、前作を観てから視聴するのをおすすめします。
相変わらずの疾走感。グロさはそこまでなく、生々しいパニック映画が苦手な人にも観やすい作品となっています。
本記事は2023年12月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | エスケープ・ルーム2:決勝戦 |
原題 | Escape Room: Tournament of Champions |
ジャンル | アクション、パニック、スリラー |
監督 | アダム・ロビテル |
上映時間 | 88分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2021年 |
レイティング | PG-13 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
あらすじ
命を懸けた死の脱出ゲーム「エスケープ・ルーム」から生き残ったゾーイとベン。多数の命が犠牲になったこのゲームは、「ミノス社」が仕掛けたものだった。ゾーイは「ミノス社」の陰謀を暴くためにマンハッタンに向かおうとするが、過去のトラウマから飛行機に乗ることができなかったため、ベンに同行してもらい、車で向かうことになる。しかし、地図が示す場所には誰もいなかった。ふたりが途方に暮れていると、突然現れ、声を掛けてきた若者に、ゾーイは母親の形見であるペンダントをひったくられてしまう。ふたりは若者を追いかけて地下鉄に乗るが、そこは新たなゲームの始まりだった……。
登場人物
(敬称略)
ゾーイ(演:テイラー・ラッセル)
主人公。前回の「エスケープ・ルーム」で生き残り、「ミノス社」の陰謀を暴くためにマンハッタンに向かう。飛行機にトラウマがある。
ベン(演:ローガン・ミラー)
ゾーイに付き添い、マンハッタンに向かう。前回の「エスケープ・ルーム」の生き残り。
ネイサン(演:トーマス・コッケレル)
過去に行われた「エスケープ・ルーム」の勝者。聖職者で、自分だけが生き残ってしまったことに罪悪感を覚えている。
レイチェル(演:ホーランド・ローデン)
過去に行われた「エスケープ・ルーム」の勝者。無痛症で、痛みを感じない。
ブリアナ(演:インディア・ムーア)
過去に行われた「エスケープ・ルーム」の勝者。インフルエンサーで、旅行ブロガーとして活動している。なかなかゾーイを信じられずにいる。
テオ(演:カリート・オリベロ)
過去に行われた「エスケープ・ルーム」の勝者。彼が参加したゲームには潜水艦のルームがあり、その関係で鼓膜が破れたことから、補聴器を付けている。
アマンダ(演:デボラ・アン・ウォール)
前回の「エスケープ・ルーム」で、ゾーイやベンと共に戦った仲間。
映画「エスケープ・ルーム2:決勝戦」の感想
映画「エスケープ・ルーム2:決勝戦」の感想です。パニック映画らしいパニック映画であるにもかかわらず、そこまで描写がグロくないので、非常に観やすかったです。
パニック映画にありがちな生々しさはない
「キューブ」や「ソウ」のような脱出ゲーム系のパニック映画は、なかなかにグロい描写が多いですよね。
こう、見ていて「痛っっ!」と言ってしまいたくなるような。
でも、「エスケープ・ルーム2:決勝戦」に限ってはほとんどそれがない。
まあ、「痛々しいのがいいんじゃん!」という人にとっては、多少の物足りなさはあるかもしれませんが、個人的には、パニックとストーリーのバランスがうまく取れているように感じました。
物足りないと感じるか、ちょうどいいと感じるかは観た人次第です。
謎が深まる集められた参加者
「エスケープ・ルーム2:決勝戦」というタイトルにもあるように、今回のゲームは過去の「エスケープ・ルーム」で生き残った勝者を集めて行われるわけですが……。
みんな、どうしてあそこにいたん?
