
シンプル・フェイバー(字幕版)
映画「ピッチ・パーフェクト」シリーズ(2012~)で知られるアナ・ケンドリック主演の「シンプル・フェイバー」。
……なんだか、ママ友同士のお付き合いって大変なのね、と思いました。まる。
本記事は2025年05月27日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
正反対の2人は親友になれるのか。
作品情報
タイトル | シンプル・フェイバー |
原題 | A Simple Favor |
原作 | ささやかな頼み/ダーシー・ベル著 |
ジャンル | ヒューマン、サスペンス、ミステリー |
監督 | ポール・フェイグ |
上映時間 | 117年 |
製作国 | アメリカ、カナダ |
製作年 | 2018年 |
公開年(米) | 2018年 |
レイティング | PG12 |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
交通事故で夫を亡くして以降、シングルマザーとして一人息子のマイルズを育てているステファニー。ステファニーは、自身が運営するビデオブログで、家事や育児に関するライフハックを配信していた。そんなある日、アパレル会社でPRディレクターを務めるエミリーと知り合う。エミリーは、マイルズと同じ小学校に通うニッキーの母親である。一緒にマティーニを飲んだり、互いの秘密を打ち明け合ったりして、2人は徐々に距離を縮めていくが――。
主な登場人物
(敬称略)
ステファニー・スマザース
(演:アナ・ケンドリック)
夫を亡くして以降、女手一つで息子を育てるシングルマザー。ニューヨーク郊外の一軒家に住んでいる。家事や育児に関するライフハックをビデオブログで発信中。
エミリー・ネルソン
(演:ブレイク・ライブリー)
アパレル会社のPRディレクター。バリキャリで、ミステリアスなところがある。
ショーン・タウンゼント=ネルソン
(演:ヘンリー・ゴールディング)
エミリーの夫で、作家。一度はベストセラーを出したものの、エミリーと結婚して以来筆が進んでいない。
マイルズ・スマザース
(演:ジョシュア・サティーン)
ステファニーの息子。
ニッキー・タウンゼント=ネルソン
(演:イアン・ホー)
エミリーとショーンの息子。
映画「シンプル・フェイバー」の感想
映画「シンプル・フェイバー」の感想です。普通のサスペンスかと思いきや、ママ友同士の友情だか争いだかがメインのお話でした(?)。
アナ・ケンドリック×ブレイク・ライブリー
本作の主演は、アナ・ケンドリックとブレイク・ライブリー。
本作を鑑賞し始めた時、なぜだか「意外な組み合わせ」と感じてしまったんですが(本当になぜか)、相性の良い2人でした。
また、アナ・ケンドリックの役どころが良いんですよね!
夫を交通事故で亡くしていて、家事や育児に関するビデオブログを発信してはいるものの、実質、ステファニー(アナ・ケンドリック)と息子マイルズの生活を支えているのは、夫の生命保険の保険金。真面目というより、「自分は真面目である」「息子もいるし、真面目にならなきゃ」と自分に言い聞かせているように見える。
あるいは、自分の本当の姿を直視したくないという逃避か。それとも、過去にあったことに対する贖罪か。まあ、後者なら完全に自己満の世界だけど。
対するエミリー(ブレイク・ライブリー)は、ステファニーとは対極にいる存在。家族を愛しつつも、基本的には自分の身を守れるのは自分しかいないという考えだから、無意識に家族にもそれを当て嵌めているように見える。
にしても、ブレイク・ライブリー。白いスーツとステッキがなぜあんなにも似合うのか。めちゃくちゃ美しかったし、眩しかった。
きっと、ステファニーとエミリーは「こいつ、ようわからんわー」と思っていたはずで、でも互いに表面上親しげに振る舞ってしまったせいで、仲良いのかそうでもないのか、それこそ自分たちでもわからなくなっていたんじゃないかなと思いますね。というか、互いにほんの少しずつ、相手を見下していたんじゃないかって。
エミリーは「息子のために生きるなんて馬鹿のすることよ」と。ステファニーは、エミリーに憧れているようでいて、うっすら「家族を蔑ろにするなんて最低だわ」と思っている気がしている。
人間、自分より下だと思っている人には、多少失礼を働かれても寛容に赦すことができるものです。
ママ友は大変だ……
それにしても、ママ友同士の付き合いが大変なのは、万国共通ですね。
