フィフス・ウェイブ [Blu-ray]
クロエ・グレース・モレッツ主演の映画。
映画「ヒューゴの不思議な発明」でイザベル役を演じていたアメリカ出身の女優さんですね。
あのときはまだ幼い少女という風貌だったので、改めて見ると「大きくなって、まあ……!」と不思議な感覚になりました。
本記事は2023年12月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | フィフス・ウェイブ |
原題 | The 5th Wave |
ジャンル | アクション、パニック |
監督 | J・ブレイクソン |
上映時間 | 112分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2016 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
あらすじ
謎の生命体「アザーズ」から四度にわたる攻撃を受けた末、突如として崩壊してしまった地球。「アザーズ」は人間に紛れ込んでいるので、見かけだけではわからない。四度の攻撃からはなんとか逃げ切ったキャシーとその家族だったが、ついに離れ離れしなってしまった。「必ず戻る」と約束したままはぐれてしまった弟を助けに行くため、キャシーは戦いの中に身を投じる。
登場人物
(敬称略)
キャシー・サリヴァン(演:クロエ・グレース・モレッツ)
主人公の少女。弟のぬいぐるみを取りに戻っている間に、弟と離れ離れになってしまう。ひとりで弟の救出に向かう。
オリヴァー・サリヴァン(演:ロン・リヴィングストン)
キャシーの父親。娘には、自分の身はしっかり守るようにと伝える。
サム・サリヴァン(演:ザッカリー・アーサー)
キャシーの弟。姉と引き離され、他の子どもたちと一緒に拉致されてしまう。
リサ・サリヴァン(演:マギー・シフ)
キャシーの母親。ウイルスが蔓延したあと、隔離施設にて医療関係者として感染者の治療にあたっていたが、本人も感染して亡くなってしまう。
ベン・パリッシュ(演:ニック・ロビンソン)
キャシーの同級生で、密かに憧れを抱いていた人物。他の子どもたちと一緒に拉致された先で、サムに出会う。
エヴァン・ウォーカー(演:アレックス・ロー)
キャシーが弟を救いに行く道中、銃に撃たれて重傷を負ったキャシーを保護する。
映画「フィフス・ウェイブ」の感想
映画「フィフス・ウェイブ」の感想です。人間に擬態できる(紛れ込める)謎の生命体が相手だなんて、結構斬新な設定ですよね。
視聴者をうならせる見事な設定
前触れもなく、突然謎の生命体「アザーズ」が攻め込んできたことにより、四度にわたる攻撃を受けるというのはなかなか他にはない設定だというふうに感じました。
一度目(第一波)は「暗黒」。これで電気や電波が届かなくなり、携帯がつながらなくなったり、教室が停電したり、飛行機が墜落したりします。
二度目(第二波)が「崩壊」。大地震に見舞われ、さらには二次災害の津波まで。このシーンが結構派手だった。むしろ、ここが一番の山場だったまである。
そして、三度目(第三波)の「感染」。ここでウイルス(正確には鳥インフルエンザ)がまき散らされ、どんどん人が感染していきます。キャシーの母親は医療関係者として懸命に治療にあたっていたけれど、本人も感染して亡くなってしまったらしい。
四度目(第四波)には「侵略」。確か、ここでやっと「アザーズ」という謎の生命体が地球を侵略しに来ているという事実が告げられたんだったような気がします。
ここまでで、なんと地球上にいる人類のうち99%が排除されてしまうというのだから、おそろしや。
ハードモードがすぎる。
しかも、第四波まではプロローグ程度の話で、キャシーたちが戦うのは第五波です。つまり、本編は実質、99%の人類が死に絶えた状態から始まります。絶望的。
「アザーズ」が単なるエイリアンじゃなく、人間に擬態している(というか、取り憑く)という設定はなかなか新しいですね。人間になりすましているなど、「アザーズ」の特性が割と序盤のほうで判明しているのも面白い。
まったく武闘派ではないキャシー
ひとりで弟を救出に向かう女子高生・キャシー。
このキャシーちゃん、本当に普通の子なんです。
特に頭が良いわけでも、体が強いわけでも、武闘派なわけでもない。「アザーズ」どころか、他の人間にすら対抗する術を持っていない。
弟がいる場所すらわからないのに、たったひとりで救出に向かおうとするあたり、子どもならではの浅はかさがあって好感が持てました。
