「タイムカット」の感想です。
完全に「ハロウィン・キラー!」(2023)の二番煎じ感があって、いまいち盛り上がらなかった作品。終始モヤモヤさせてくるというか、コメディー調にしている割に「主人公可哀想……」が勝ちまくる内容でした。
悲しい気持ちになって終わった。
本記事は2025年11月24日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
殺された姉が生きている頃へタイムスリップ!姉を救うべきか見捨てるべきか?
作品情報
| タイトル | タイムカット |
| 原題 | Time Cut |
| ジャンル | SF、サスペンス、ホラー |
| 監督 | ハンナ・マクファーソン |
| 上映時間 | 91分 |
| 製作国 | アメリカ |
| 製作年 | 2024年 |
| 公開年(米) | 2024年 |
| レイティング | 不明 |
| 個人的評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
20年前、姉が殺された――。高校生のルーシーは、20年前の事件から立ち直れずにいる両親のもと育てられた。両親とのぎくしゃくした仲に苦悩していたある日、ルーシーはタイムマシンを発見する。そのまま2003年、姉がいる時代に飛ばされてしまったルーシーは、学生時代を謳歌している姉サマーを見つけて――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ルーシー
(演:マディソン・ベイリー)
高校生。成績優秀でNASAでのインターンシップに採用されたが、親からは家から遠いことを理由に反対される。姉の事件後に生まれているため、姉には会ったことがない。
サマー
(演:アントニア・ジェントリー)
ルーシーの姉。2003年に殺害された。ルーシーが過去に飛んできてからは、実の姉妹のように親しくなる。成績はふるわない。
クイン
(演:グリフィン・グラック)
サマーの同級生。ルーシーからタイムスリップの話を聞き、元の時代に戻るための協力者となる。サマーに淡い恋心を抱いている。
映画「タイムカット」の感想
映画「タイムカット」の感想です。全体的にインパクトがなく、面白いは面白いんだけど「圧倒的に主人公が軽く扱われている」のが悲しすぎました。
「ハロウィン・キラー!」の二番煎じ
先述した通り、完全に「ハロウィン・キラー!」(2023)の二番煎じになっていました。
死んだ人間がまだ生きている時代にタイムスリップしてしまって、それをどうやって助けるのかというシナリオ。「ハロウィン・キラー!」は主人公の母親で、本作は主人公の姉といった違いはあるものの、まあだいたい一緒だなと感じました。
というか、見始めた時、普通に「え、これ『ハロウィン・キラー!』だ!」と思った。
なのに、「ハロウィン・キラー!」よりインパクトが薄くていまいち。内容的にも微妙に受け入れがたさがありましたね。
シンプルなストーリー
ストーリーは上記で述べた通りでかなりシンプル。
ですが、それ以上でもなくそれ以下でもないみたいな印象でしたね。シンプルでわかりやすい、以上……という。
というか、深く考えると結構ちゃんと嫌な気持ちになりそうだったので、それ以上のことはあまり考えないようにしているといったほうが正しいかも。この展開に持っていくなら「ちゃんとわかりやすくハッピーエンドにしてくれよー!」という感じでした。
楽曲は最高
ストーリーはなんだかなあという感じでしたが、唯一テンションが爆上がりしたのは楽曲チョイス! これがもう本当に良かった。良すぎた。懐かしすぎて全私が泣いた。
まず、2003年にタイムスリップした先でヒラリー・ダフの「So Yesterday」が流れた時「あー! やるじゃんやるじゃんやるじゃん!」ってなったし、次に流れたのはアヴリル・ラヴィーンの「Complicated」で、まさに神選曲! 2000年代に流行っていた曲ですよね、確か。なんならもうちょっと懐メロを増やしてほしかった。これが本当に良かったので。
先述した「『ハロウィン・キラー!』に比べてインパクトが薄かった」というのは、つまり2003年は言っても20年前なわけで、当時10代の学生だった人たちはまだ30代とかでそんなに昔じゃないんですよね。なので、時代は変わったといってもそこまでという感じがする。
現代から80年代に飛んだ「ハロウィン・キラー!」では、学校のセキュリティーがガバガバだとか肩パッド入りの洋服を着ているだとか、このあたりのジェネレーションギャップが顕著でわかりやすかった。
その点、本作は20年前ということで言うほどのギャップが感じられず、けれども、例えばファッションがカラフルだとか、そこを重点的に描こうとしている形跡はあって、設定と描写に関しては「いまいちだなあ」と思ってしまったんですが、この楽曲チョイスだけは素晴らしかったですね。
主人公の扱いが軽い
