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映画「THE POOL ザ・プール」あらすじ・感想|不運に次ぐ不運!絶望と失笑が繰り返されるB級映画

THE POOL ザ・プール_タイトル スリラー

THE POOLザ・プール(吹替版)

完璧に計算され尽くした映画ばかり見ていると、たまに恋しくなりますよね。

B級映画。

あのなんとも言えないチープさと、時折見られる突っ込みどころ満載のシーンがクセになります。

微笑みの国・タイで生まれた「THE POOL ザ・プール」は絶望と失笑が良い具合に繰り返される良作。すっかりハマってしまいました(二度は見ないだろうけど)。

本記事は2023年11月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。

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最新情報

タイトルTHE POOL ザ・プール
原題The Pool
ジャンルパニック、スリラー
監督ピング・ランプラプレング
上映時間90分
製作国タイ
製作年2018年
おすすめ度★☆☆☆☆

あらすじ

アートディレクターとして働いているデイは、ある日、水深6メートルのプールに取り残されてしまう。そこへやって来た恋人のコイだったが、水が抜かれつつあるプールに気づかず、勢いよく飛び込んでしまう。頭を打ち付けて、失神してしまうコイ。だが、間の悪いことに、脱走したというワニの影がふたりに忍び寄る……。

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登場人物

(敬称略)

デイ(演:ティラデート・ウォンプアパン)

アートディレクターとして働く青年。うたた寝をしていたため、水を抜くところだった水深6メートルのプールに閉じ込められてしまう。

コイ(演:ラットナモン・ラットチラタム)

デイの恋人。デイと共に、水深6メートルのプールに閉じ込められる。妊娠中。

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映画「THE POOL ザ・プール」の感想

突っ込みどころ満載で、絶望と失笑を繰り返しました。でも、それがまた良い。B級映画ならではの良さが前面に押し出されていたと思います。

新パターン!ワニは添え物

サメだったりアナコンダだったり、こういった動物系のパニック映画というものは、だいたい当該動物との戦闘がメインになっているのがセオリーだと思っていたんですが。

なんと、こちらの作品は、ワニ映画でありながら、ワニは添え物程度の存在感です。

そこまで獰猛という感じもしなくて、同じ空間にいるのに、基本的には睨み合い。たまに撫でたり噛み付いたりしてくるぐらいなので、あんまり対ワニという感じはしません

どちらかと言うと、脱出に重きを置いた作品という印象。そこにたまたまワニがいた……みたいな。

ワニが出てくるなんて実にタイらしい作品ではあるんですが、デイがワニの存在を無視しているような部分もあったりして、「危ない! 危ないよ! ワニ、そこにいるんだよね!?」となります。変な意味でハラハラ。

すべて裏目に出る不運すぎる主人公

あとは、思わず笑ってしまったのは、デイの不運さ

(助けてくれるかもしれない)人がせっかく来たときに限って、その場にいないデイ。恋人が来たのに、呑気に寝ていたせいで助けを呼べなかったばかりか、恋人に怪我をさせてしまうデイ。誰かからの着信があり、その振動でじりじりとプールのほうに動いてくる携帯電話を受け取ろうと待ち構えるも、逆サイドでプールに落ちそうになっている愛犬ラッキーを救助に向かったせいで、その機会を逃してしまうデイ。

……そ、そんなことある!?

いろんな映画を見てきましたが、ここまで不運が続くアンラッキー人間は初めて見ました

まさに主人公補正の逆パターン。これ、なんて言うんでしょうね。

ただし、そのほとんどは主人公のうっかりから始まっているので、なんとも言えません。初手にやたらめったら動かず、じっと待っていれば普通に助かった気がする。

要注意!愛犬家には見ていられないラッキーの不運(アンラッキー)

さしてドキドキハラハラする展開もないこの作品ですが、ひとつだけ。

愛犬家には耐えがたい描写があります。

デイの愛犬・ラッキーがひどい目に遭うので、そこだけ覚悟が必要です。

このラッキーがひどい目に遭うシーンがまた、最初にコイがプールに落ちるときとほとんど同じ展開で、なんとも言えないんですよね……。

デイもコイも似たり寄ったりの駄目人間

正直、デイもコイも似たり寄ったりの駄目人間だなと感じました。

いわゆるロクデナシってやつ。

コイが妊娠しているらしいと知り、働いても働いても貧乏なままだから、自分に子どもなんて育てられないとのたまうデイ。コイには流させるとか言うし(この時点で、タイで人工的に流させる行為は基本的に違法)。

やることやっといて、ひどい言い草ですね。「出来るとは思わなかった……」ってこと? だとしたら、なおさらロクデナシ。

じゃあ、コイはひたすら可愛そうなのかというと、妊娠に関してはそうなんですが、この人はこの人で常識ないんじゃないかと思う描写もあって。

冒頭でCM撮影をするシーン。

そこで仕事をしていたデイのもとに、愛犬・ラッキーを連れてコイがやってきます。タイは常夏の国ですし、暑かったのでしょう。

コイがデイに「飛び込んでいい?」と。

いや、アッカーン!

