恐竜が教えてくれたこと(字幕版)
過去一番「この邦題すげぇや……」と思ったのは「天使にラブソングを(原題:Sister Act)」なんですが、この作品の邦題も結構好きです。
直訳ではない、けれど英語(カタカナ)のままにすると伝わりにくすぎる。
そんな本作の邦題は、(表題通りですが)「恐竜が教えてくれたこと」です。原題は「My Extraordinary Summer With Tess」。ちなみに恐竜の物語ではありません。
本記事は2024年06月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
少年、ひと夏の思い出から学びを得る。
作品情報
タイトル | 恐竜が教えてくれたこと |
原題 | My Extraordinary Summer With Tess |
原作 | ぼくとテスの秘密の七日間/アンナ・ウォルツ 著 |
ジャンル | ヒューマン |
監督 | ステフェン・ワウテルロウト |
上映時間 | 82分 |
製作国 | オランダ |
製作年 | 2019年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
家族と一緒にバカンスを過ごすため、オランダにある島を訪れていた少年サム。自然豊かなその島で、サムはテスという少女に出会った。テスと友人になったサムは、快活で人懐こいテスに惹かれていく。そんなとき、母親が営む民宿に男女の宿泊客がやって来て……。
▼DVD▼登場人物
(敬称略)
サム(演:ソンニ・ファンウッテレン)
11歳の少年。家族と夏のバカンスを過ごすため、オランダの美しい島を訪れる。「最後の恐竜は自分が死ぬ時、最後の一頭だと知っていただろうか」と考える哲学的な一面がある。
テス(演:ヨセフィーン・アレンセン)
サムが島で出会った少女。快活だが、一度そうと決めたら突っ走るタイプ。その自由奔放さでサムを振り回す。
サムの父(演:チェッポ・ヘッリツマ)
サムの父親。家族団らんの時間を大事にしたいタイプ。
サムの母(演:スサン・ボーハールド)
サムの母親。
ヨーレ(演:ユーリアン・ラッス)
サムの兄。弟のサムをからかったりするが、弟思いで寛容な一面もある兄。
ヒューホ(演:ヨハネス・キーナスト)
民宿を訪れた恋人たちのうちのひとり(男性)。
テスの母(演:イェネフェル・ホッフマン)
テスの母親。
映画「恐竜が教えてくれたこと」の感想
映画「恐竜が教えてくれたこと」の感想です。全体を通して、ツッコミどころがまったくないというわけじゃないけれど、心温まるストーリーになっていました。
子どもの考える「死」という現象
人間、誰しも一度は「死」というものを考えたことがあると思うんですけれども。
そう、例えば子どもの頃、寝付けない夜なんかに「(今すぐじゃなかったとしても)親が死んだらどうしよう?」みたいなことを考えた経験、ありませんか?
私はありました。しかも、結構頻繁に。
でも、大人になった今思い返してみると、当時の「親が死んだらどうしよう」って、自分が子どものまま置いて行かれるイメージだったなって。だから、なおさら怖く感じていた。
たぶん、この作品のサムもそうだったんじゃないかなと想像しています。
自分が大人になったときのことは想像できていなくて、単純に「(今のまま)親がいなくなったら」と想像するから、「一人になったときのために訓練しておこう!」という発想になる。
なんなら、
最後の恐竜は死ぬ時、最後の一頭だって知ってたかな。
最後の恐竜は死ぬの嫌だったかな。
とまで考えてしまって、哲学的である以上に、想像力が豊かな少年だということがわかります。
可愛い、と思うのと同時に、大人の私ですら「確かになあ……」としみじみ考えを巡らせてしまいました。私に足りないのはこの純粋さだ。
子役たちの完璧な表情管理
サムを演じたソンニ・ファンウッテレンとテスを演じたヨセフィーン・アレンセン。
子役二人の演技が見事でした。
表情管理が完璧だった。
サムの純粋な少年らしい眼差しや、しょぼんとした顔、途方に暮れた顔。テスの溌溂とした笑顔、ショックを受けた顔、苛立ちを滲ませた表情。
サムとテスになりきっていて、すごいなと。
私はあれですね。
二人がサルサを踊るシーンが結構好きでした。
振り回されるサムと自由なテス
本作は、一方的に振り回されるサムと、自分のやりたいように振る舞うテスという構図でした。
正直、観ている最中は「おいおい、テスさんってばよぉ。ちょいとばかり勝手すぎやしませんかね?」と思うことばかりだったんですけれども、冷静になって考えてみると、テスはまだまだ子どもだもんなと。
感情に正直。良いことです。
ただ、それでもサムを置いてけぼりにするのはよろしくないと思いますけどね。
まあ、サムが感受性豊かな優しい子だからこそ成り立った関係という感じ。自分が子どもだった時のことを考えると、私ならだいぶ序盤のほうで「関わらないようにしとこ……」ってなるなと思いながら観ていました。
でも、この気が強くて快活な感じも、サムにとっては新鮮に見えたんでしょうね。
足りなかったおじさんとの時間
途中で出てきた、謎のおじさん(?)。名前、なんだったかな。
とにかく、このおじさんが謎に良さげなことを言ったりするんだけれども、それが心に刺さるには、サムと過ごした時間がちょっと足らなかったんじゃないかなとは思いましたね。
過ごした時間の長さじゃないとも思うけれど、ほとんど初対面の怪しげなおじさんに良い風なことを言われて、それを胸に刻む(日本で言うところの)小学生男児がどれほどいるのかと。
哲学的な思考を持っているサムなら、あるいは?
イメージ=淡い色彩
個人的に一番好きだったのは、色の使い方ですね。
なんていうか、全体的に淡い色彩のイメージ。
台風が上がったあとみたいな、というか。梅雨の時期の雨上がりのあとみたいな、というか。……たぶん伝わらないですね、これは(笑)
ちょっと湿っているんだけれども、それでいてどこか清々しい空気が流れているような。
ぼんやりしていて、それが島の自然豊かな美しさを際立てているような気がしました。観ているだけで「こんな綺麗な島があるんだ、行ってみたいな」と思わせてくれるような色使いだったと思います。
映画「恐竜が教えてくれたこと」が好きな人におすすめの作品
映画「恐竜が教えてくれたこと」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- はじまりのボーイミーツガール(2016)
- マイ ビューティフル ガーデン(2016)
- 素敵なウソの恋のまじない(2014)
- ぶあいそうな手紙(2019)
まとめ:ハートウォーミングなストーリー
ネタバレは極力避けたいので、上記では触れませんでしたが、例えば「“あの人”が可哀想」などなどツッコミどころも多数あるんですが、基本的にはハートウォーミングな物語です。
優しく、心穏やかになれる雰囲気が◎。
特に大事件が起きるわけではないけれど、サムにとってはとても刺激的なバカンスになったと思います。
Rotten Tomatoes
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IMDb
7.0/10