ゾーイとベンは「『ミノス社』の企てをぶっ潰してやる!」と、まず別の場所に行って、そこで鉢合わせた若者にゾーイの大事なペンダント(母親の形見)をひったくられたから、それを追いかけて地下鉄の車両に乗り込んでしまったわけですよね。
そこから始まった新たな脱出ゲーム。
ゾーイとベンは誘導されていたにしても、その車両に過去の優勝者たちだけが乗っているって本当に不思議。彼らはいったいなぜ、一カ所に集合していたんでしょうね。
しかも、その車両にかたまっているというだけで、他の車両には一般客が普通に乗っていたようですし。
ここらへんは、実はゾーイたちのようになにかしらの理由で意図的に集められたのか、それとも単なるご都合主義なのか、ちょっとわかりませんでした。
それに、ゾーイとベンにしても、母親の形見をひったくられたからといって、必ずしも追いかけてくるとは限らないし、たとえ追いかけたとしても、地下鉄までついてくるかはわからない。百歩譲って地下鉄まで来てくれたとしても、ひったくり犯をうまいこと追いかけて、ギリギリ車両から飛び出せた可能性もあるわけですよね。
偶然に頼りすぎていやしないか? と。
「あれれ~? おかしいぞ~?」な印象でした。
ほとんどない失速感
シリーズものでありがちなのが、回数を重ねるごとに失速感が出てきてしまうこと。
というのも、1作目を気に入って2作目を観る人というのは、1作目と同様の雰囲気や仕掛けを求めながらも、2作目ならではのオリジナリティも重視するんですよね。当然ですが。
そのあたり、この監督は視聴者が求めるものを完全に理解しているという感じでした。
「そうそう、これ! 『エスケープ・ルーム』に必要なのはこれだよ!」と思いながら鑑賞しました。謎が難しすぎてもいけないし、シンプルすぎてもいけない。痛々しすぎても「エスケープ・ルーム」っぽくないし、かといって何もないと話が進まない……。
めちゃくちゃちょうどいいバランスでしたね。
▼「エスケープ・ルーム」1作目▼
基本的にはみんな人間性◎の登場人物
前作と大きく違うのは、登場人物たちの人間性がそう悪くないこと。
そして、過去の脱出ゲームに勝利しているだけあって、肝が据わっているし、行動力もある。突然始まったゲームに対して「またか!?」と驚きつつも、混乱もそこそこに即座に謎解きが始められるのはさすがです。
自分が彼らだったら、ただただ絶望するに違いない。
そもそも、ゾーイやベンにとっては、まだ前回のゲームが終わってからあまり時間が経っていない状態。そんな中、また同じような状況になったら発狂してもおかしくありませんよね。
なのに、普通に立ち向かっているのがすごすぎます。
ベンも、ほとんどゾーイに巻き込まれたようなものなのに、一度も責めないどころか積極的にみんなを守ろうとするなんて、ちゃらんぽらんしているようでいて、めちゃくちゃ格好良いです。
今回は比較的潔いメンバーがそろっているので、参加者同士のごたごたがほとんどなくて観やすかったですよ。
これって、たぶん、全員が全員本質的に善人というわけではなくて、過去の脱出ゲームを乗り越えてきたという経験則から、「仲間割れしている場合ではない! とにかく一致団結しなければ!」という防衛本能みたいなものが働いているからではないかと思いました。
だって、ただでさえ、どんなに頑張っても死ぬときは死ぬ……みたいな理不尽さも併せ持ったゲームですから。
感情移入しすぎないから観やすい登場人物たちの最期
本作では当然、ゲームの(強制)参加者たちが犠牲になっていくわけですが、登場人物たちの過去についてはほとんど明らかになりません。
あるとしたら、それぞれの登場人物が前回参加したゲームの「共通事項」はなんだったかぐらい。
ゾーイやベンの回なら例えば、「なにかしらの事故の生存者」ということでしたよね。
ゾーイの場合、飛行機事故に遭い自分は生き残ったものの、目の前で同乗していた母を亡くしたという過去を持つわけです。ベンも、友人とのドライブ中に交通事故に遭っています。
同様に、決勝戦とされている今回のゲームの参加者たちも、過去のゲームではそれぞれ共通点を持っていました。
参加者たちに対するその他のプライベートに関する情報などは明言されていないので、もう少し人物について掘り下げたほうが人間味が増すのではないかと思える一方で、単純に謎解きだけに集中することができました。やっぱり、あんまりその人の背景について深掘りしてしまうと、どうしても感情移入してしまいますもんね。
自分の推し(?)が犠牲になると結構つらい。
なので、これぐらいあっさりしていたほうが観やすい場合もあると感じました。
通常版VSエクステンデッド・エディション
今回、サブスクで私が観た「エスケープ・ルーム2:決勝戦」は「通常版」。
そのほかに、「エクステンデッド・エディション」があります。
▼「エスケープ・ルーム2:決勝戦」(エクステンデッド・エディション)▼
エスケープ・ルーム2:決勝戦 (エクステンデッド・エディション)
なんと、このふたつ、終盤の内容が異なるんだそうです。
なかなか面白い仕掛けですね。なら、ぜひとも両方観てみたいという気になる。私は「エクステンデッド・エディション」は観ていないんですが、どのような終わりになるのか気になるところです。
ぜひ、3作目も作ってほしいな。
映画「エスケープ・ルーム2:決勝戦」が好きな人におすすめの作品
映画「エスケープ・ルーム2:決勝戦」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- サークル(2015)
- ハッピー・デス・デイ(2017)
- ファイナル・デスティネーション(2000)
- TUBE チューブ 死の脱出(2020)
まとめ:頭を空にして楽しめる脱出パニック
エスケープ・ルーム2:決勝戦(字幕版)
謎解き要素はあるのですが、いかんせん、理系大学生だったというだけあって頭の良いゾーイ。謎解き方面は彼女に任せておいて間違いないので、鑑賞している側はさして頭を使う必要もありません。
純粋に脱出パニックが楽しめる良作。
冒頭からゾーイのサポートに徹しているベンも、新たな「エスケープ・ルーム」が始まるとめちゃくちゃ頼りになります。ゾーイとベンの信頼関係にも要注目!