IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(字幕版)
2017年に公開された「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」の続きである本作。
あのとき子どもだったキャラクターたちが、大人になって登場します。
口コミは賛否両論みたいですが、個人的には結構楽しめました。なんなら、2017年のときのものよりも。
メインの登場人物たちがそれぞれの過去に向き合う話になっているので、前作を見ていないとつながりがよくわからないかもしれません。
※本記事の情報は2023年10月時点のものです。
作品情報
タイトル | IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 |
原題 | IT Chapter Two |
レーティング | R15+ |
ジャンル | ホラー |
監督 | アンディ・ムスキエティ |
上映時間 | 169分 |
製作国 | アメリカ |
(アメリカ)公開年 | 2019年 |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
あらすじ
あの悪夢から27年。ビルたちは大人になり、それぞれ別の道を歩んでいた。成功し華々しい活躍をしている者、恋人と上手くいかずに傷ついている者、デリーにとどまり続けている者……。そんな中、ペニーワイズが再び事件を起こしたことを知ったマイクは、過去を乗り越えるため、いまふたたびルーザーズクラブのメンバーを召集する。
登場人物
(※敬称略)
ビル(演:ジェームズ・マカヴォイ)
前作でペニーワイズの犠牲になったジョージーの兄。弟の件がトラウマになっている。
リッチー(演:ビル・ヘイダー)
昔から下ネタが大好きで、とにかくお喋りだった彼だが、現在は人気コメディアンになっている。マイクからの召集を受けて、デリーに戻ってきた。
ベン(演:ジェイ・ライアン)
現在は有名建築家として大成功を収めている。昔はぽっちゃりしていたが、減量に成功し、がっちりした肉体を手に入れた。
ベバリー(演:ジェシカ・チャステイン)
ルーザーズクラブ唯一の女性。昔は父親と馬が合わず、デリーを出て以来音信不通。現在は恋人がいるものの、父親に似た雰囲気であまり上手くいっていない。
マイク(演:イザイア・ムスタファ)
ルーザーズの中で唯一、デリーに残った黒人の男性。ペニーワイズが再び戻ってきたことを知り、ルーザーズクラブの面々をデリーに呼び戻す。
ペニーワイズ(演:ビル・スカルスガルド)
宇宙を取り巻く未知の空間からやってきた生命体。殺人ピエロ。
映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」の感想
ルーザーズクラブの子どもたちが大人になって帰ってきました。華々しく活躍している人もいれば、そうでもない人もいたりと、キャラ設定は前作からまったくぶれていません。
前作を見ないと理解できない部分が多い
人気作品の続編が出るということはよくあることだと思いますが、そういう場合、作中で必要な説明がなされていたり、あるいは別に楽しめるように続編のみで完結させていたりと、初見の人もいるという前提で配慮されていることが多いですよね。
でも、本作ではそれがない。
前作の内容をもろ反映させている(しかも説明も特にない)ので、前作を見たことがない人だと、完全に置いてけぼりを食らいます。
なので、前作の予習(見たことない人)、復習(見たことある人)は必須!
ファンタジー感が強い
まあ、ペニーワイズが「宇宙を取り巻く未知の空間からやってきた生命体」であること自体、もともとファンタジーでしかないのですが。
ただ、本作はファンタジー色がより強くなっている印象を受けました。
個人的には本作のほうが好きだったけれど、この作品が賛否両論なのはそういう部分もあるかも。
前作の感じを期待して見てみたら、さらにぶっ飛んでいてついていけなかった……みたいな。ルーザーズクラブの面々が再会する序盤あたりはやたらとシリアスに描かれているので、なおさらですね。
キャラクターの現在は意外とリアルに描かれている
あの悪夢から25年以上が経ち、ルーザーズクラブのメンバーはみんな大人になっています。
そのキャラクターたちの現在が、かなりリアルだなと感じました。
子どものころの性格とかを見ていたら「なるほど、あるあるー!」と解釈完全一致。こんな映画とはなかなか出合えないので、結構うれしかったです。
トラウマは簡単に消えないという事実
子どものころ、果敢にもペニーワイズという未知の生命体に立ち向かい、倒せないまでも、見事戦い抜いたルーザーズクラブ。
すごいですよね。本当にすごい。
でも、トラウマって原因から離れたら意外とわからないものですよね。
ルーザーズクラブの彼らも、おそらくそうだったんだと思います。
トラウマの元があるデリーから離れたら、普通に生活して、大人になって、自立して、それなりに楽しくやれて(そうでない人もいるけれど)、過去のことを思い出すことはあれど、日常生活になんの支障もなかった。
けれど、それは必ずしもトラウマを克服したということではない。
しかも、トラウマとは無縁の生活を送っているように見えれど、子ども時代の影響を色濃く受けている人も中にはいます。例えば、ベバリーとか。
人間は過去で構成されているというのがよくわかりますね。
自分を救えるのは自分だけ
本作のメインテーマは、おそらく「トラウマ(過去)からの解放」。
本作ではルーザーズクラブの絆が(紆余曲折ありながらも)改めて描写されるわけですが、結局のところ、過去の敵(トラウマ)と対峙するのは自分自身なんですね。
まあ、そりゃそうだよなと。
だけど、それができる人っていったいどれだけいるのか。
特に、ルーザーズクラブの面々は、自分たちが望んだわけでなく、ペニーワイズによってほぼ強制的に過去の幻影を見させられているわけですから。
名言されてはいませんでしたが、中には「もう克服したと思っていたのに!」と思った人もいたことでしょうね。
子どものころは恐怖を感じさせるための演出をするのがペニーワイズでしたが、過去のトラウマを見せるという手法に変えてきたあたり(これもある意味恐怖心を与えるものなのですが)陰湿さが増し増し。
ペニーワイズとの決戦がちょっと物足りない
賛否両論の否を唱える人の中には、本作での醍醐味、宿敵ペニーワイズとの決戦(あるいは決着)が物足りなかったという人も多いのではないかと思います。
確かに、ルーザーズクラブだって無傷ではいられなかったというのに、ペニーワイズの倒し方が思いのほかあっさりしすぎていて「え、え? こういう決着のつき方でええん……?」とびっくりしました。
特にマイクとか、たったひとりでデリーに残ってペニーワイズの倒し方を研究してきたのに、その設定があまりうまく作り込まれている感じがしなくて。もっともらしくいろいろ語ってくれても、いまいち想像しにくい部分がありました。
よくわからないというか、説明不足すぎるというか、具体性に欠けるというか。
たぶん、もっと説明したいことはあったんだろうけど、それをすると時間がかかりすぎるうえに視聴者が混乱するかもしれないので、手短に済ませたら宙に浮いた感じになってしまったってことなんですかね。
でも、個人的にはここはそこまで気になりませんでした。少し引っ掛かりを覚えた程度。
映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」が好きな人におすすめの作品
映画「IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
まとめ:好き嫌いに分かれる作品
前作のファンであるなしにかかわらず、賛否両論に分かれるであろう作品です。
ファンタジー色が強いのでそういうものだと思って見れば、意外とこれはこれで……と面白く感じられるかもしれませんね。
大人になったルーザーズクラブのメンバーの現在がリアルで、そこらへんは結構楽しめました。
※本記事の情報は2023年10月時点のものです。