メイズ・ランナー (字幕版)
「ハンガー・ゲーム」のようなティーン/ヤングアダルト向けのデスゲームって、定期的に流行りますよね。
今回紹介する「メイズ・ランナー」も、そのうちのひとつ。
個人的には、主人公のトーマスよりも、その仲間であるミンホのほうにキュンキュンしてしまいました。最初から最後までずっと強すぎる。
作品情報
タイトル | メイズ・ランナー |
原題 | The Maze Runner |
ジャンル | アクション、サスペンス、スリラー、SF |
監督 | ウェス・ボール |
上映時間 | 114分 |
製作国 | アメリカ |
米公開年 | 2014年 |
レーティング | PG13 |
おすすめ度 | ★★★★★ |
あらすじ
箱の中で目を覚ましたトーマスは、すべての記憶を失っていた。外には、箱の中を覗き込むようにして立っている少年たちの姿が。曰く、彼らがいる「グレード」という場所には月に一度、物資と共に新しい人間が送り込まれてくるのだという。彼らはそこから脱出するため、外の世界とつながっているであろう迷路を必死で探索していた。だが、迷路の扉は夜には閉じられ、太陽が昇るまでに内部の構造は変化してしまう。扉の向こう側に閉じ込められてしまったが最後、「ランナー」たちの命はない。トーマスたちは、命を懸けて迷宮の謎を解き明かす。
登場人物
(敬称略)
トーマス(演:ディラン・オブライエン)
主人公の青年。箱の中で目を覚ますと記憶を失っていた。考えるより先に行動するタイプで、しばしば困難に直面するものの、仲間たちに助けてもらいながら切り抜けていく。
テレサ(演:カヤ・スコデラリオ)
トーマスのあとに送り込まれてきた女性。仲間たち同様、記憶を失ってはいるものの、目を覚ました瞬間に「トーマス」と口走る。
ギャリー(演:ウィル・ポールター)
トーマスより先にグレードで暮らしていた青年。決められていたルールを破ったりすることから、トーマスを良く思っていない。
ニュート(演:トーマス・ブロディ=サングスター)
トーマスより先にグレードにいた仲間。
アルビー(演:アムル・アミーン)
トーマスたちを纏めているボス的存在。グレードに一番最初に送り込まれ、次のグレーダーがやってくる前の一カ月は、ひとりで生き延びた。
ミンホ(演:キー・ホン・リー)
トーマスの仲間。ランナーとして迷宮の出口を探す。トーマスの無茶ぶりにもしっかりついてくるパワフルな青年。
チャック(演:ブレイク・クーパー)
トーマスの仲間。心優しいぽっちゃりさん。
フライパン(演:デクスター・ダーデン)
トーマスの仲間。仲間内ではすっかりごはん係になっている。
エヴァ・ペイジ(演:パトリシア・クラークソン)
研究機関・WCKDの局長。
映画「メイズ・ランナー」の感想
「生き残るために走れ!」みたいな映画かと思ったら、微妙に違った。走るのは基本的に「グレーダー」たちの意思だし、「ランナー」と呼ばれる人たちはミンホはじめごく一部でした。
主人公を差し置いて大人気のミンホ
「メイズ・ランナー」を見てまず思ったこと。
ミンホ、めちゃくちゃ格好良いなあ、おい!
口コミなどを見る限り、主人公のトーマスよりも人気があるようです。
それもそのはず。
トーマスの無鉄砲な行動についてくるだけでなく、理解者になろうとし、たとえそれが自爆行為であろうと誰を責めることもなく、危機が迫ったときには他人を励まし、ときに自分より先に逃がし……かといって、じゃあトーマスに巻き込まれているだけなのかというと(たぶん)そうでもなく、きっかけがそうだったというだけで、あとは自分の直感を信じている感じ。
漢気を感じます。
サバイバル能力が高すぎる。
トーマスも強いのは強いんだけど、どちらかというと運が強いという感じに見えるのに対し、ミンホは自分の力を過不足なく信じ、道を切り開いていくタイプですね。
走るのはグレーダーたちの意思
「メイズ・ランナー」というタイトルを見たとき、てっきり「この迷宮を生き残りたければ走れ!」みたいな話かと思いました。
が、違った。
若者たちが謎の空間であるグレードから(とりあえず)脱出するために、外の世界とつながっているであろう迷宮(メイズ)を闇雲に走り回るという話でした。
グレーダー(グレードで暮らす若者たち)の中でも特に足の速い人を「ランナー」と呼び、そのランナーたちが出口を求めて探索するという。
ここで「思っていたのと違う」とがっかりする人が結構いたようですが、個人的には、まあ、ランナーはランナーだし的は外れていないんじゃないのと思いましたね。むしろ、そんなシンプルな話じゃなくてよかった。
