
2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話
「2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話」の感想です。
こんなのもうタイトルで選んでしまう(笑)。
もしかしなくとも、今までに観た映画の中で一番長い映画タイトルだったかもしれない。
「タイトルにインパクトがあるだけでしょ?」とかなりハードルを下げて観たからか「おっ、意外と悪くないな……(笑)」となりました。
POV×ファウンド・フッテージ形式のB級ホラー。
本記事は2025年11月14日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
タイトルそのまんまの内容!
作品情報
| タイトル | 2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話 |
| 原題 | The Glenarma Tapes |
| ジャンル | ホラー、スリラー、B級映画 |
| 監督 | トニー・デヴリン |
| 上映時間 | 78分 |
| 製作国 | イギリス |
| 製作年 | 2022年 |
| 公開年(英) | 2023年 |
| レイティング | 不明 |
| 個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
アイルランド北部に位置するグレナームの森で、大学生と大学教授7名が消息を絶った。その後、グレナームの森は炎に包まれた。焼けた森の中から一名の大学生が救助されるが、重篤な状態だったと言う。それから2年後。警察の捜索中、当時学生たちが撮影していたと思われる映像が見つかったのだが――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ゴーディ
(演:ウォーレン・マクック)
芸術大学の学生。両親は離婚済み。問題のある母親に代わり、妹の面倒を見ている。エレノアに対し淡い恋心を抱いている。
ジミー
(演:ライアン・アーリー)
芸術大学の学生で、ゴーディの友人。卒業課題としてゴーディの密着ドキュメンタリーを作ろうとしている。
エレノア
(演:ソフィー・ヒル)
ゴーディたちの友人。森に同行する。
クレア
(演:エミリー・レイミー)
ゴーディたちの友人で、エレノアの親友。自作短編映画のため作曲をしている。
映画「2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話」の感想
映画「2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話」の感想です。B級ホラーにしては良くできていた!
意外と悪くなかった
結論:意外と悪くなかった(笑)。
これに関してはかなり個人の好みもあると思いますし、私の場合、ハードルが下がりに下がりまくった状態で鑑賞したので「あれ? 思ったほど悪くないかも……?」となっただけなんですが。タイトルにこうもインパクトを持たせすぎると、中身に対する期待値は若干下がりますね(笑)。「どうせタイトルオチでしょ?」みたいな。
それを見越してのこのタイトルなら、本当にすごい。だってこんなの選んじゃいますもんね。
それにしても、原題「The Glenarma Tapes」に対してのこの邦題って、いったいどんな会議が開かれて選ばれたんだろうとは思う。想像してみるとちょっと面白い。ラノベ好きな人がいたのかもしれない。
POV×ファウンド・フッテージ
先述した通り、本作はPOV×ファウンド・フッテージ形式の映画です。
POVは「コンジアム」(2018)みたいなやつで、ファウンド・フッテージは「悪魔と夜ふかし」(2023)みたいなやつ。
とある森で複数名の学生と教授が失踪し、森が焼けたあとからひとつの映像が見つかったという導入(ファウンド・フッテージ)。そこから学生たちのPOVに入る。
卒業課題で友人の密着ドキュメンタリーを撮るってそんなことある?(笑)って思うけど。森での事件がなかったら、本当になんでもない一日になっていたはずですし。というか、精神的な問題があるのかネグレクト気味の母親や義務を果たしていないっぽい父親は、まさに社会問題を投影しているような気がするので、これを題材にしたほうがちゃんとしたドキュメンタリーになったんじゃないかと思いますね。
ちなみに、私は酔いやすいタイプなのでPOVを観るとすぐに酔うんですが、この作品は大丈夫でした。そこまでグラグラはしていなかったかな。
毒親持ちのゴーディ
これも先述しましたが、ゴーディの親は完全に毒親。「親ガチャ」とか「毒親」とか、最近SNSでよく目にするようになったワードもあまり気軽には使いたくないんですが、ゴーディの親はまさにそれと言ってよいでしょう。
まず、学校へ行こうとするゴーディに「タバコを買ってきて」と言うシーン。
アイルランドは18歳から喫煙OKらしいので、年齢的にゴーディが買うのは(たぶん)問題ないと思うんですけれど、なんでしょうかね。あの演出というか、演技はすごい。家の中の雰囲気とか話し方とか、そういうのでまともな母親じゃないというのがわかりました。
まともな母親というのは、そう高いレベルの話ではなく、単純に子どものことを考えているかどうかというところで。
それは(ゴーディの)妹に対する行いからも見て取れます。見たところ、10代前半ぐらいの妹に手渡すランチがお菓子のバーひとつ!
