
ザ・ウォッチャーズ
映画「シックス・センス」(1999)を手掛けたM・ナイト・シャマランの娘イシャナ・ナイト・シャマランが監督を務めたとして、公開ちょっと前から話題になっていた「ザ・ウォッチャーズ」。
ダコタ・ファニング、大きくなったねえ……という感想でした!
内容としては、正直いまいち。雰囲気で楽しむタイプの映画かなと。
本記事は2025年05月12日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
この鳥かごから早く抜け出したい。
作品情報
タイトル | ザ・ウォッチャーズ |
原題 | The Watchers |
原作 | The Watchers/A・M・シャイン著 |
ジャンル | ホラー、ファンタジー、ミステリー |
監督 | イシャナ・ナイト・シャマラン |
上映時間 | 102分 |
製作国 | アイルランド、アメリカ |
製作年 | 2024年 |
公開年(米) | 2024年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
ペットショップで働く売れないアーティストのミナは、ある日、一羽のインコを動物園に届けるように指示される。しかし、その途中で車が故障し、地図にない森に迷い込むことになってしまうのだった――。
主な登場人物
(敬称略)
ミナ – Mina(演:ダコタ・ファニング)
ペットショップで働く28歳のアーティストの女性。孤独感を抱えている。
キアラ – Ciara(演:ジョージナ・キャンベル)
ミナが迷い込んだ森の先にいた女性。夫と共に閉じ込められていたが、夫は数日前に出て行ったきりになっている。
ダニエル – Daniel(演:オリバー・フィネガン)
キアラ同様、ミナが迷い込んだ森の先にいた男性。単純で、直情的な一面があり、他人の言葉に影響を受けることもしばしば。
マデリン – Madeline(演:オルウェン・フエレ)
キアラとダニエルと共に閉じ込められていた女性。3人の中では一番の古株で、課せられたルールを徹底して守ろうとする。
映画「ザ・ウォッチャーズ」の感想
映画「ザ・ウォッチャーズ」の感想です。内容は可もなく不可もなくな感じだったけど、俳優さん方にかなり助けられていたんじゃないかなと。
豪華なキャスト
まず思ったのが、キャストが豪華だな! ということ。
本作は、イシャナ・ナイト・シャマラン監督の長編デビュー作らしいんですが、とても長編デビューしたばかりの若手監督が起用できるような顔ぶれではないんですよね。
主演のダコタ・ファニングなんか、観た瞬間「アイ・アム・サム」の子だ! ってなったし。あの主演の小さな女の子がこんなにも大きくなったなんて……っていう感想。ダコタ・ファニングほどの女優さんをキャスティングできるなんて、これはもうM・ナイト・シャマランの力が働いているとしか思えない(失礼)。製作にその名前も入っている。
ちなみに、ダコタ・ファニングが好きなのはもちろんなんですが、個人的にはダニエル役を務めたオリバー・フィネガンが刺さりました。
なんとなく。なんとなくなんだけど。
映画「スクリーム」(1996)のスチュ(大好き!!!)を演じた当時のマシュー・リラードの雰囲気に似ていません? あの雰囲気にグッと来た。
ホラーよりファンタジー寄り
内容的には、ホラーよりファンタジー寄りだったかなという印象。ダークファンタジーという感じ。
なので、映倫のレイティングがGとなっていることからもわかるように、際どいシーンとかグロいシーンみたいなものはまったくない。それどころか、ジャンプスケア的な要素もほとんどありませんでした。怖いのが苦手な人とか子どもでも抵抗なく観られるかも。
ホラーだと思って観ると物足りなさを感じてしまうけど、ダークファンタジーだと思って観ると、まあそれなりに楽しめた。雰囲気は好きでした。
マデリンの性格に一貫性がない
個人的No.1は、先述した通り、ダニエル君(ダコタ・ファニング演じるミナは言わずもがな)。
ただ、本作で一際目立っているのは、やっぱりマデリンですよね。
マデリンを演じたのは、アイルランド出身の女優オルウェン・フエレだったんですが、これがまあ頼れるおばあちゃんという感じで。
ミナたちに徹底してルールを守らせようとする姿勢があって、それはたぶんミナたち若者からしたら「うるさいなあ、このおばあちゃん」と、ちょっとうざがられる部分でもあった。現実世界でもこういう関係はまあまああると思う。おばあちゃん側からしたら、若い子たちを守るための助言なんだけど、若いうちはまだそれが理解できないっていう。この辺の描写は良かったですね。
ただ、終盤の展開を考えると、マデリンの言動に一貫性が感じられなかった。
いや、やりたいことはわかるし、言いたいこともわかる。わかるんだけど、そこを説明するための描写が圧倒的に足りていなかったという印象でした。言葉足らずすぎて、突然の展開に「え、そうなの?(困惑)」ってなるような。
盛り上がりに欠ける
あとは、やっぱり盛り上がりシーンどこ? ってなったのも少し痛かったかも。
考えられるとしたら、マデリンとミナが隠れるところだけど。せっかくなら、「エイリアン」シリーズ(1979~)のエイリアンとシガニー・ウィーバーの距離ぐらいまでくっついてくれないと。緊張感や迫力にやや欠けますね。
終盤も一応盛り上がりシーンではあったのかな。
でも、あそこもやっぱり、盛り上がりというほどの盛り上がりは感じられなかった。もう少し派手に暴れてくれれば、と思いました。
唯一怖かったシーン
じゃあ、ホラーとして怖いシーンが一切なかったのかというと、そういうことはなくて。
個人的に「あ、ここ怖い」と思ったのは、ミナが鏡の中の自分と頬を寄せ合うシーンです。こう、鏡の向こう側に耳を澄ませるために、鏡の表面に頬をくっつけたら2人のミナが見えるよねっていう。
映画「シャイニング」(1980)に出てきた少女たちでもそうだったけど、シンメトリーな空間ってゾッとする何かを持っているんですよね。完璧なものって、ちょっぴり不穏。ミナと、もうひとりのミナが、鏡を挟んでシンメトリーに映るシーン。あれは「こわっ!」と思いました。
鏡の中のミナ
本作における鏡は重要な役割を果たしていたと思います。言ってみれば、ミナが持ってきたインコ(「ダーウィン」と命名)がミナの言うことをオウム返しにするのも、鏡みたいなものだし。
過去の経験から、自分自身のことを受け入れられずにいるミナ。
バーで出会った男性に「職業はバレリーナ」と嘘をついたように、違う人間になりたいというか、自分という人間をやめたいという願望があったのでしょう。
鳥かごもそう。
閉じ込められたダーウィンと、閉じ込められたミナ。鏡が壊され、鳥かごから飛び出すことで、ミナはやっと自分自身と向き合うことができたのかなと思います。
映画「ザ・ウォッチャーズ」が好きな人におすすめの作品
映画「ザ・ウォッチャーズ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- トラップ(2024)
- アビゲイル(2024)
- アザーズ(2001)
- クライモリ(2021)
まとめ:雰囲気は良かった◎
内容はともかくとして、終始流れる不穏な空気感は好きでした。100%ホラーとは言い難いけど、雰囲気で楽しむタイプの映画。
なににしても、イシャナ・ナイト・シャマラン監督にとっては、これは初めて監督した長編作品。次回以降に期待したいところです。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 33% Popcornmeter 50%
IMDb
5.7/10
Filmarks
3.3/5.0