スイス・アーミー・マン(字幕版)
ハリー・ポッターシリーズで有名なダニエル・ラドクリフ主演のもと、2017年に公開された「スイス・アーミー・マン」。
ダニエル・ラドクリフが今回抜擢されたのは、なんと死体役(!?)。
どんな作品なのかと思いきや、ところどころがホラーチックで、けれどもどこか切なく、愛や人生についても考えさせられるコメディー色強めの内容となっています。※本サイト管理人は混乱しています。
本記事は2020年12月に執筆されました(2024年06月更新)。すべての情報は更新時点のものです。
ワンフレーズ紹介
死体役を演じきったダニエル・ラドクリフ。
作品情報
タイトル | スイス・アーミー・マン |
原題 | Swiss Army Man |
ジャンル | コメディー、ヒューマン |
監督 | ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート |
上映時間 | 97分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2016年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
ひとり無人島に漂着してしまったハンク・トンプソン。助けも来ず、孤独に苛まれたハンクは自ら命を絶とうとしていた。そんな時、波打ち際に男が流れ着いていることに気がつく。近寄ってみると、男はすでに息絶えているようだったが、その体からはガスが漏れており、意を決したハンクが跨がると、まるでジェットスキーのように水面を走り出すのだった。
登場人物
(敬称略)
ハンク・トンプソン(演:ポール・ダノ)
主人公。気弱な青年で、好意を寄せる女性はいるものの、声をかけることができずにいる。自己肯定感も低め。
メニー(演:ダニエル・ラドクリフ)
浜辺に打ち上げられていた水死体。ある時から喋るようになるものの、生前の記憶はない。
サラ・ジョンソン(演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド)
ハンクが好意を寄せている女性。
映画「スイス・アーミー・マン」の感想
映画「スイス・アーミー・マン」の感想です。「ハリー・ポッター」シリーズで一躍有名になったダニエル・ラドクリフと、代表作に「リトル・ミス・サンシャイン」や「それでも夜は明ける」などがあるポール・ダノの共演作です。
思わずきょとんとしてしまうシュールさ
本作の感想を一言で表すとすれば、
めっちゃシュール。
これに尽きます。
普通「あ、ガス(オナラ)で無人島脱出! 良いアイデアじゃーん!」なんて思いつきますか? どう考えても万人受けするタイプの映画じゃない。
最初はシュールすぎて「いったい何が起きているんだ?」と置いてけぼりを食ったような気分になるんですけれども、それは本当に序盤のほうだけで、そこから社会や人間性、人生といった多様なテーマに落とし込んでいくダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)。
まあ、終始シュールなのには変わりないんですけどね!
多岐にわたるメニーの能力
喋る死体ことメニーに搭載されている(!?)主な機能はこちら。
- カッター
- 髭剃り
- 水筒
- シャワー
- 会話
- 銃
- 火打ち石
- 斧
- ジェット噴射
- バーナー
いやあ、本作でのハンクのように、サバイバル能力が求められる状況下においては、実に頼もしいスキルですね。
万能……
万能!?
このあたりで「もしや『スイス・アーミー・マン』というタイトルって、『スイスアーミーナイフ』から来ているのでは……!?」と気がつくわけですね。
スイスアーミーナイフとは、ハサミだったり缶切りだったり、ピンセットだったりと、多岐にわたる機能を持ったナイフのことです。
まるで本作に出てくるメニーのように、いろんな役割を兼ね備えているという。
ダニエル・ラドクリフの演技力
喋るとはいえ、言ってみれば「生きている死体(?)」というなんとも矛盾した役を演じたダニエル・ラドクリフ。
私もそうだったんですけれども、「ハリー・ポッター」シリーズのダニエルしか知らない人は、ちょっと混乱するかもしれないシュールな役柄でした(笑)
正直、すごい俳優さんだったんだなあ……と。
あの、いえ、侮っていたわけでも、馬鹿にしていたわけでもないんですが。どうにも「ハリー・ポッターと賢者の石」の可愛いイメージのまま来ていたので(シリーズはすべて観ましたが)、そりゃそうだよな、こうも活躍しているんだから、すごいに決まっているよ、とね。
メニーは死体ですから、大きく表情を変えることはない。
それでも、声だけで好奇心や疑問、楽しさなどの感情をしっかり表現している。
「ハリー・ポッター」で主役を演じていた時と比べるつもりはないですが、やっぱりあの頃に比べて成長したんだなあというのも(まるで保護者目線で)感じてしまいます。
ハンクの人生観
初っ端からハンクが命を絶とうとしていた無人島。
あの無人島がいったい何を指し示しているのかということですが、あれはきっとハンクの心理状態がそのまま表れていたんじゃないかなと思います。
あの時のハンクは、自分のことを孤独な人間だと思っていた。
でも、(死体とはいえ)メニーという別の存在と出会うことで、ある種、心が解放されることになり、結果として無人島(=孤独な状態)を抜け出すことになったと。
そのあとのメニーとの会話でわかりますが、「これはしちゃ駄目」「これも駄目」と、ハンクはいろんなものに縛られているように見えます。
私にも経験があるんですが、「~すべき」「~すべきじゃない」と自分に言い聞かせながら生活するのって、とても生きづらいです。そんなハンクの感じていた息苦しさが、メニーと旅をする中で、ひとつひとつ解消されていくようでした。
目映い映像美
内容としては、なんともいえないシュールさがある本作ですが、映像が綺麗なのも魅力のひとつです。
特に目を引いたのは、ハンクお手製のバスのシーン。
窓の外の景色が流れていく様子に、ハッとさせられました。
映画「スイス・アーミー・マン」が好きな人におすすめの作品
映画「スイス・アーミー・マン」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- キャスト・アウェイ(2000)
- フォレスト・ガンプ/一期一会(1994)
- ウォーム・ボディーズ(2013)
- ジャングル ギンズバーグ19日間の軌跡(2017)
まとめ:不思議な映画を観たいなら
コメディー……いや、ヒューマンドラマ!? いやいや、ファンタジーっぽくもあるし、アドベンチャー、それともホラー?
そんなジャンルの大渋滞が起こっている作品でした。
でも、不思議なことばかりが起きるのに、どうしてか最後まで観てしまう。そんな魅力のある作品でもあります。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 72% AUDIENCE SCORE 72%
IMDb
6.9/10