で、本作が「いまいち」と思ってしまった主な理由ですが(上記のはまだスルーできた)。
主人公のルーシーが圧倒的に軽く扱われていること。
これが無理だった。もう本当に無理だった。可哀想すぎて見ていられなかった。正直、途中で観るのをやめようと思うレベルだった(頑張って観た)。
まず、そもそもルーシーは姉が死んでいなければ生まれなかったよねという設定なんですよね。現在のルーシーは高校生で、姉が亡くなったのは20年前。姉が亡くなったから、代替品として自分を作ったのでは? と冒頭時点でルーシーは悩んでいる。ここ、実際そうだよねという話にはしてほしくなかったなあ。
タイムスリップした先で知り合った姉サマーの家(つまり自分の家)に行ったルーシーが、サマーが生きていた頃の両親と対面して、姉以外の子を作るつもりはないと言っているのをはっきり聞いてしまうシーンはもうね、心が痛すぎて。
そこにクインがとどめを刺してきた。良い奴だと思っていたのに、お前ー! ってなる。
ルーシーとしては、姉が殺されるのはわかっている。けれども、両親が姉以外の子を作るつもりはないと言っている以上、ここで姉が生き延びてしまうと自分は生まれない可能性のほうが高い。姉を助けるべきか、歴史は歴史としてそのままにしておくべきか。
姉が良い子であるのはわかるし、両親も姉を望んでいる(はず)、でも「どうぞ」と自分の命と引き換えに? というジレンマ。
一応苦悩はしているのに、ここでサマーに淡い恋心を抱いているクインが躊躇いもせず「サマーを助けよう」と。は? ですよ、これ。まず、クインは最初の段階で「歴史は変えるべきじゃない」という主張をしているんですよね。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985)でも過去を改変すると今に影響するというのが描かれていましたが、まさにその通りの主張をしていた。
であるにもかかわらず、サマーが被害者になり得ると知った途端「助けよう」って、あまりにも都合が良すぎるし、ルーシーが「でもそうすると自分は生まれないかもしれない」と訴えているのに、当然のようにサマーを選び、悩んでいるルーシーをまるで冷たい人間かのように突き放す。
まあ、クインにとってサマーは好きな人だし、友人っぽくなったとはいえルーシーとはほんの短期間の付き合いしかないし、サマーを優先したくなること自体は不思議はないんですが。人でなしだなあ、とは思いましたね。クインの言い分を理解するのだとしたら、姉とはいえ会ったこともなかったルーシーが、自分の命と引き換えに姉を助ける義理も本来ないよねと思ってしまう。
序盤、窮地に陥ったクインを助けたのはルーシーなのにそりゃあひでえや! って。あなたの好きなサマーは傍観していただけでしたよと言ってやりたくなります。
誰もルーシーを尊重しているように見えないのがあまりに切なかった。唯一寄り添ってくれたかなと思うのは姉のサマーだけど、ルーシーからしたら自分にないものを持っている人(例えば両親の愛情とか)だから、この辺は正直微妙な気分になります。めちゃくちゃモヤモヤさせてくる。
納得できないラスト
ここで大きなネタバレは控えたいので、この物語がどのように収まったかまでは語りませんが、個人的に納得できないラストであったことは間違いありません。
っていうか、この納得できない感、どことなく既視感があると思ったら、たぶん「おおかみこどもの雨と雪」(2012)だった。現実的に考えるとどうなの? という。
タイムスリップというSF要素が入っている時点で、そこにリアリティーを求めるのはナンセンスだと思うんですが、だとしてもあまりに雑すぎる締め方だなと思いましたね。
映画「タイムカット」が好きな人におすすめの作品
映画「タイムカット」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ハッピー・デス・デイ(2017)
- ハッピー・デス・デイ 2U(2019)
- ザ・スイッチ(2020)
- スクリーム(1996)
映画「タイムカット」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年11月24日)。レンタル作品等も含まれます。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:テンポは良く観やすい
ここまでぐだぐだなんやかんやと言ってきましたが、テンポは良いので比較的観やすい展開ではあったと思います。
ただ、個人的にルーシーが可哀想すぎて見ていられない! という気持ちが強くなってしまっただけ。
タイムスリップ系SFホラーが好きなら、きっと好きかもねな作品でした。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 26% Popcornmeter 33%
IMDb
5.1/10
Filmarks
3.1/5.0


