
イマジナリー
映画「ザ・スイッチ」(2020)や「ザ・ハント」(2020)、「ハッピー・デス・デイ」シリーズ(2017~)、「グリーン・インフェルノ」(2013)などの作品で知られるブラムハウス・プロダクションの映画です。
ブラムハウス発ということで、やっぱり期待しますよね。
いざ鑑賞した結果としては、普通に面白いけれど、思ったのとは少し違ったという物足りなさがあったという感じでした。作品を通しての雰囲気はとても良かった。
本記事は2025年04月15日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
イマジナリーフレンドは「チョンシー」という名前。
作品情報
タイトル | イマジナリー |
原題 | Imaginary |
ジャンル | ホラー |
監督 | ジェフ・ワドロウ |
上映時間 | 104分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2024年 |
公開年(米) | 2024年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
児童文学作家のジェシカは、夫と夫の連れ子2人と共に、自身が幼少期を過ごした家へと引っ越してくる。そんな中、末娘のアリスは、家の中で見つけたテディベアに「チョンシー」という名前をつけ、友達として振る舞い始めた。子どもの頃は、誰にでもイマジナリーフレンドがいるものだ。そう微笑ましくアリスを見守っていたジェシカだったが、ある日、アリスが釘に自分の手を打ち付けようとするのを目撃してしまう。間一髪のところでなんとか阻止することができたジェシカだが――。
主な登場人物
(敬称略)
ジェシカ – Jessica(演:ディワンダ・ワイズ)
児童文学作家。夫の連れ子2人のうち、上の義娘テイラーとはあまりうまくいっていない。
アリス – Alice(演:パイパー・ブラウン)
ジェシカの義娘(末っ子)。引っ越した先の家の中でテディベアを見つけ、「チョンシー」と名付ける。以降、イマジナリーフレンドとしてチョンシーと遊ぶ。
テイラー – Taylor(演:テーゲン・バーンズ)
ジェシカの義娘で、アリスの姉。新しく母になったジェシカをうまく受け入れられずにいるため、たびたび反発する。
マックス – Max(演:トム・ペイン)
ジェシカの夫。離婚歴があり、前妻は精神を病んで入院中。ミュージシャン。
グロリア – Gloria(演:ベティ・バックリー)
ジェシカたちの隣人。ジェシカが幼い頃にはよく面倒を見てくれていたらしいが、ジェシカ本人は幼かったため、覚えていない。
映画「イマジナリー」の感想
映画「イマジナリー」の感想です。良くも悪くも「思っていたのと違った」という印象。個人的には、ちょっぴり物足りなかったかも。
程よいジャンプスケア
映倫の審査で「G」区分になっているということで、確かに誰でも観られますよ! というぐらいの怖さでした。
まず、雰囲気はとても良かった。
ずーっとうっすら不穏な感じ。アリスがテディベアを見つけて、友達(イマジナリーフレンド)になって、徐々に影響されていくという段階が自然で、けれどもずっと不穏なんですよね。
ただ、基本的にものすごく怖いということはない。何度かジャンプスケア的なものはあって、これはまあまあ良かったんだけれども、眠れなくなるほど怖いとかそういうことはありませんでした。
大人びたアリスの表情
で、アリスは見つけたテディベアに「チョンシー」という名前をつけるわけですが、このチョンシー、つまりイマジナリーフレンドの影響でおかしくなっていくアリスの演技が本当にすごかった。ほとんどすさまじかったと言ってもいい。
テイラーが招待した友人に悪態をつく時とか、普段のアリスなら絶対にしない悪い表情をしていますものね。なんていうか、性格が悪そうなドギツイ顔。異様に大人びていて恐ろしくすらある。
パイパー・ブラウンの演技が光っています。
幼くしてものすごい子だなと思って調べてみたところ、2013年生まれらしいので現在(2025年4月)は11歳とのこと。11歳にしてこの演技。一気にファンになってしまいました。
唐突なツアー
ただ、個人的に気になるところも少なからずありました。
例えば、ジェシカの夫であり、ミュージシャンであり、子どもたちの実の父親でもあるマックスがツアーに行くというあたりとかね。子どもたち(特に上の娘)が妻に懐くどころか反発しているのをわかっていながら、妻に子どもを託して長期間不在にするなんて。