いやあ、これはないですよ。
日本と海外、両方で暮らしていた身として、確かに海外の学校のランチはサンドイッチ(食パンにハムとチーズを挟んだだけ)にリンゴ、軽いスナックみたいなことも多いんですけれど、さすがにお菓子だけというのはあり得ない。たまにぐらいなら許されるかもしれませんが、ゴーディのあの様子を見る限り、割と頻繁にあることなんじゃないかと思います。
見かねたゴーディが、自分のランチ代を渡して「買いなさい」と言うくだり、めちゃくちゃ胸が痛くなりました。ゴーディ、良い奴。
で、こんな母親なのに、ゴーディは実はそれなりに愛情を持っている感じなのがまた切なかったりして。ソファでぐでーんと寝ている母親に毛布をかけてあげるの、もうなんか、本当に苦しくなった。
そのうえ、父親までもクズ。
母親に面倒を見させるのは心配だからでしょうね(これもどうなの?)。「明日まで頼む」と妹を預けに行ったところ、いかにも面倒くさそうで「夜までに戻らなかったら捜しに行くからな!」と暴力的に突き放す。
この時、ゴーディが「毎晩! 俺が妹の面倒を見ているというのに! お前は一日も見られないというのか!?」(おぼろげ)みたいな主張をしていたけど、本当にその通り。ゴーディにとって妹は大事な家族なんでしょうけど、やっぱりそういう意味で世話をし、守るべきなのは第一に親であるべきなんですよね。
いやしかし、このシーンでは「こんなに暴力的な父ちゃんに預けて、妹ちゃんは大丈夫なのか!?」と思いました。女の子にはゴーディにするみたいに暴力までは振るわないということなのかな。
謎の儀式は謎の儀式
なお、謎の儀式は謎の儀式のままでした(笑)。
結局なんだったんだ、あれは。
映画「ザ・ハント」(2020)や「ハンティング・パーク」(2016)のような感じで、人間狩りが目的なのか?
というより、スマーフがどこから出てきたのか気になる(笑)。スマーフというのはゴーディたちの同級生の男の子で、ゴーディとジミーが朝、大学に到着した時に擦れ違っただけのキャラなんですが(この時点で憔悴した様子ではあった)、そのスマーフが謎の儀式で連れて来られ、傷付けられたうえで「さあ、逃げろ!」的に放逐されるという流れでした。
スマーフはいったい何に巻き込まれ、なぜ標的になってしまったのか。儀式と言うぐらいだから生け贄にでもするのかと思いきや、「逃げろ逃げろ!」と急き立てられていたので、やっぱり人間狩りが目的だったのか。
たぶんこの辺は気になる人は気になるだろうし、気にならない人は気にならないだろうなというところでした。私の場合はちょっと微妙なところで、スマーフが放逐された段階ではさすがに気になったのですけど(笑)、物語が展開するにつれ気にならなくなっていきました。
まあ、「意外と悪くない」と言ってもしっかりB級映画らしさはありますからね。細かいところは気にしないのが吉。なんだかんだ、「よくわからんけどこいつらやばい奴」で済んだ。
とにかくラン&ラン!
中盤以降は、基本とにかく逃げるだけ! なお話。
反撃をすることもありますが、圧倒的に「やべえ! やべえ!」ってなっていることのほうが多かった。このあたりは結構リアルだなと感じました。
アメリカの映画だと割とすぐに武器を持って戦い出すけど(ド偏見)、現実はパニックになって「うわー!」ってなるしかないような気がしますもんね。ちなみに、すぐに戦い出す系映画「レディ・オア・ノット」(2019)なんかはめちゃくちゃ好きです。格好良くて。
本作の場合は、この妙なリアルさがPOVならではという感じで良かったです。
映画「2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話」が好きな人におすすめの作品
映画「2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- コンジアム(2018)
- ヴィジット(2015)
- DASHCAM ダッシュカム(2021)
映画「2年前、行方不明になった学生たちが撮影した卒業制作の映画を観てみたら、森で秘密の儀式に巻き込まれていた話」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年11月14日)。レンタル作品等も含まれます。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:期待値を上げずに観ると◎!
「意外と悪くないかも……(笑)」みたいな意見を見たからといって、期待値を上げてしまうと「なんじゃこりゃあ!?」となるかもしれないB級ホラー映画。
ストーリー的にはタイトル(邦題)のまんまなので、特に驚くようなこともありません。でも、予定調和的なその感じがまた良かったりします。
Rotten Tomatoes
Tomatometer ―% Popcornmeter ―%
IMDb
4.9/10
Filmarks
2.6/5.0

