
ショーン・オブ・ザ・デッド (字幕版)
「ショーン・オブ・ザ・デッド」の感想です。
映画「ミラクル・ニール!」(2015)などで知られるサイモン・ペッグ主演のゾンビ・コメディー映画。
すでに何度目かの鑑賞なんですが、久々に観て「相変わらず面白いな!」と思ったので。私としては、サイモン・ペッグが特別好きになったきっかけの作品でもあります。
本記事は2025年07月21日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
動く屍VS屍のように生きる人間――ファイッ!
作品情報
タイトル | ショーン・オブ・ザ・デッド |
原題 | Shaun of the Dead |
ジャンル | ゾンビ、コメディー、ホラー、スリラー、アクション、パニック |
監督 | エドガー・ライト |
上映時間 | 99分 |
製作国 | イギリス |
製作年 | 2004年 |
公開年(英) | 2004年 |
レイティング | R15+ |
個人的評価 | ★★★★☆ |
あらすじ
小さな家電量販店に勤めているショーンは、まともな職につかず自堕落な生活を送っている親友のエドと同居していた。しかし、計画性がなく、何をするにも無気力で、デートも毎回近所のパブという進展のなさから、恋人のリズに振られてしまう。落ち込み、やがて心を入れ替えることを誓うも、なぜかロンドンの街がゾンビであふれかえってしまい――。
主な登場人物
(敬称略)
ショーン
(演:サイモン・ペッグ)
近所の家電量販店に勤めている男性。自身の駄目さから恋人のリズに振られてしまう。リズと復縁するため更生しようと思った矢先、街がゾンビであふれかえる異常事態に。母と恋人を迎えに行きつつ、安全なところへ避難することを計画する。
エド
(演:ニック・フロスト)
ショーンの親友で、同居人。時にマリファナを売って小銭を稼いだりはするものの、基本的には無職の暇人。空気が読めず、ショーンを困らせることもしばしば。
ピート
(演:ピーター・セラフィノウィッツ)
ショーンとエドの同居人。ニートで自堕落な生活を送り、家賃をほぼ入れないエドに厳しく、よくぶつかっている。エドを庇うショーンにも苛立ちを感じている。
リズ
(演:ケイト・アシュフィールド)
ショーンの(元)恋人。無気力なショーンに不満を抱き、ついに別れ話を切り出した。ゾンビ騒動が発生し、ショーンらと共に避難することに。
ダイアン
(演:ルーシー・デイヴィス)
リズの友人で、売れない女優。ゾンビの集団の中を突っ切ることになった際には、ショーンたちに「あること」をレクチャーする。
デービッド
(演:ディラン・モーラン)
ダイアンの恋人だが、実はリズに好意を寄せている。そのため、ショーンのことを必要以上にこき下ろすことも。
バーバラ
(演:ペネロープ・ウィルトン)
ショーンの母親。前夫とは死別しており、現在はフィリップの妻。迎えに来た息子のショーンと逃げることに。
フィリップ
(演:ビル・ナイ)
バーバラの夫で、ショーンの義父。ショーンとはぎくしゃくした関係。
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」の感想
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」の感想です。本当に、何度観ても! 面白い! イライラするところもあるんだけど! 面白い!
ゾンビあるある!
本作のタイトルは、モダンゾンビ映画の巨匠とも言われるジョージ・A・ロメロ監督の映画「ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)」をもじってつけられたらしい。お恥ずかしながら、ロメロ監督の作品はそこまで詳しくなくて、「アミューズメント・パーク」(1973)や「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」(1968)とかしか観たことがないんですよね。しかも後者は正直あんまり覚えていない。
なので、パロディーと言われてもどこがとはちょっとわからなかったんですが。
でも、ゾンビあるあるを擦っているのはよくわかりました。この辺にしっかり敬意も感じられて、観ているだけでクスッとしてしまう。「わかる! あるよね、こういうの!」って。
パロディーってやりようによっては観る人に不快感を与えかねないから、慎重かつリスペクトを持って取り組まなければいけないはずなんですけど、個人的にはこの作品は文句なし! でした。
ゾンビあるある。
例えば、ゾンビは生前の行動(習慣)を繰り返すというもの(もちろんそうじゃない作品もありますが)。
ゾンビが発生する前の朝、ショーンがとある少年にボールをぶつけられる描写があるんですが、ゾンビがあふれかえったあとにも少年ゾンビに同じようにボールをぶつけられています。「生前の行動を繰り返す」ことへのパロディーと「お前、あれわざとだったんかーい!」っていう察しが入って二重にクスッとしてしまうシーンでした。
私は察し能力が低いので、ここも最初は「ゾンビが噛みつく以外で人にこんなちまっとした攻撃することある?」とキョトンとしてしまったんですが、ちょっと考えて「あ、そういうこと!?」とわかったときにはじわじわ笑いが来ましたね。
それに、ゾンビ映画といえば銃で戦う人たちが出てくるのもあるある。
でも、ショーンは銃を持ってもなかなかゾンビに当てることができません(笑)。なぜなら使い慣れていないから(笑)。劇中、ショーンが唯一使いこなせた武器がクリケットのバット。いかにもイギリスという感じで好きでした。
