ステップ・アップ
チャニング・テイタムの格好良さが際立っているダンス映画「ステップ・アップ」。
クールなストリートダンスと洗練されたクラシックバレエが融合した、新しい形のダンスを垣間見ることができます。真剣や努力という言葉とは程遠かったタイラー(チャニング・テイタム)が更生していく様子も感動的です。
本記事は2024年03月に執筆されました(2024年07月更新)。すべての情報は更新時点のものです。
ワンフレーズ紹介
ストリート系のチャニング・テイタム。
作品情報
タイトル | ステップ・アップ |
原題 | Step Up |
ジャンル | ヒューマン |
監督 | アン・フレッチャー |
上映時間 | 104分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2006年 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
あらすじ
貧困家庭に生まれ、問題行動ばかり起こしていた不良高校生のタイラー。ある日、タイラーは悪ふざけのノリで、有名な芸術学校に侵入し、備品などを壊してしまう。その後、件の芸術学校で奉仕活動をするよう命じられるが、そこで出会ったのはバレエダンサーのノーラで――。
登場人物
(敬称略)
タイラー・ゲイジ(演:チャニング・テイタム)
ボルティモアの不良高校生。悪ふざけというにはいささか行き過ぎた問題行動を起こしがち。貧困家庭に生まれたことから、努力をしたところで無駄だと思っている節がある。
ノーラ・クラーク(演:ジェナ・ディーワン)
タイラーが奉仕活動を命じられた学校に在籍しているバレエダンサー。
マック・カーター(演:ダメイン・ラドクリフ)
タイラーの悪友。芸術学校で破壊行為を行った際は、タイラーに逃がしてもらった。
スキニー・カーター(演:ディシャーン・ワシントン)
タイラーの悪友で、マックの弟。三人の中では一番のお調子者。
ゴードン校長(演:レイチェル・グリフィス)
芸術学校の校長。厳しい部分が目立つものの、なんだかんだ生徒とその将来のことを真剣に考えている。
映画「ステップ・アップ」の感想
がっしりしていて、ストリートダンスがこれ以上ないほどに似合うチャニング・テイタム。不良高校生が徐々に真面目になっていく様子からも目が離せません。
不良男子高生×真面目なバレエダンサー
数々の悪事に手を染めてきた(であろう)不良高校生×将来のことを真剣に考えるバレエダンサー。
まず、この組み合わせが良い。
当然、最初はまったく馬が合わないんですよね。
タイラーは出会い当初から「可愛い子だな」と思っている節があるんですが、ノーラにしてみれば「なにこの不真面目さは。理解できない!」と。まあ、当然です。今までの生活が正反対ですから。
貧困家庭に生まれ育ったタイラーは、努力だけではどうにもならないものがあることを知っている。どうせ手に入らないもののために努力をしたって……という感覚なんですよね。
対するノーラは、夢のためにひたすら真っ直ぐ突き進むタイプ(だからといって、苦労をしていないわけじゃありませんが)。
なので、この二人がぶつかり合うのは自然なことなんですけれども、一見正反対な二人が関わり合うことで、タイラーだけでなくノーラのほうにも変化が見えるのはとても良かったと思います。
タイラーは「(たとえ夢が叶わなかったとしても)真面目になることも、努力することも格好悪いことじゃない」ということを学んだようですし、ノーラは真面目すぎて融通が利かない部分があったのに「ある程度の寛容さは必要」だと考えるようになったみたいですし。
お互い、良い影響があったんじゃないかなと。
わからないからこそのアイデア
会社とかでもそうですが、新入社員が突拍子もない、けれども「意外と良いな!?」と思えるアイデアを出してきたりすること、ありますよね。
暗黙の了解やその場のルールなどを知り尽くしてしまっている社員だと、浮かんでこないような面白いアイデア。
作中のタイラーもまさにその通りで、クラシックバレエのことなんかまったく知りもしないから、ノーラやその他バレエダンサーが思いつかなかった「ストリート(ヒップホップ)ダンスのステップ入れたらどう?」なんてアイデアが出てくるんですよね。
グッジョブ。
めちゃくちゃ格好良かったです。
必要だったのは認めてもらうこと
タイラーを見て「そうだよなあ……」と思ったのが、タイラーに必要だったのは、自ら努力して作り上げたものを認めてもらうことだったんだなと。
作中で明言されているわけではないですが、タイラーの生い立ちと現在の環境的に、努力しても笑われてきたんじゃないかなと思います。「どうせ叶わないのになにやってんだ?(笑)」というように。
マックやスキニーなどの悪友も、タイラーと同じような環境で育っていますからね。
だから、タイラーは今の今まで誰かに認めてもらうことの喜びみたいなものを知らなかった。自己肯定感も低かったでしょうし、人生こんなもんかと思って生きてきたんでしょう。
それが、ノーラと関わることで、自分が取り組んできたことを認め、背中を押してくれる大人が現れたことで、タイラーは「もっと頑張りたい」という気持ちになったんだと思います。
確かに、頑張って成果を出そうとしているのに、誰にも認めてもらえなかったらかなり寂しいですもんね(認めてもらうために努力をしているわけでなくとも)。
悪友との友情物語
この手の話でありがちなのが、不良グループのうちひとり(主人公)が更生し、元の仲間とは喧嘩したのち縁を切るというもの。
ところが、この話では、タイラーと悪友は絆を深め、成長していきます。
つまり友情物語でもあるわけです。
途中、喧嘩をしながらも、でもそれってきっとタイラーに置いていかれたような気持ちになったからだよなだとか、同じことをしたはずなのに、恵まれた(ように感じられる)タイラーが羨ましくなったんだろうなとか、いろいろ汲み取れる部分があって。
ここらへんも感動的でした。
人を成すのは生まれ?環境?
貧困家庭に生まれ、貧しい生活を送っていたタイラー。
悪友のマックとスキニーの兄弟もほとんど同じような家に生まれていました。
「どうなってもかまわない」という人生への諦めが、彼らに悪いことをさせているような感じがしましたね。で、友達も似たり寄ったりの境遇に生きている人たちだから、歯止めがかからなくなっているような。
結局、その人の人格を作るのは生まれでもあり、環境でもあると。
生まれと環境は切り離せないものでもあるので、若いうちはどうしても仕方ない部分はあるんですけれども。でも、成長すると環境は自分の意思で変えられる。
といっても、生まれ育った環境の中で培われた「常識」や「意識」が変わることはそうそうない。本人は「それが当然だ」と思って生きているのだから、当然ですね。
なので、タイラーのように、ほとんど強制的にまったく違う環境に飛び込み(飛び込まされ)、自分とは異なる価値観に触れられたのはとても幸運なことだったと言えるでしょう。
映画「ステップ・アップ」が好きな人におすすめの作品
映画「ステップ・アップ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ダンス・レボリューション(2003)
- ボーン・トゥ・ダンス(2015)
- ストンプ・ザ・ヤード(2006)
- セイブ・ザ・ラストダンス(2001)
まとめ:格好良いチャニング・テイタムが◎
本作の見どころ。
それはとにかく格好良いストリート系のチャニング・テイタム。
やってはいけないことをしばしばやりますが、まあ、不良ちっくなのもちょっぴりドキドキします。化学反応みたいに、タイラーとノーラが成長していくのもとても良かったです。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 21% AUDIENCE SCORE 83%
IMDb
6.5/10