
THAT/ザット(字幕版)
「THAT/ザット」の感想です。
ジャケットからもタイトル(邦題)からもなんとなく想像できる通り、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(2017)を意識したやつ。
意外なことに割と好きなタイプのホラーでした。
本記事は2025年07月26日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
亡き親友から招待されたアプリをスマホにインストールしたら、大変なことになった。
作品情報
タイトル | THAT/ザット |
原題 | Bedeviled |
ジャンル | ホラー、スリラー、B級映画 |
監督 | アベル・ヴァン、バーリー・ヴァン |
上映時間 | 99分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2016年 |
公開年(米) | 2016年 |
レイティング | 不明 |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
ある日突然、高校生のニッキが命を落とした――。そんなニッキからアプリの招待が届いた親友のアリスや恋人のコーディたちは、そのアプリをスマートフォンにインストールしてしまう。それはAIナビのアプリのようで、最初のうちは宿題を手伝ってくれたり家電のコントロールをしてくれたり、会話をしてくれたりと、その程度だったが、次第に暴走するようになる。同時に、アリスたちは得体の知れない「何か」を見るようになってしまい――。
主な登場人物
(敬称略)
アリス
(演:サクソン・シャービノ)
ニッキの幼馴染みで、親友。家族のように思っていたニッキを失ったことで深い悲しみを抱く。同時に、心臓麻痺というニッキの死因に疑問を感じている。
コーディ
(演:ミッチェル・エドワーズ)
ニッキの恋人。黒人で、黒人差別に正面から抗議の声を上げる。
ゲビン
(演:カーソン・ボートマン)
アリスの恋人。アリスのことは好きだが、無意識に無神経な発言をしてしまい、アリスの怒りを買うことも。
ヘイリー
(演:ヴィクトリー・ヴァン・タイル)
アリスとニッキの友人で、女優志望。ダンと秘密の交際をしている。
ダン
(演:ブランドン・スー・フー)
アリスたちグループの一員で、アジア系の少年。大学進学志望。ヘイリーと秘密の交際をしている。
映画「THAT/ザット」の感想
映画「THAT/ザット」の感想です。いかにもB級っぽい映画だし、まあ見るからに「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」みたいなあれなんですけれども、割と面白かったです。笑える要素もありました。
ジャケットは完全にIT(イット)
ジャケットからもタイトル(邦題)からもわかるように、完全に「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」(2017)を意識している(笑)。
まあ、内容はほとんど違うのですけどね。そもそも原題は「Bedeviled」ですし。こちらは死んだ友人からスマホに送られてきたアプリをインストールしたらヤバいことになったっていうお話。強いて言うなら、恐怖心が関係しているところがやや被りっていうぐらい。あとペニーワイズとお知り合い? っていう感じのピエロっぽい何かが出てくる。
スマホのアプリ云々あたりはちょっと「カウントダウン」(2019)に似ている気がしましたね。
いや、ほんと、得体の知れないアプリをインストールしたらダメですよ。しかも、死んだ友人からなんてフラグすぎる。それとも、ホラーたるからには送られてきた時点でもうアウトなんですかね? 本人の意思でインストールしなくても、結局はそうなるように仕組まれてしまうとか。そのパターンもちょっと見てみたかった。かも。
作りは丁寧
また、B級映画にしては作りが非常に丁寧な印象でした。それが「これ、好きかも!」と思った理由のひとつでもある。もちろん、B級らしい雑なやつも好きは好きなんですけど(笑)。
と言っても、B級映画は実験的なことができるのも魅力だと思うので、安定しているという点ではB級映画好きさんにはむしろあまりハマらないかもな気はしますね。
悪人がいない
ちなみに、個人的に「お、これは!」と思った点があって。
