“それ”がいる森
相葉雅紀さん主演のホラー映画。
「仄暗い水の底から」や「リング」など、Jホラーを代表する有名作品を手掛けてきた中田秀夫監督の作品ということもあり、かなり期待値が高いですよね。
ただ、Jホラーというより、SFや特撮に近い内容だったので、おどろおどろしい典型的なJホラーを期待して観ると、やや肩透かしを食ったような気分になるかもしれません。
本記事は2024年02月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | “それ”がいる森 |
ジャンル | ホラー |
監督 | 中田秀夫 |
上映時間 | 107分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2022年 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★☆☆☆☆ |
あらすじ
ある日、田舎町で農園を営む田中淳一のもとに、元妻と共に東京で暮らす息子がやって来た。息子・一也は、母親の厳しい教育に耐え切れず、家出同然に父親の淳一を訪ねたのだった。淳一は元妻・爽子と話し合い、一也をしばらくの間、預かることにする。一也は現地の小学校に転入するが、近くの森で不可解な事件や子どもたちの失踪事件が立て続けに起き始めて……。
登場人物
(敬称略)
田中淳一(演:相葉雅紀)
爽子と結婚したが、その父親とうまくいかず、離婚して田舎に引っ越した。現在は農園を営んでいる。
一也(演:上原剣心)
淳一の息子。勉強漬けで余裕のない毎日と厳しい母親に嫌気が差し、田舎町にいる淳一のもとへやって来た。サッカー少年。
爽子(演:江口のりこ)
一也の母親で、淳一の元妻。息子に厳しい教育を施していたが、息子のことは愛している。
北見絵里(演:松本穂香)
一也の転校した先のクラス担任。転校初日には、わざわざ一也を家まで迎えに来るなど生徒思いの教師。
児玉勉(演:小日向文世)
60年前、同様の事件があった際の目撃者。
湯川大輔(演:野間口徹)
一也が通う小学校の教頭。
強盗犯(演:尾形貴弘)
強盗で得た大金を森に埋めに来た強盗犯。冒頭のみ登場。
映画「“それ”がいる森」の感想
映画「“それ”がいる森」の感想です。相葉雅紀さん主演のホラーということで、話題性含め、期待を爆発させながら劇場まで足を運んだ人は多いのではないでしょうか。Jホラーというより、SF/特撮映画でした◎。
安定した演技
相葉雅紀さんはじめ、江口のりこさんや野間口徹さん、小日向文世さんなど、そうそうたる顔ぶれがそろっていることもあり、まず演技が安定しているので非常に安心感があります。
それはとても良かった。
(演技素人が何を言ってるんだという感じですが)ホラー系で演技が散らかっていると、こう、物語にうまく入り込めなかったりしますからね。
相葉雅紀さんも、久方ぶりの主演作品というだけでなく、初ホラー主演ということもあって、どうなんだろうと思っていましたがなかなかのハマり役でした。やっぱり父親役が似合いますね。
溢れ出すB級映画感
Jホラーの金字塔「リング」や「仄暗い水の底から」でメガホンを取った中田秀夫監督の新たなホラーということで、同系統のおどろおどろしい話を期待して観に行ったという人も多いのではないでしょうか。
ところがどっこい。
この作品を一言で言い表すなら、B級ホラーです。
いや、別に悪いわけじゃないんですよ(実際に、私もB級映画はめちゃくちゃ好きです)。「トレマーズ」とかめちゃくちゃ良いですよね。
ただ、中田秀夫監督の作品としてはやや毛色が違うような気がするので、従来の作品そのままに期待して観ると、ちょっぴり肩透かしを食ったような気分になります。
すぐに判明する“それ”の正体
この話のキモって、タイトルからするに「それ」の正体がどんなものかというところだと思うんですけれども、この「それ」の正体、割と早い段階で判明します。
その良し悪しは置いておいて、個人的には、「それ」の正体は最後までわからないままにしてほしかったなと。
「それ」と聞いて思い出すのは「IT/イット それが見えたら、終わり。」シリーズ。でも、あれだってペニーワイズというピエロみたいなのはいるものの、実際の正体は明かされていませんよね。わかっているのは人外だということだけ。
わからないから怖い。
こういう系のホラーって、基本的にはそういう未知のものに対する恐怖や違和感を煽ることで、より強い怖さを演出するものだと思っていたんですが、この作品の場合、序盤のほうで「それ」の正体が判明してしまいます。
怖さ半減。物足りない……。
ただ、その分、ジャンプスケアみたいな演出もないので、子どもと一緒に観てもいいと思います。
JホラーでなくSF/特撮寄りの内容
先述した通り、JホラーでなくSF/特撮寄りの作品でした。
ホラーだと思って観ると絶対に物足りない。
怖くもないし、特別驚くような展開があるわけでもない。
内容的に仕方ない部分はあるんですけれども、いかにもCG! というシーンが多々あるので、それがより一層、ファンタジー感を引き立てていました。
でも、ファミリー向けSF/特撮とするなら、普通に面白いと思えるんじゃないですかね。
やっぱり、監督がJホラー界隈で非常に有名な人なので、どうしても他作品の雰囲気を期待してしまうのが駄目。頭を空っぽにして、この作品はこの作品として楽しんだほうがいいと感じました。
もう少し迫力を持たせてほしかった「それ」
子どもと一緒に観られるのでは? という点では、たぶん絶妙な塩梅に仕立て上げられていた「それ」ですが、ホラー大好き人間からするとまったく物足りなくて。
せっかくこの時代にCGを駆使するのであれば、もうちょっと迫力を持たせてもいいんじゃないかなというのが正直な感想ですね。
「それ」の動きもなかなか鈍くて(本気を出せば俊敏なんでしょうけど)、例えばゴジラを前にしたときの圧倒的な絶望感みたいなものはありませんでした。ゴジラはホラーではないけども。
ともかく、個人的には、ホラーの醍醐味のひとつって、人間がどうやっても敵わない相手に極限まで追い詰められる絶望感だと思うんですよ。この作品に限っては、それがほとんど感じられませんでした。
登場人物たちがどれだけ追い詰められていたように見えても、展開が早いからなのかなんなのか、あまりこちらには伝わってこなかった……。
映画「“それ”がいる森」が好きな人におすすめの作品
映画「“それ”がいる森」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 怪物の木こり(2023)
- 貞子VS伽椰子(2016)
- 突撃!隣のUFO(2023)
- 死刑にいたる病(2022)
まとめ:ホラーではないホラー
典型的なJホラーとは言い難い本作ですが、SF/特撮ものとして考えれば、家族で楽しむのにはうってつけです。
また、流石相葉くん、父親役が似合いますね! 頭を空っぽにして観られる+安心して観られる内容になっているのも◎。
Rotten Tomatoes
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IMDb
4.1/10