まあ、社交が得意で、人付き合いにストレスを感じないという人もいるんでしょうけど、やっぱり子どもを通しての付き合いになると、自分のことだけを考えるわけにはいきませんし。子ども同士の関係に影響しないよう、無難な付き合いが必要になってくる。一般的には。
そんな交流を日々こなしているママさんたち(パパさんたちも)って、本当にすごい。
どちらの気持ちにも共感(すごい)
また、個人的には、ステファニーとエミリー、どちらの気持ちにも(すべてじゃないけど)感情移入できました。
対照的な2人なのにすごいですよね。きっと、誰の心の中にもステファニーとエミリーが住んでいるんじゃないかなって。
耐えがたい孤独に、つい誰か(何か)に縋ってしまいたくなる気持ち。先述したように、対照的な2人だけど、このあたりは共通していたように思います。だけど、意外なことに、蓋を開けてみるとエミリーのほうが精神的に弱かったりする。だから強く見せていたのでしょう。弱く見られたくなかったから。少なくとも、私にはそう見えました。
ちなみに、あの、エミリーがステファニーに言っていた「強い奴(偉い奴だっけ? 舐めてくる奴だったかも)には強気でいけ」みたいな言葉。昔、会社の先輩に「苦手な相手にこそ自分から近寄っていけ」と言われたことを思い出しました(苦笑)。もちろん、避けられない相手だった場合の話ですが。
ステファニーとエミリーのやり取りは、個人的にあまり好きじゃないというか、少し嫌な感じがするんだけど(たぶんあえての演出だと思う)、なぜかというと、自分の頭の中に似たような記憶があるからなんですよね。その時のことを思い出して、ちょっと憂鬱なスイッチが入りそうになる。
例えば、エミリーの少し冷めた視線と笑み。失礼なことを言われても、咄嗟に反応できず愛想笑いをしてしまったときのあの地獄のような空気感。
あと、酒の席とかで、まだ酔いが回ってもいないのに、知人が目の前で恋人(エミリーの場合は夫)と必要以上にイチャイチャしだしたときの居たたまれなさ。これ、特に学生時代(といっても二十歳は超えていましたよ!)にあったような気がするんだけど、どこを見ていいかわからなくなるんですよね(笑)。
ガッツリ正面から食い入るように見つめるわけにもいかないし、だからといってあからさまに目を逸らしたら、それはそれで気まずいっていう。ステファニーがイチャつくエミリー夫婦を目の前に、視線をしらーっと泳がせるあたりで「わかるー!」ってなりました。
とにかく、頭の中のそういう「以前、自分にもこんな状況あったな」が思い返されて、一部のシーンではなんだかソワソワしてしまいました。
酒の席で打ち明ける秘密はやばい
ちなみに、酒の席で打ち明ける秘密ほど、やばいものはないです(実体験)。なんだろうね、あれ。やっぱりアルコールの力で気が大きくなっているし、相手とも親しくなったような気がしてしまうんだろうね。
今時、秘密を持っている人は少なくないと思うんですが、酒の席でバラすのだけは駄目、絶対。ろくなことにならないから、絶対。ああ、あと「誰にも言わないでね」とかも言っちゃ駄目。翌日には必ず広まっているから。
誰かに秘密を打ち明けたくなったら、距離を縮めて、その為人を知ってから、その秘密を打ち明ける場を単体で用意してというのがよいですね。勢いで、しかも「あれ、これなんか言わなきゃいけない雰囲気じゃない?」という空気感に飲み込まれて告白するなんて悪手。確かに「ここで断ったら、こいつノリわるーと思われるかも」と感じるかもしれないけど。自戒。
というか、酒の勢いで「告白大会しようぜ!(意訳)」とか言ってくる人間を信じては駄目ですな。
見えているものがすべてじゃない
でも、まあ。
ステファニーとエミリー、ショーンを見ていてわかるのは、人間、目に見えているものがすべてじゃないよと。誰にでも人に言いたくないことはあるし、誰彼かまわず本音を打ち明けるわけじゃない。それを無理矢理暴いたら駄目ってことですね。
映画「シンプル・フェイバー」が好きな人におすすめの作品
映画「シンプル・フェイバー」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
まとめ:思ったほどドロドロしていない
普通、こんな内容だと「ママ友同士のドロドロ展開!」になりそうなんですけど、意外とドロドロした感じはなくて良かった。
一部、相手を敵視する中にも、なぜだか友情を感じてしまいました。これがステファニーとエミリーの付き合い方なんでしょうね(?)。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 84% Popcornmeter 73%
IMDb
6.8/10
Filmarks
3.6/5.0