これで、目を覚ましたら迷宮で、生き残るために走るみたいな安易な設定だったら、それこそ「ハンガー・ゲーム」とほとんど同じになってしまいますから。
方向音痴には無理すぎる迷宮の解明
上記では「ランナーたちが迷宮を闇雲に走る話」とざっくり説明しましたが、毎日馬鹿みたいにただ走っているわけではなくて、大きすぎる迷宮の道筋というか、出口を見つけようとしているんですね。
でも、迷宮は夜に扉が閉じられてから、朝がくるまでに内部の構造を変えてしまう。
そのロジックをミンホたちランナーが頑張って解明しようとしているんですが。
うん、方向音痴には絶対無理。
迷宮が変化するのにある程度のロジックがあるといっても、あんなに広大な迷宮(しかも通路は壁で仕切られている)を走り回ったからと、どのような構造になっているのか理解するのはかなり至難の業だったはずです。
「私だったら、たとえ足が速くてランナーに選ばれたとしても、迷宮の構造を覚えて帰ってくるのとか絶対無理で、すぐにクビになるんだろうなあ……」と思いながら見ました。
なにしろ、一度建物に入ると、もうどっちから来たのかわからなくなる人間なので。
無知ゆえに最強の人・トーマス
話が好きでも、トーマスにはイライラしたという人は多いのではないでしょうか。
だって、トーマスはまだグレードに来て、迷宮がなんたるか、ランナーたちが何をしているかもよくわかっていない状態だったのにもかかわらず、周りの人たちが止めるのを無視して、迷宮に入ってしまうわけですから。
グレーダーたちの取り決めとして、ランナーと呼ばれる人たち以外は迷宮に足を踏み入れてはならないというものがありました。
このルールだって、最初は、できる限りグレーダーたちを危険に晒さないために出来たものですよね。速く走れないと、いざというときに逃げ遅れる可能性が高いからです。
それなのに、新人であるトーマスが「脱出方法を見つけなきゃ」「迷宮がなんなのか知りたい」なんて言って、中に入ってしまった。
「トーマスが考え付くような方法は、自分たちがすでに試している」。これは作中でニュートも言っていたことですが、昔からグレードで暮らす若者たちにとってはまさにこの通りで、さぞ目障りだったことでしょう。
トーマスも、あの身体能力と変な度胸がなければ、そしてミンホが一緒にいなければ、きっとこの時点で退場していたでしょうし。お得意の運です。
行動力のある馬鹿って、周囲に迷惑をかけることが多いですよね。
トーマスの場合は、良い方向に進んでよかったです。
ここまで無茶なやり方だと、0か100かみたいな感じで、全滅していたとしても可笑しくなかったでしょう。
残ったままの謎
個人的には、「なぜ」より「デスゲーム」そのものに注目して楽しむべき作品だというように感じました。考察をしたところで、モヤモヤが残る部分がある映画ですしね。
トーマスたち若者をグレードに放り込んだまではいいとして、そもそもなぜ巨大迷宮を作ったりしたのか。なぜ物資と一緒に毎月ひとりずつ送り込まれてきたのか。なぜ記憶をなくす必要があったのか。
いったい何が行われていたのかは最後のほうにチョロッと説明があるのですが、それも「本当に? 後付けじゃない?」と感じてしまうような内容。
謎を残したままでも、トーマスたちが必死で駆け抜ける爽快感みたいなものを楽しめる人にはおすすめです。
偉人の名前を引き継いだ登場人物たち
「メイズ・ランナー」の作者、ジェイムズ・ダシュナーによると、この作品に登場するキャラクターたちの名前は、世界の偉人にあやかっているようです。
例えば、主人公であるトーマスの名前は、かの有名なトーマス・エジソンから。
テレサはマザー・テレサで、アルビーはアルバート・アインシュタイン、ニュートはアイザック・ニュートン、ウィンストンはウィンストン・チャーチル、ギャリーはガリレオ・ガリレイ、ベンはベンジャミン・フランクリン、マイクはミケランジェロ、チャックはチャールズ・ダーウィンなど。
考えてみれば確かに! という感じですね。
映画「メイズ・ランナー」が好きな人におすすめの作品
映画「メイズ・ランナー」が好きな人には以下の作品もおすすめです。
- ハンガー・ゲーム(2012)
- アイ・アム・ナンバー4(2011)
- ダイバージェント(2014)
- シグナル(2014)
まとめ:ティーン向けのデスゲームなら
考察が好きな人にとっては物足りない部分があるかもしれませんが、ティーンやヤングアダルト向けの作品が好きな人には楽しめる作品です。
とにかくミンホが格好良い。
チート級にパワフルなだけでなく、メンバーの中では一番理性的で、大人なのもこの人でしょう。それだけに、続編ではあっさり死にそう……。メイズ・ランナーの世界は、今後どうなっていくのでしょうか?