イースターナイトメア ~死のイースターバニー~ [DVD]
日本発のイースターホラーと聞いて。
イースター=復活祭。
国によっては、イースターの前になると、卵やウサギ(イースターバニー)をかたどったチョコレートが店頭に並んだりします。私が海外暮らしをしていた時は、それを見て「あ、そろそろイースターか……」などと思ったものです。
近年では、日本でも「イースター」という言葉を聞くようになりましたが、正直、映画にするのはまだちょっと早かったかなという印象でした。
私には合わなかった本作ですが、でも「日本の映画でイースターに挑戦するのはすごい!」というのが前提なので、あしからず。
本記事は2024年06月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
忠実なイースターバニー(?)が大暴れ。
作品情報
タイトル | イースターナイトメア 死のイースターバニー |
原案 | The Rabbit House |
ジャンル | ホラー |
監督 | 平波亘 |
上映時間 | 63分 |
製作国 | 日本 |
製作年 | 2016年 |
レイティング | ― |
個人的評価 | ★☆☆☆☆ |
あらすじ
日々、ダンスの練習に励む佳奈子は、ストーカーの存在に悩まされていた。敬虔なクリスチャンの家に生まれた佳奈子は、自分を守ってくれるよう、神に祈りを捧げる。すると、「主の代わりに善悪を見極める裁判官の役目を果たす」と言われているイースターバニーが現れ、佳奈子の周囲の人々の命を奪っていくのだった……。
登場人物
(敬称略)
鈴谷佳奈子(演:都丸紗也華)
毎日、ダンスの練習に励んでいる高校生。徐々にストーカーの行動がエスカレートしていることに恐怖を感じ、神に祈りを捧げる。
やよい(演:春川芽生)
佳奈子の友人。
奈々(演:上田うた)
佳奈子の友人。
鈴谷恭平(演:大木康平)
佳奈子の兄。
映画「イースターナイトメア 死のイースターバニー」の感想
映画「イースターナイトメア 死のイースターバニー」の感想です。日本発のイースターホラーということで、「どんな映画なんだろう?」という気持ちで観てみました。
宗教×ホラー
宗教×ホラーって、まあまあ相性が良い要素だと思うんですよね。
例えば、アジアンホラーで有名な「女神の継承」(2021)もそれに近いものがありますし。
ただ、この作品を観て、何事も使い道によるなと改めて感じました。
本来ならホラーと相性が良いはずの宗教をキリスト教にしたうえに、主人公一家を敬虔なクリスチャンという設定にしたおかげで、どんな感情で観ればいいのだろう? と。
日本にもクリスチャンはたくさんいるはずですが、割合としてマジョリティーになるわけではないと思うので、共感を得るにはいろいろと足りない気がしました。
馴染みのないイースターとイースターバニー
そもそも、日本人にとってはイースター自体、あまり馴染みがないものですよね。
確かに、ここ数年ほどは「イースター」という言葉を聞くようになりましたが、それだけ。興味のない人もいるだろうし、実質、クリスマスのようにイベントごととして見ている人も多いはず。
海外生活がまあまあ長かった私でも、「イースター? ホリデーだ!」というぐらいの感想です(申し訳ない)。あと、お店の営業時間が短くなっていたり、閉まっているお店も多かったりするから、一応気をつけておかなければいけないなと思う程度。
そうやって自分の生活にもある程度は影響するので、「イースター」というものを意識しますけれど、日本ではそういうこともないですよね。
なので、序盤で入る「イースター=復活祭」についてのナレーションは、正直微妙でした。馴染みのないことに対してアレコレ言われても、説明口調だからなおさら、あまり頭に入ってこないというか。
NOTダンススクール?