「無理そうだったら残れるよ」みたいなことを言っていますし、残れるんだったらそうしてやりなよ……と思ってしまいました。妻が「大丈夫」と言ったとしても、この状況で子どもたちを置いていくなんて不安すぎやしないかいと。妻を信用しているしていないの問題ではなく。子どもにとってもすごいストレスになりそうだし。
雑な設定
というか、上記のことも含め、結構設定に雑な部分がある印象でした。雑というか、別になくても問題ない設定みたいな。
マックス不在の理由にしても、残るか残らないか選べるツアーじゃなくて良かっただろうし、マックスと離婚した妻が精神疾患を患って入院しているという設定にしなくて良かっただろうと思う。そんな複雑な設定にしなくても、死別したとか性格の不一致で離婚したとか、そういうので十分だったような気がしてしまいました。
たぶん、上の娘テイラーの反発は、実母が生きていてこそのもののような気もするから、後者のほうがいいのかな。とにかく、精神疾患云々の設定の必要性はあまり感じなかった。
この設定を使うなら使うで、もっとうまくなんやかんやしてほしかったというのが正直なところですね。
テディはテディのままに
あと、これは個人的な好みもあるかもしれないんですが、テディベアのビジュアルにも物申したいところ。
いや、可愛いんですよ。テディベア(チョンシー)は可愛い。でも、可愛いからこその不穏さってあるじゃないですか。フランス人形とかもそう。普通に見たら美しいし可愛いんだけど、家や部屋にひとりきりになって、ふと感じた視線にあたりを見回したらそこにフランス人形がいた……みたいな。今まで可愛く見えていたものが、突然不気味に感じる現象。なんでしょうね、あれ(実体験)。ちなみに、うちにいたフランス人形ちゃんたちはしっかり供養してもらいました。
と、話はズレましたが、テディベアはテディベアのままであったほうが怖かったと思うんですよね。予告編にあるように、わざわざ化け物のようにしなくても。なんなら、声を出したのも動かしたのもあまり良くはなかった。動かないし喋りもしないけど、気がついたらそこにいるというほうが、よっぽど怖い。
思っていたよりファンタジー
でも、このファンタジー感は好きでした。
思っていたのと違うというか、思っていたよりだいぶファンタジーな世界観だったけれど、このあたりは予想を超えてきました。ハッピーな空間とホラーって、意外と相性が良いんですよね。ファンタジーとはまたちょっと違うけど、映画「ミッドサマー」(2019)とかも明るい系ホラーでした(アリ・アスター監督は「ホラー」という言葉を回避しているようでしたが)。
本作も、可愛いんだけどどこか不穏なダークファンタジーって感じ。
子どもの想像力はすごい
そして、本作を観て改めて思わされたのが、子どもの想像力はすごいなってこと。
私も実は、想像力というか、妄想力(?)豊かな子どもだったんですけれども、ジェシカのように児童文学作家になるような人だと、もっともっとすごいのでしょうね。覚えていないだけで、実は自分にもイマジナリーフレンドとかいたのかなって考えちゃった。
でも、ジェシカが見た子どもたちの想像というやつは、怖いものばかりだったのかしら。楽しいものも含めて、怒濤の勢いで頭の中に流れ込んでくるから、大変なことになってしまうのか。いったいどんな景色を見ているのだろうとは思いました。
映画「イマジナリー」が好きな人におすすめの作品
映画「イマジナリー」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 悪魔と夜ふかし(2023)
- ジーパーズ・クリーパーズ(2001)
- ハロウィン・キラー!(2023)
- クワイエット・プレイス(2018)
まとめ:家族で観られるホラー映画
ホラーでありながら、ファンタジーな世界観もあり、そこまで怖くないので家族みんなで観られるタイプの作品かなと思います。ああ、でも、ジャンプスケア要素はたびたびあるので、そこは要注意。実は、これが意外とドキッとした。
良くも悪くも思っていたものと違って物足りなさはあったけれど、それなりに満足できました。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 24% Popcornmeter 53%
IMDb
4.7/10