丘の上の本屋さん
「我が名はヴェンデッタ」(2022)で知られるレモ・ジローネ主演の作品です。
小さな町で古本屋を営む老人と移民の少年が、本を通じて交流を深めていくハートウォーミングな内容となっています。
改めて「本っていいな」と思わされる作品でもあるし、同時に、人と人とのつながりを感じて心が温かくなる作品でもあります。優しい気持ちになりたいときにおすすめ!
本記事は2024年08月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
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作品情報
タイトル | 丘の上の本屋さん |
原題 | Il diritto alla felicità |
ジャンル | ヒューマン |
監督 | クラウディオ・ロッシ・マッシミ |
上映時間 | 81分 |
製作国 | イタリア |
製作年 | 2021年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
イタリアの小さな町チヴィテッラ・デル・トロント。そこで小さな古本屋を営む老人リベロは、移民の少年エシエンと出会う。漫画にはじまり、「星の王子さま」や「白鯨」などの有名な小説をエシエンに貸しては意見を求めるリベロ。ふたりは本を通して交流を深めていく――。
登場人物
(敬称略)
リベロ(演:レモ・ジローネ)
小さな町で古本屋を営む老人。ある日、店の外にいたエシエンに気がつき、以降気にかけて本を貸すようになる。
エシエン(演:ディディー・ローレンツ・チュンブ)
移民の少年。ブルキナファソからイタリアに来て、6年になる。
ニコラ(演:コラード・フォーチューナ)
古本屋の隣にあるカフェで働いている青年。キアラに想いを寄せている。
キアラ(演:アンナマリア・フィッティパルディ)
家政婦をしている女性。ニコラのアプローチには「婚約者がいるの」と断っている。
映画「丘の上の本屋さん」の感想
映画「丘の上の本屋さん」の感想です。とにかく優しい気持ちになりたいときにうってつけの作品。風光明媚なイタリアの風景がとても素敵。
イタリア・ユニセフ共同製作作品
本作は、イタリア・ユニセフ共同製作作品です。
なので、基本的には(ハートウォーミングなストーリーながらも)淡々と展開していく内容となっていました。こう、穏やかというか、ほとんど派手さがない感じ。
また、メッセージの主張が割と強め。
その点で好き嫌いに分かれそうではありますが、優しい気持ちになれることには違いありません。
イタリアで最も美しい村
本作の舞台になったのは、チヴィテッラ・デル・トロントという場所。
なんでも「イタリアで最も美しい村」と言われているんだとか!
確かに、要所要所で挟まれる風景がのどかで美しく、まさに風光明媚といった感じでしたね。あのシーンだけでも、延々と繰り返し見られるぐらい。
いつか行ってみたいなあなどと思いつつ観ていました。
誰でも知っているタイトル
リベロがエシエンに貸すのは、基本的には誰でも耳にしたことがあるような有名タイトルばかり。
- ピノッキオの冒険
- イソップ寓話集
- 星の王子さま
- ドン・キホーテ
- 白鯨
とかね。
特別本が好きじゃないという人でも、なんとなくタイトルだけは知っているというぐらいには有名な作品です。
実は、私は「白鯨」は読んだことがなかったんですが、「エシエンが読んだなら、読んでみようかな」と思ったり。改めて本っていいなと感じさせてくれました。
リベロの説教くささ
古本屋さんのリベロ、正直、たまに説教くさいです(笑)
ある意味、老人らしい老人というか(ド偏見)。悪い意味じゃなくて、こう、エシエンよりもはるかに長い時間を生き、いろんな経験をしてきたからこその言葉。それでもって、ああしろこうしろと言うのではなく、「自分で考えろ」というのが基本スタンスだし。
自分が経験してきた人生のすべてをエシエンに渡そうとしている感じが、とても刹那的で好きでした。
エシエンが「ピノッキオの冒険」を読んだあとに、「しゃべるコオロギは口うるさかった」というような感想にクスッときてしまいましたね。
ちなみに、リベロを演じたレモ・ジローネは、日本に縁があるそうで。
ちなみに私の娘はかつて日本人と結婚して、今は4人の子どもがいるシングルマザーとして子育てをしながら日本に住んでいます。
(引用元:【インタビュー】映画『丘の上の本屋さん』すべての人に幸せになる権利があると伝えたいと主演レモ・ジローネが語る|SCREEN ONLINE)
とのこと。うーん、面白い。
というのと、実は本作に登場する「なぞなぞ好きの男」は、監督本人らしい。
──リベロのお店にはエシエンのほかにも、さまざまなお客さんがやってきます。最後に来た「なぞなぞ好きの男」は監督が演じていました。監督との共演はいかがでしたか。
(引用元:【インタビュー】映画『丘の上の本屋さん』すべての人に幸せになる権利があると伝えたいと主演レモ・ジローネが語る|SCREEN ONLINE)
私個人としては、カメオ出演をはじめ、こうして監督本人が出演もしちゃうような作品が結構好きです。
少年の素直な心
エシエンを見ていると、改めて子どもって素直で、吸収力が高いなと。
だからこそ、環境って大事。
良いことも悪いことも、素直に吸収してしまうからこそ。
そのために、大人がどうすればいいのかということも大事なことですね。
また、身につけた知識は自分を守ることにもつながるというメッセージ。それと同時に、本を読み、感性を養うことで、自分にとって大事なこと(優先したいこと)は何か、どんな人生を歩んでいきたいのかを考えることにもつながりそうです。
映画「丘の上の本屋さん」が好きな人におすすめの作品
映画「丘の上の本屋さん」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ライフ・イズ・ビューティフル(1997)
- ジョジョ・ラビット(2019)
- 恐竜が教えてくれたこと(2019)
- それでも夜は明ける(2013)
まとめ:穏やかな気持ちになれる
失恋した、仕事でミスをした、友達と喧嘩をした――日常生活を送っていれば、それだけで落ち込むことは多々あるものですよね。
そういうふうに、気分が落ちているときにこそ観たい作品でした。気持ちが落ち着いて、優しくなれる気がします。
Rotten Tomatoes
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IMDb
6.7/10