スカイハンガー(字幕版)
キプロス産の映画というものを初めて鑑賞してみました。
その名も「スカイハンガー」(原題は「S.O.S. Survive or Sacrifice」)。
気球に乗ったら地上に戻れなくなるというシチュエーションスリラーですが、うっかりがうっかりを呼ぶ、こりゃほとんど人的ミスによる被害だ! と思わざるを得ない内容でした。
本記事は2024年07月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
もう、うっかりさんなんだから!
作品情報
タイトル | スカイハンガー |
原題 | S.O.S. Survive or Sacrifice |
ジャンル | スリラー |
監督 | ロマン・ドロニン |
上映時間 | 90分 |
製作国 | キプロス |
製作年 | 2020年 |
レイティング | ― |
個人的評価 | ★☆☆☆☆ |
あらすじ
離れて暮らしていたケイトとリズの姉妹。歳の離れた2人の仲は良好とはいえず、旅行に来た今も2人の間にはギスギスとした雰囲気が漂っていた。ケイトはクラブで知り合ったミラという女性と意気投合し、「気球に乗ってみないか」とナンパしてきた男性2人について行くことにした。しかし、そんな4人を思わぬトラブルが襲うのだった。
登場人物
(敬称略)
ケイト(演:ジャニーン・カスパー)
リズの姉。離れて暮らしていた妹をどう扱ったらいいか悩んでいる。
ミラ(演:マリアナ・ロセット)
ケイトがクラブで知り合った女性。
映画「スカイハンガー」の感想
映画「スカイハンガー」の感想です。シチュエーションスリラーとしては致命的な点が多々あって、緊張感がほとんど消滅していました。残念。
過去に何かあった?キツい妹
いかんせん、妹の性格がキツすぎる。
まず、基本が姉を邪険に思っている態度。反抗期だと思えばわからないでもない、でも、挙げ句の果てには「友達いないんだろう」と姉を挑発するあたり、「キツぅ……」とちょっと引いちゃった。ここに反発したくなるケイトの気持ちもわからないでもない。
まあ、2人の過去にはほとんど触れられないので、過去によほどのことがあったんだろうな、と強引に自分を納得させることはできます。
そうじゃないと、姉とはいえ、一方的に嫌な態度を取られ続けるケイトがちょっと可哀想に見えますしね。え、反抗期ってこんなもん?
気球に乗りたい気持ち
クラブで知り合ったばかりの女性と共に、ナンパしてきた男の気球に乗りに行くという謎シチュエーション。
個人的には、一部理解できるなという設定でした。
私も、海外暮らしをしている際に、知り合ったばかりの女の子に誘われて、小型飛行機の操縦体験をしに行ったことがあるので。
とはいえ、相手が男性だったら絶対について行かなかったと思うし、お酒が入っているときに誘われても断っていたと思うので、ケイトに関してはあまりにも危機管理が足りなかったと言わざるを得ないんですが。
人間、旅行中は開放的になるものなので、いつもより慎重になる必要があるんですよね。
うっかりがうっかりを呼ぶ登場人物
本作を一言で表すとしたら、
もう、みんなうっかりさんなんだから!(おでこコツン☆)
です。
まず、乗り場についた時点ではもうほぼお酒も抜けているだろうに、気球を地面につないでおくのを忘れるってなんたるうっかり!
いやいや、どうにか頑張って気球をコントロールできれば――。
なんと、誰も操縦の仕方を知らないといううっかりミス! 「だって(ロープにつないだまま)ちょっと浮いて戻ってくるつもりだったんだもん☆」じゃねーわ、とツッコミを入れたくなるうっかりコンボでした。
シンプルなストーリー
上記からもわかる通り、ストーリー自体はシンプルそのものだったかなと思います。
本作の良いところを挙げるとすれば、この辺でしょうね。
シチュエーションスリラーの設定は、シンプル・イズ・ザ・ベストですから、理由はどうあれ「酔った勢いで気球に乗ったら帰れなくなった」と一言で説明できるシンプルさはグッドでした。
いまいち怖くない高所
高所系のシチュエーションスリラーで、最近特に怖いなと感じたのは「FALL/フォール」(2022)という作品。
こちらは気球ではないものの、鉄塔に登ったら降りられなくなったという、やっぱりまあまあな謎シチュエーションなんですが、胃の奥がキュッとなるような恐怖があったんですよね。
これって、定期的に下を映したり、物が落ちる様子を見せたりすることで、「(自分が)落下したらどうなるのか」――つまり、現実にこんな経験をするなんてまずあり得ないことだけれども、そこに一種のリアリティーのようなものを感じたからだと思うんですよね。
でも、この作品の中では、空の上にいるケイトたちにスポットライトを当てるばかりで、下がどうなっているのかはほとんどわかりませんでした。
なので、単に登場人物たちがわーきゃー騒いでいるだけの印象になってしまって、本来覚えるべき緊張感も半減してしまっているような気がしました。
ある意味コメディー
極限状態に陥ったらみんなこうなるよってことなのかもしれませんが、ケイトがヒステリックというか、こう、かなり高圧的な場面もあって、観ているこちらがイライラしてしまうことも。
ただ、途中からは意外と面白く観られましたね。なんていうか、ある意味コメディーと言っていい作品だと思います。
だってね、女性2人があまりにも意思疎通できていなかったから(思わず笑いました)。
「な、なんでそうなるのー!?」が何回も繰り返される。
思い切りのいいミラもそうだけど、細かい説明を省く癖のあるケイト。「さっきした失敗をまたァ……!」と何度も歯を食いしばりました。
設定の無駄遣い
あと、別に必要なかったのではと思われる設定がいくつかありました。
序盤、ケイトが「薬は持ったわ」みたいな会話をしていた(と思う)んですけれども、シチュエーションスリラーというからには、このあたりで窮地に陥る展開があるのかと思いきや、特に関係はなかったみたいです。
それに、妹のリズに関しても、あの状況をもうちょっとうまく使ってほしかったような気もします。
映画「スカイハンガー」が好きな人におすすめの作品
映画「スカイハンガー」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- FALL/フォール(2022)
- 元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件(2020)
- 海底47m(2017)
- クリフハンガー フォールアウト(2022)
まとめ:他のキプロス映画も観てみたい
正直、私には合わない作品でしたが、他のキプロス映画も観てみたいという気持ちにさせてくれたという意味では、観て良かったと思います。
本作に関しては、「一歩間違えば命を落とす」というギリギリの状態をもう少し明確に表現してほしかったところ。うっかりも行き過ぎるとこうなるのね。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER ―% AUDIENCE SCORE 05%
IMDb
3.2/10