キラー・ナマケモノ
「JAWS/ジョーズ」(1975)や「THE POOL ザ・プール」(2018)、「コカイン・ベア」(2023)など、サメ、ワニ、クマ……さまざまなアニマル・パニックが登場する中、今度はなんと――ナマケモノ!
覚醒したナマケモノが、とにかく暴れまくります。
本記事は2024年09月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
ナマケモノじゃないナマケモノ。
作品情報
タイトル | キラー・ナマケモノ |
原題 | Slotherhouse |
ジャンル | ホラー、スリラー、コメディー、パニック |
監督 | マシュー・グッドヒュー |
上映時間 | 93分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2023年 |
レイティング | G |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
あるところに、密林で密猟者に捕獲されたナマケモノがいた。違法ペット業者を経て、ナマケモノを寮で飼うことにした大学4年生のエミリーだが、やがて寮生たちがひとり、またひとりと姿を消していくのだった――。
登場人物
(敬称略)
エミリー(演:リサ・アンバラバナール)
大学4年生。最終学年であるにもかかわらず、代わり映えしない地味な毎日、そして自分に焦りを感じている。次の寮長に立候補するため、マスコット的存在としてナマケモノ(アルファ)を飼い始める。
ブリアナ(演:シドニー・クレイヴン)
現寮長。高飛車で、意地悪な性格。次の寮長に立候補したエミリーを良く思っていない。
ゼニー(演:ビアンカ・ベックルズ=ローズ)
エミリーの親友。個性的な性格で、日本刀を所持している。
マディソン(演:オリヴィア・ルーリエ)
エミリーの親友。エミリーに「ナマケモノを故郷に帰すように」と説得する。
タイラー(演:アンドリュー・ホートン)
エミリーの恋人。エミリーの危機を察知し、慌てて駆けつけた。
映画「キラー・ナマケモノ」の感想
映画「キラー・ナマケモノ」の感想です。たぶん、「コカイン・ベア」が好きならきっと好きなタイプのB級ホラー。唯一違うのは、ナマケモノがパペットだということ!
愛嬌のあるパペット
本作の魅力は、なんといっても魅力的なナマケモノ!
今、この時代に、CGではなくあえてパペットにしたというあたり、かなりのセンスを感じます。ストーリー的にも、パペットのほうが絶対にしっくりくる。
ちなみにこのパペット、
本作のナマケモノは、アニマトロニクスのパペットを5人の人形遣いが操作する人力勝負のアナログ手法。
(引用元:新たな“怖カワ”アニマルモンスター、日本上陸! 映画『キラー・ナマケモノ』4.26公開&特報解禁|クランクイン!)
とのこと。
パペットならではの、若干ぎこちない動きも愛嬌に拍車をかけていました。
なんというか、「グレムリン」(1984)のギズモ(あるいはグレムリン)とか、「チャイルド・プレイ」(1988)のチャッキーとかみたいな、ある種の愛らしさを感じる。
……いやあ、可愛かった。
賢すぎるアルファ(可愛い)
んでもって、この可愛いアルファ(ナマケモノの名前)。
ただ可愛いだけじゃないんです!
そう、めっちゃ賢い。
「中に人が入っているのでは!?」という行動を繰り返し、周囲を振り回します。SNSに自撮りの写真なんかもアップしちゃったりして。
密猟者に捕獲される前は、パナマの熱帯雨林にいて電子機器などとは無縁の生活を送っていただろうに、きっとエミリーが使っているのを見て覚えたんだね。賢いね。
ああ、それと、ナマケモノが省エネで「遅い」という先入観(いや、事実なんだけど)は捨てないとね。
動物愛護のメッセージ
本作は、頭を空っぽにして観られるポップコーン・ムービーですが、しっかりメッセージ性を持たせた映画でもあります。
まず、そのひとつに動物愛護があります。
違法に取り引きをしているペット業者から、ナマケモノを盗むような形で手に入れることになってしまったエミリー。そんなエミリーに、親友のマディソンは「故郷(パナマの熱帯雨林)に戻すべきだ」と何度も主張する。
まあ、どう考えてもナマケモノなんて、動物の知識も何もない普通の大学生が気軽に飼えるものではありませんし。
エミリーは、ナマケモノが何を食べるかすら知らない状態だったので、動物を飼う覚悟などなかったでしょうね。
ちなみに、サッと調べてみたところ、ミユビナマケモノはワシントン条約によりペットとして飼育することを禁止されているそう。フタユビナマケモノであれば、飼育すること自体は(多くの国では)可能なようですが、といっても適切な温度、湿度管理が必要だったりして、やはり個人で飼うのはかなり難易度が高いみたいですね。
エミリーには絶対無理(笑)。
承認欲求モンスター
あとは、エミリーやブリトニーなど、SNSに生活を支配されているような寮生たち。
まさに承認欲求の塊です。
私もX(旧Twitter)をやっていますが、確かにいいねがあればうれしいし、(優しい)リプライをもらえたら喜んで返事をします。
でも、他人と比べて云々だとか、動物を利用してまで閲覧数(いいね数)を増やそうだとか、そういったことは考えません。
現実世界でも、たまに「えっ、そんなことしていいの!?(いや、駄目だろ)」みたいなことをして、炎上する人を見かけます(炎上商法)が、中には承認欲求に支配されてという人もいるでしょうね。
誰にでも少なからず、認めてほしいという願望はあると思いますが、それが行き過ぎると……獰猛なナマケモノを呼び起こしてしまうという。
狂った承認欲求は、人をモンスターにしてしまうのだ(?)。
ツッコミどころ満載
なお、意外としっかりしたメッセージが込められていた本作ですが、無論ツッコミどころ満載です。というか、ツッコミどころのほうが圧倒的に多い。
とりわけ、個人的に笑ってしまったのは、寮生たちが次々と姿を消しているのに、誰ひとりとして気がつかなかったところ。……そんなことあるぅ?
みんな、承認欲求とアルファの可愛さにやられて、自分たちの仲間の存在を忘れてしまったのでしょうかね。
と、まあ、こんな具合に、ツッコミどころにある程度目を瞑れるというか、そういうところも含め楽しめる人向きの映画ではあります。事あるごとに考え込んだり、イライラしたりする人にはちょっとしんどいかも。
映画「キラー・ナマケモノ」が好きな人におすすめの作品
映画「キラー・ナマケモノ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- パニック・マーケット(2012)
- ハロウィン・キラー!(2023)
- トレマーズ(1990)
- キラーカブトガニ(2021)
まとめ:しょーもな!を楽しむタイプ
基本的には「なにこれ、しょーもな!(爆笑)」を楽しむ作品です。
あとは、アルファの圧倒的可愛さ。
登場人物の中で個人的に好きだったのは、エミリーの親友のひとりゼニーかな。めっちゃファンキーで、意味わからん感じがなんか好き。
好き嫌いに分かれるところではあるでしょうが、私としては、今後もっとこういう作品が出てくればいいなと思っています。……他の動物で!
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 61% AUDIENCE SCORE 71%
IMDb
4.6/10