また、説明が圧倒的に足りない部分が多々見受けられました。
そもそも、主人公の佳奈子はダンスを練習しているけれども、私はダンススクールに通っている子だと思っていたんですよね。
でも、なんのためにダンススクールに通っているのかはわからない。
見た目とダンスの雰囲気から判断するなら、アイドルを目指しているとか? じゃあ、友達2人は同じグループの子か、ライバルということ? ……みたいな。
ところが、あらすじやその他記事などを拝読すると、
昨年より今年にかけて公開された『ハロウィンナイトメア』『同・2』『バレンタインナイトメア』に続く「ナイトメアシリーズ」の第4弾となる『イースターナイトメア~死のイースターバニー~』は、ストーカーの影に怯える女子高生・佳奈子を主人公に、イースターパーティーの日にダンス部の高校生たちを襲う惨劇が描かれていきます。
(引用元:都丸紗也華さん笑顔で初主演を報告 『イースターナイトメア~死のイースターバニー~』初日舞台あいさつ|fjmovie.com)
どうやらダンス部だったらしい。
でも、あの練習している場所が高校とはとても思えないんですけれども……。この辺は、私の観察不足かもしれません。すみません。
結局、家庭内で起きたこともよくわかりませんでした。っていうか、この作品は第4弾だったんですね! こうなると、他3作品が気になります。
敬虔なクリスチャンの父親
本作で、もっとも異様な空気を放っているのが、主人公の父親。
……めちゃくちゃ気持ち悪かった。
敬虔なクリスチャンなので、それ故、娘の交友関係を極端に心配しているという設定だったのか。でも、それにしては本当に気持ち悪かった。
娘がダンスをしていることを「いかがわしい」と吐き捨て、さらにはあたかも(ダンスをしている)娘が男に媚びているかのように言い「そんな娘に育てた覚えはない」と怒鳴りつける。
父親本人には自覚がないのかもしれないけれど、何をしても「いかがわしい」だとか「男のことを考えているんだろう」とか、顔を見るたびに実の父親から性的な言葉を投げつけられるのって、相当キツいことだと思う。
そのうえ、止めに入った息子(佳奈子の兄)に暴力を振るおうとする様子もあったので、敬虔なクリスチャンかどうかは関係なく、ただ単にヤバいだけの父親になっていましたね。
娘に性的視線を向けている父親を描きたかったなら、むしろ大成功! なんですが……(どうなんでしょう?)。
ゼロ・バリエーション
こういった次々と人々が倒れていく系のホラーに大事なのって、退場する際のバリエーションの多さだと思うんですよね。
例えば「ハッピー・デス・デイ」(2017)とかのように。まあ、「ハッピー・デス・デイ」はちょっとジャンル違いかもしれませんが。
さようならする時のバリエーションが豊富だから、退場することがわかっていても、見ていて飽きないという。
それが、本作では、ただウサギ(の化け物)が首元に噛みつくだけ。毎回毎回、ふと現れたと思ったら、犠牲者の首元にガブリ! あとはグチャグチャ音がするだけで、襲われているときの顔も出ないから臨場感に欠けるなという印象になってしまいました。
ただ、その分グロ度はかなり低めです。なので、「ホラーは好きだけどグロは苦手」という人には観やすい演出になっているかもしれません。
原案の「The Rabbit House」
ちなみに、本作はホラーゲームを原案としたものだそう。
ニコニコ動画やYouTubeで実況プレイ動画が人気のゲーム「The Rabbit House」を原案に描いたホラー映画。
(引用元:イースターナイトメア 死のイースターバニー|映画.com)
その名も「The Rabbit House」。
本作を観るにあたり、「元ネタ(原案)を知らないので、あまり意味がわからなかった」というような内容の口コミを目にしたので、一応、実況プレイ動画で予習してみたのですが、それでもやっぱり理解しづらい部分のほうが多かった印象です。
というか、まあ、ウサギが出てくるというところしか被っているところもないですし、仕方のないことではあるんでしょうね。
映画「イースターナイトメア 死のイースターバニー」が好きな人におすすめの作品
映画「イースターナイトメア 死のイースターバニー」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- N号棟(2021)
- シンデレラゲーム(2016)
- ジョーカーゲーム(2012)
- 人狼ゲーム ビーストサイド(2014)
まとめ:気軽に観られるJホラー
上映時間が60分ほどと短いので、そう気合いを入れずに観られる作品だと思います。
それに、なんだかんだと言いましたが、先述した通り、日本映画でイースターをテーマにしたこと自体は、素直にすごいことだと感じますね。
日本で「イースター」が取り上げられるようになってまだ数年程度ですから、今後もこうした挑戦的な作品が続いていくといいなと!
Rotten Tomatoes
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