高校生や大学生が主役のディザスター・ムービーやパニック映画なんかを見ていると、「よくこんな知識あったな」「それはちょっとタフすぎない!?」みたいな子が出てくるんですよね。まあ、サバイバルしなければいけない状況においてはぴったりの人選ではあるんですが、リアリティーがあるかというと……微妙なところ。
そんな何も持たないキャシーががむしゃらに頑張っているから、応援したくなります。
ここにオリヴァー(パパ)がいたらきっと頼りになったんでしょうが、物事はそううまくいきません。
対象はおそらくヤングアダルト
設定はいいのですが、意外と突っ込みどころも多い本作。
「『アザーズ』がどこに潜んでいるかわからないのに、結構呑気だな!?」とか「『アザーズ』の前でまあまあ堂々と走ってますけど、よく気づかれなかったな!?」とか。
いろいろあります。いや、相当ある。
ただ、「メイズ・ランナー」や「ハンガー・ゲーム」と一緒で、この作品はティーン、またはヤングアダルト向けにつくられていると思うんですよね。
大人が観て、なんか違う! これはおかしい! と興奮するような映画じゃない。頭で考えるのではなく、気軽にストーリーそのものを楽しむ作品だと感じました。
なんか謎の生命体が攻めてきた! 地球がやばい! どんどん人が減っている! 弟とはぐれた! 助けにいかなきゃ! 怪我した! 助けてもらった! よし、乗り込もう! えっ、(憧れの)ベン!?
このぐらい頭空っぽにして観るのが◎。
こんなに差し迫った状況なのにライトな恋愛要素を挟んでくるあたり、完璧に対象は若者です。
必要のない多すぎるキャラクター
サムやベンをはじめ、多くの子どもたちが拉致されているから仕方ないと言えば仕方ないんでしょうが、それにしても名前の付いたキャラクターが多すぎる。
こんなに必要か?(たぶん、必要ない)
目の周りを真っ黒にした囲みメイクの少女も、まあ、一応活躍はしてくれるんですけれども、あの存在感の割に結構普通だったなと。ベンに気があるのかないのかもいまいちわからないし。
子どもたちの中で個人的に認識できたのは、ベンとサム、それから囲みメイクの少女ぐらいでした。名前(ニックネーム)が出てくるようなキャラなんか、他にもかなりいたのにね。
状況的にはたくさんの子どもたちがいて当然なんですが、ほんのちょい役なら、わざわざ名前を出す必要はなかったんじゃないかなと思います。
やや中途半端なサバイバル
この手のストーリーは、あまり深く突っ込まないように気を付けているんですが、唯一、いろんなカ所が中途半端に終わってしまっているのだけは気になりました。
特に、森の中でのサバイバル。
せっかく「『アザーズ』がどこにいるかわからない」という絶好の設定があるんだから、そこらへん、もっとうまく活かしてほしかったなと。
人類が99%排除されたからといって、「アザーズ」の見た目は完全に人間なわけですし。ああ、そう言えば、この設定もあまり活かせていなかったような……。
というか、「アザーズ」って人間に変身できるとかじゃなくて、もともといた人間に取り憑く感じなんですよね。こうなると、「誰が味方かわからない!」というのに加えて、実は親しかったあの人が「アザーズ」になってしまったというような使い方もできたんじゃないかなって。
まあ、それだと今度はゾンビ映画っぽくはなってしまうでしょうけれども。噛まれたらゾンビになる的な。
実質、キャシーと「アザーズ」との間には終盤以外ほとんど何もなかったし、サムを助けに行くシーンもなんだか中途半端。せめてちゃんとフィニッシュまで行ってほしかったなという感想でした。
映画「フィフス・ウェイブ」が好きな人におすすめの作品
映画「フィフス・ウェイブ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ダイバージェント(2014)
- トワイライト~初恋~(2008)
- アイ・アム・ナンバー4(2011)
- ダーケスト・マインド(2018)
- シャドウハンター(2013)
まとめ:できるだけ頭を空っぽにして!
考えたら負けな作品。
深く考えず、頭を空っぽにして観たらなかなか楽しめます。
謎の生命体が侵略してくるという設定なので、ただのディザスター・ムービーやパニック映画などよりは現実味が薄く、どちらかと言えばファンタジーよりのヤングアダルト向け映画ですね。設定自体はなかなか斬新でした。