バスター・キートンとハロルド・ロイドに並ぶ三大喜劇王のひとり、チャールズ・チャップリン。
チャップリンの作品といえば「独裁者」や「モダン・タイムス」「キッド」「ライムライト」などが有名ですが、個人的には、この「担え銃」という40分ちょっとの作品が一番好きかもしれません。
本記事は2024年05月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
とにかく運! 運! 運!
作品情報
タイトル | 担え銃 |
原題 | Shoulder Arms |
ジャンル | コメディー、ショート |
監督 | チャールズ・チャップリン |
上映時間 | 44分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1918年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
アメリカ出身の新兵チャーリー。訓練キャンプに参加していたチャーリーは、いつも教官に叱られていた。それこそ、回れ右も満足にできないほどのお間抜けぶり。しかし、チャーリーたち兵士は危険な戦線へ赴くことになり……。
登場人物
(敬称略)
チャーリー(演:チャールズ・チャップリン)
アメリカ出身の新米兵士。
映画「担え銃」の感想
映画「担え銃」の感想です。個人的には、数あるチャップリン作品の中で、もしかしたら一番に好きかもしれない作品。40分ほどという時間も観やすくて丁度良かったです。
誰も死なない戦争映画
まず、この作品の何が良いって、
誰も死なない
ということ。
戦争映画なのに、誰も死なない。
この作品の場合、コメディーなのだからさもありなんかもしれませんが、とはいえ、本作が作られたのは1918年。つまり、人々が戦争というものを肌で感じている時代でしょうから、「誰も死なない戦争」というのはまさに「ありえない!」という世界だったんじゃないかなと思います。
そもそもこの作品自体、史上初、戦争というテーマを喜劇にした映画と言われているそうですしね。
ギリギリ(いや、アウト?)な時代背景
本作がアメリカで公開されたのは、1918年のこと。
それも10月。
そして、第一次世界大戦が終結したのが1918年11月です。
つまり、まだ戦時中であったのにもかかわらず、チャップリンは戦争を茶化す(コメディー化する)ような真似をしたわけですよね。そこに意図があったのだとしても、相変わらずかなり危険な橋を渡っていたんだろうなということがよくわかります。
そのうえで、この作品がおおむね好意的に受け止められたというのだから、本当にすごいことです。
なんでも、こちらの作品、公開当時はチャップリン史上最高の興行収入を叩き出したんだとか。
チャップリンのお笑い
本作では、チャップリンのお笑いセンスが光りまくっています(いや、どの作品でもそうですが)。
なんていうか、ベタ。
ある意味予想できるというか、「ああ、やると思った!」というようなベタな展開が多いのに、なぜか笑えるこのセンス!
例えば「押すなよ! 押すなよ!」とテレビで囃し立てる芸人さんがいたとして。そのあとに起きることはもうわかっているのに、いざそのときになるとやっぱりクスッと笑える、みたいな。
このあたりは、現代(の日本人)にも通じる感性だなと思いますね。
お笑いと切なさの融合
本作では、ほんのちょっぴり切なくなるようなシーンもあるのが印象的でした。
この「笑っていいのか? いや、笑うのは流石に不謹慎か……?」の絶妙なラインを突いてくるのが上手いこと上手いこと。
私はコメディーでも、主人公が惨めな展開を迎えると「可愛そうが勝つ……」となってしまうタイプなんですが、この作品はそこまでの悲壮感がなくて大丈夫でしたね。
個人的には、名作と言われている(し、実際に名作だとは思う)「マチルダ」でも「可愛そうが勝つ……」となってしまったぐらいで。
その点、本作はお笑い部分とそうじゃない部分のバランスがとても良く感じました。
映画「担え銃」が好きな人におすすめの作品
映画「担え銃」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 独裁者(1940)
- サーカス(1928)
- チャップリンの黄金狂時代(1925)
- 街の灯(1931)
まとめ:気軽に観れるチャップリン作品
短編というにはやや長めですが、とはいえ40分ほどの作品なので、比較的気軽に観られます。
個人的には、チャップリンの作品の中で一番笑った作品。流石、公開当時、チャップリン作品の中で最高の興行収入を記録しただけのことはありますね。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER ー% AUDIENCE SCORE ー%
IMDb
7.3/10