それは、悪人がひとりもいなかったこと。
高校で(おそらく)いつも一緒にいるグループのひとりが突然死を遂げ、そのグループの友人たちに謎のアプリの招待状が届くところから本作は始まるわけですが。このグループ、ニッキ(故)、アリス、ゲビン、コーディ、ヘイリー、ダンと6人で構成されていたらしいんですよね。
これ系の映画って、必ずひとりは嫌な奴がいるのがセオリーだと思う。それで、そんなことをしている場合じゃないのに仲間割れしたりなんかして。
ところが、本作には目に見えて嫌な奴がいなくてびっくりしました。
嫌な奴というか、アリスが「なんかヤバいやつ見た!」という感じで自身に起きた出来事を説明している時に「ニッキが亡くなって悲しいのはわかるけど」とまるで作り話をしたかのように言われていたのは可哀想ではあったけど、だいたいはアリスの心境を配慮しているかのような雰囲気だったので不快感は特になく。
ヘイリーは唯一アリスに文句をつけていたものの、まあ、女子3人組になったら間々あることだよねということだったし、アリスにも(おそらくニッキにも)悪気はなく、ヘイリーの言葉も行き過ぎというほどではなかったので「ああ、わかるわ……」とどちらにも共感して終わった(笑)。
そういう人間関係にまつわる不快感がないのってとても良い◎。
あ、でも、授業中に男性教師を品定めしている感じのテキストをしていたのには、ちょっと「うわっ」ってなりましたね。なんていうか、普通に教師側の気持ちになってしまった(笑)。ただ調子に乗った女子高生と言えばそれだけなんだけど、自分がそれをされていたら「このクラスにはもう来たくない」ってなるわって。豆腐メンタルなので。
あんな動画が出回ったら……(ダメ、絶対!)
っていうか、セッ……(略)している時の動画または写真を撮らせてはダメ、絶対!
……いや、これは本当にダメですよ。どれだけ仲の良いカップルでもダメだし、相手を信用していてもダメ。もしかしたら、劇中で一番「ひえーっ!」ってなったのはあのシーンだったかも(笑)。
あんな動画が出回ったら、自分だったら一生家から出られない。ただセッ……(略)しているだけじゃなく、あんなセリフまで吐いて、まあ。黒歴史だよ、あんなの。部屋を整理していたら、中学生の頃に書いた自作のポエム(厨二病大爆発)が出てきた時みたいな顔になりました。
しかも一方は女優志望ですからね、有名になってからあれが発掘されたら大変なことになりそう。まさにデジタルタトゥー。
しかし「最悪なんだけど!」ぐらいで済ませたのには驚きました。生きるか死ぬかの状況だからっていうことなんだろうけど。
愉快なおばあちゃん
そして、肝心なペニーワイズの役割の彼らはまったく怖くなかったです。
むしろ笑ってしまった(笑)。
特にアリスを追いかけてくるおばあちゃん。一部、走り方がめっちゃ面白くて。愉快すぎるよ、おばあちゃん。
彼らが驚かせてくるタイミングは基本的にホラーのセオリー通りなので、ある程度予測がついてからは心構えができました。それが良いか悪いかは置いといて。生粋のホラーファンは物足りなさを感じてしまうかも。
テンポも◎!
本作はだいたい1時間半ぐらいの映画ですが、セオリー通りなところもそうじゃないところもありつつ、テンポ感が良くて◎。意外と退屈せずに観られました。
「これ、必要?」みたいなシーンがほとんどなくて良かったです。
映画「THAT/ザット」が好きな人におすすめの作品
映画「THAT/ザット」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ハウスバウンド(2014)
- メリーおばさんのひつじ(2023)
- ザ・ハント(2020)
- 人狼ゲーム 夜になったら、最後(2021)
まとめ:オーソドックスさをありと取るかなしと取るか
ホラーとしては割とありがちな展開ではあったので、それを「あり!」とするか「なし!」とするかはその人次第という感じがしました。私はまあ好きだったかなあ。
真新しいものはなかったけれど、その分安心して観られました。ホラー映画として「安心して観られた」という感想が正しいかはわからないけど(笑)。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 0% Popcornmeter 21%
IMDb
4.2/10
Filmarks
2.4/5.0