Rom Zom Com
ちなみに、公開当時のコピーは「Rom Zom Com」だったそう。「Rom Com」といえば「Romantic Comedy」、日本語では「ロムコム」や「ロマコメ」「ラブコメ」と言ったりしますね。「Rom Com」×「Zombie」だから「Rom Zom Com」(笑)。語感がいい(笑)。
本作はショーンとリズの恋愛という意味ではロマンス要素も組み込まれているので「Rom Zom Com」ですが、ただのゾンビ・コメディーのことは「Zom Com」もしくは「Zomedy」などと言ったりするらしいです。ザッと調べたところによると。
映画「ゾンビランド」(2009)とか「ゾンビーバー」(2014)とか、コメディータッチなゾンビ作品はいまやたくさんあるので、造語ができるのも納得ですね。
サイモン・ペッグが素晴らしい
もうね、サイモン・ペッグが出ているだけで面白い。
大袈裟にやりすぎていないのに、真面目に(?)クスッときてしまうあの絶妙な感じ、すごいですよねと。これ「ミラクル・ニール!」(2015)の時にも思ったんですが。サイモン・ペッグじゃなかったらここまで面白くなかったかもしれないなって。
本当に素晴らしい俳優さんでございます。
ショーンとエド
あと、本作で毎度毎度イライラさせてくれるエドくん。
こいつぁ、すごい(ある意味)。
何がすごいかって、魅力的なところがひとつもない。
病気だとか家の都合だとか、そういう理由があるわけじゃないのに働かない。ニート。家賃も払ったり払わなかったり。なのにビールを飲みながらゲームをするという自堕落な毎日を送っている。空気も読めない。悪いことをしても自覚せず、さらにふざけ倒す。
……なに、こいつ? ってなります。普通に。
同居人のピートが口うるさく言っていて、言い方の問題で冷たく聞こえたりもするけれど、100%ピートが正しい(笑)。そりゃあ嫌われるよなっていう男です。まあ、ピートも高圧的なところがある人なので、ものすごく好きになれるかと言ったらそうじゃないんだけど。
でも、そんなエドにたびたび困らせられながらも、決して切り捨てることはしないショーン。リズに振られた理由のひとつは絶対エドにあるのにね(笑)。しかも、エドはエドで「俺はショーンさえいてくれたらなんでもいいもーん」みたいなスタンスっぽいし。
たぶん、自分の身近にいたらそっと距離を置きたくなるタイプだと思う。エドは。
けど、誰かに嫌われたり口うるさく言われたりするのを誰かのせいにはしないし、とにかく明るいエドだから、もしかしたら変な友人ひとりぐらいいてもいいんじゃないか? という感じはしました。なんていうか、誰かにとっての嫌いな人も、誰かにとってはかけがえのない人かもしれない。自分にとって嫌いな人でも、きっと誰かの家族であり、友人であり、大切な人なのかもしれないと想像してみようねというような。
こういうの、現実世界でも思ったりします。
例えば、稀に人格的に問題があるのではと思えるような人に遭遇する。でも、そういう人にも生み、育ててくれた親がいて、きっと友人もいて、もしかしたら自分で築き上げた家族がいるかもしれない。自分は(主観的に)「こいつヤバいなあ」と思うけど、誰かにとっては大事な人なのかもなって。
エドはそんな誰かの(つまりショーンの)大事な人だったのではないかなと思います。まあ、個人的には近付きたくないタイプであることに違いない(笑)。
そんなエドを庇い続けるショーンもショーンだし、正直、これ共依存では? と思わなくもないけど、こういうのも最後まで貫けば純愛なんでしょうね。
ゾンビのように生きているショーン
あと、面白かったのはショーンたちがゾンビがあふれかえっている道を堂々と突っ切るところ。
死人と死んだように生きる現代の人々、果たして何が違うんでしょうね。実際、冒頭でショーンはまるでゾンビのように毎日同じ行動を繰り返し、やる気もなく屍のように生きているという描写がされていますし。
でも、まさかあんな切り抜け方があるとは(笑)。
確かにだいたいのゾンビ映画では「ゾンビたちが人間とゾンビをどうやって見分けているのか」を説明していない……気がします。
グロもある
そして、グロもしっかりあるので、生粋の(?)ゾンビ映画好きさんにも観やすい展開になっています。ここもあるあるになっているのが面白い。
さすがゾンビ・コメディーというだけあって「ゾンビ映画なんだから、こういうの欲しいでしょ? 待ってたんだよね? ね? ね?」みたいな感じで描かれていたのが非常によかったです(笑)。
でも、ラストにはしっかりオリジナリティーがありましたよ。
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」が好きな人におすすめの作品
映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ウォーム・ボディーズ(2013)
- YUMMY ヤミー(2019)
- アナと世界の終わり(2017)
まとめ:何度でも観たくなる
定期的に観たくなる魅力のある作品です。
こう、と説明されたわけじゃないけど、本作に描かれた「あるある」を見ては「あっ、そういえばこれもあるあるだわ!」と改めて発見した気になるような。
クスッとしたいときにおすすめ。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 92% Popcornmeter 93%
IMDb
7.9/10
Filmarks
3.8/5.0