まだCM撮影が完全に終わっていない状況で、まったく関係のない人間が、その道具とも言えるプールを勝手に使って良いわけはないだろうに。もちろん「駄目」だと言われるわけですが、それでも諦められなかったのか、あとになって戻ってきて飛び込もうとし、挙句の果てには失敗して失神するし。

だいたい、妊娠したとわかっているのに、飛び込み台から勢いつけて飛ぼうとしますかね? 母親になるかもしれない自覚がなさすぎる。

ある意味、似たもの同士のカップルではあるので、釣り合ってはいるんでしょうかね

そもそも、日本人の感覚からするとアートディレクターって、デイが言うほどの貧乏人がなる職業じゃないような気がしますし、デイは「働いても働いても金がない」みたいなことを零していたけど、そこそこ肥えた犬を飼ったりしていますし。

デイの駄目人間っぷりやあとあとのことを考えない様子を見ていると、「働いても働いても金がない」というのは、つまり稼いだところで、それ以上にお金を使ってしまう人間だからなのではと思ってしまいました。真実はわかりませんが。

突っ込みどころ満載の謎設定

この作品を見た人なら誰もがまず突っ込んだであろう設定。

水深6メートルのプールに梯子が付いてないの、なんで?

のっけから謎すぎて、思わずインターネットでこの作品を見た人の感想を調べてしまいました。いや、だって、もしかしたら「梯子がないプールっておかしくない?」と思った自分が変なんじゃないかって思ったんだもん。

こう、自分の常識を疑ったというか。

でも、やっぱりほとんどの感想で同じようなことが書かれていたので、安心しました。

知人に「プールの水、抜いているからね」と言われていたのに、わかったわかったと返しつつ、なぜかそのままくつろいでいるデイ。梯子がないならないで、最初からそんなのわかっているんだから、なぜすぐに出ようとしなかったのか。

取り残されたのは、完全に自業自得

まあ、それ以外にも突っ込みたくなる設定は何個かあったんですが、これに勝るものはないでしょう。

あとは、水深6メートルとか言っていますが、見た感じ、デイでも頑張ればどうにかこうにか登れそうではある。プールの中にあるソファーとかを使えば。

運が悪いのに加えて、デイはうっかりさんでもあったようです。

リアルな傷痕の描写

設定や演出などでチープな部分があるかと思いきや、意外と「ここはすごいぞ!」というところもあります。

それは、傷痕や血の描写。

血が流れていく様子とか、赤味具合とか、身体に付けられた噛み傷とか。とにかく、怪我をした部分の描写がかなりリアルでした。

これがまた結構痛々しくて、なんだか映画の「ソウ」を彷彿とさせましたね。映像の色合い的にも、まさにそんな感じだった。

まったく活かされていなかった病気設定

ディザスター・ムービーやパニック映画の設定として、糖尿病や喘息など、なにかしらの病を患っている登場人物が薬(インシュリンや吸入器など)を忘れて、取りに行かなくてはならないというシチュエーションは実によくあるものです。

この作品もまさにその通りで、デイが糖尿病を患っています。

そもそもヒーロー本人が病気だというのはなかなか珍しいパターンだと思うんですが、それよりも、この設定をうまく活かせていなかったのが非常に残念

パニック映画でこのような設定が使われる場合というのは、「一刻も早く薬を手に入れなければ」という(目に見えない)厳格な時間制限を設けることで、視聴者の緊張感を煽ろうとしているパターンが多いと思うんですよね。

まあ、たぶん、この作品でもそうだったんだとは思うんですが。

でも、ワニがいたり、脱出口がなかったり、コイも怪我をしていたりと、すでに諸々の制限が課せられているので、そこにさらにインシュリン問題まで出てくると、ひとつに集中するのはなかなか難しいというか。

少し雑多というか、雑な設定であるような気がしましたね。

B級映画だから!目をつぶるべきご都合主義

ラスト含め、ストーリーがもはやご都合主義の塊です。

だけど、これはB級映画。

B級映画なんです。

このくらいが丁度良い。

このチープ感がたまらないんです。こう、監督や脚本家に都合の良いように進んでいく世界というか。B級映画としては満足感たっぷりです。

ただ、ワニの口にガムテープが入っていたシーンは、思わず爆笑してしまいました。「なんで!? それはさすがにありえんやろ!」って。

笑えるのがまた良いんですよね。

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映画「THE POOL ザ・プール」が好きな人におすすめの作品

映画「THE POOL ザ・プール」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。

  • ロスト・バケーション(2016)
  • クロール ー凶暴領域ー(2019)
  • フォール(2022)
  • ALONE(2016)
  • [リミット](2010)

まとめ:突っ込みどころはあれどワニはリアル

突っ込みどころ満載で、パニック映画ならではのドキドキはあまりないものの、ワニはかなりリアルでした。さすがタイ。

犬がひどい目に遭うため、愛犬家NGの作品。そこだけ本当に要注意。

ほかは意外と楽しめました。うっかりさんたちに対してイライラしない人におすすめです。

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