スタンド・バイ・ミー (字幕版)
言わずと知れた名作中の名作です。
特に好んで映画を観ないという人でも、タイトルだけは聞いたことがあるという場合が多いんじゃないでしょうか。なにより、主題歌にもなっているベン・E・キングの「スタンド・バイ・ミー」が良い味を出していますよね。
本記事は2024年08月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
――自分の価値は、自分で決めろ。
作品情報
タイトル | スタンド・バイ・ミー |
原題 | Stand By Me |
原作 | スタンド・バイ・ミー/スティーヴン・キング著 |
ジャンル | ヒューマン、アドベンチャー、コメディー |
監督 | ロブ・ライナー |
上映時間 | 89分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1986年 |
レイティング | PG12 |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
ある日、作家のゴードン・ラチャンスは、新聞で「弁護士クリストファー・チェンバーズが刺殺された」という記事を目にする。そして、ふと思い出した。1959年、彼がまだ12歳の少年だった当時のことを――。
登場人物
(敬称略)
ゴードン・ラチャンス(演:ウィル・ウィートン)
愛称は「ゴーディ」。内向的で真面目な性格。兄を事故で亡くした影響で、親に冷遇されている。
クリストファー・チェンバーズ(演:リヴァー・フェニックス)
愛称は「クリス」。ゴーディの親友で、家族に恵まれないながらも、正義感を持った賢い少年。
セオドア・ドチャンプ(演:コリー・フェルドマン)
愛称は「テディ」。大きな眼鏡をかけた少年。すぐにカッとなる粗暴な性格をしている。
バーン・テシオ(演:ジェリー・オコンネル)
太っちょな少年。ノロマでうっかり者。兄が所属している不良グループの会話を盗み聞きし、「死体」のことを知る。
映画「スタンド・バイ・ミー」の感想
映画「スタンド・バイ・ミー」の感想です。映画史に残る名作中の名作。夏になると一度は観たくなる作品です。
目的=死体探し
本作の原題は「The Body」。
「Body」という英語には「体」のほかに「死体」「遺体」という意味もあります。
「死体探し」を名目として冒険に出かけたゴーディたち。でも、本作で焦点が当たっているのは、「死体」そのものではなく、死体を探す過程(旅)そのものです。
そして、生きること、死ぬことについて考えさせられることになった。
特に、ゴーディは兄を事故で亡くしており、その影響もあって両親に冷遇されるという酷い環境にいた。そのことから「どうして僕じゃなく兄だったんだ」と自問自答し続けることになる。
この歳で、ゴーディは生きる意味を見失っているようにも見えます。
そんなゴーディにも物書きの才能はあったけれど、親の求める才能ではなかったというだけで、まるで無価値のものであるかのように思わされていたんですよね。
でも、そんなゴーディに、クリスは「親が守らないなら、俺が守るよ」と言った。
それはきっと、家族に恵まれなかったクリスだからこその実感の籠もった言葉だったのかなと思います。親の言うことがすべてだなんて、そんなの間違っていると。親や家族に自分の価値を委ねるなと。
生きる意味は自分で決めていいのだと、そう感じました。
子どもの頃の友達
ゴーディたちを見ていると、自分の子どもの頃のことを思い出します。
なんというか、限られた世界の中で、なんとなく馬が合ったように思えて一緒にいたような友達。性格だってかなり違うのに、なんかずっと隣にいたなあ、みたいな。
でもね、あとあと考えて思うわけです。
……あれ、本当に馬が合っていたと言える? って。
その時はそう思っていたけれど、あとあと考えると、意外とそうでもなかったかも――なんて。でも、今いる環境で人間関係を完結させなければいけないから、その時々で人を選んで付き合っていたんじゃないかと思う。
正直、ゴーディたちも、そういう刹那的な関係に思えました(当然といえば当然?)。
「まあ、大人になって縁が切れる程度の子どもの頃の友達ってそんなもんだよね」という。だからこそ、この作品は儚い感じがして良いというのもあります。
クリスは特別
とはいえ、ゴーディにとってクリスが特別だったのは言うまでもありません。
なにしろ「俺がお前を守るよ(意訳)」とか言ってくれちゃうわけですしねぇ!? こりゃあ惚れるって。
同時に、クリスもゴーディの前で涙を見せるなど、互いに特別視しているのが見て取れます。深い話はせず、ノリだけで一緒にいるメンバーの中で、唯一クリスとゴーディだけが理解し合おうとしているように見える。
クリスもよく、あそこから這い上がったというか、腐らずに頑張りました(花まる)!
もう二度と出来ない友達
最後、フィクションながらも、ゴーディはこう振り返っています。
あの12歳の時のような友だちはもうできない。
と。
「そうだよねぇ」と思うところなんですが、ここでゴーディは、「あの12歳の時のような友だち」がどんな友達なのかを名言してはいないんですよね。
良い友達とも、悪い友達とも、はたまた気の合う友達とも。
ゴーディにとって彼らがどんな友達だったのか。こちらに想像の余地を残す感じが、私は割と好きでした。
個人的には、良いか悪いかはわからない、気が合っていたのかもわからない。でも、あんなことを一緒にできるのは12歳の時の彼らとだけだろうということだと解釈しました。
年齢によって異なる感想
私がこの作品を初めて観たのは、確か小学生の頃だったと思うんですけれども、その時はただ「ハラハラドキドキ★少年たちの大冒険!」ぐらいにしか思っていなかったんですよね。なんなら、「死体探し」が目的だということも忘れていたぐらい。
正直、テンション的には(初代)デジモンを見ている時と同じ感じでした(苦笑)
それで、高校生ぐらいでもう一度観た時はノスタルジーを感じました。小学生時代の長い夏休みを思い出して、ちょっぴり懐かしくなったりもして。
でも、さらに歳を重ねると、ノスタルジーさはまったく感じなくなり、代わりに「生きること」「死ぬこと」を考えさせられるように。
観る年代によって、感じることが変わる作品はいくらでもありますが、本作はそれが特に顕著だなと感じましたね。
映画「スタンド・バイ・ミー」が好きな人におすすめの作品
映画「スタンド・バイ・ミー」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 天使にラブソングを…(1992)
- レナードの朝(1990)
- ロミオ&ジュリエット(1996)
- フォレスト・ガンプ/一期一会(1994)
まとめ:青春だけじゃない映画
青春映画と纏められがちな本作ですが、少年たちが冒険をしながら「生と死」について考えるという割とシリアスな一面を持った作品でもあります。
観る年齢によって感じることも変わるので、子どもの頃に観たきりという人は、もう一度観てみてもいいかもしれませんね!
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 92% AUDIENCE SCORE 94%
IMDb
8.1/10