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【R15+】映画「ミスミソウ」(2017)|あらすじ・感想

ミスミソウ_感想 サスペンス


ミスミソウ [DVD]

一言、――衝撃。

これまでに公開してきた「告白」や「冷たい熱帯魚」みたいなおどろおどろしい人間の恐ろしさを描いた作品とは異なり、おそらく「悪の教典」や「バトルロワイヤル」などのとにかく血が飛び交う画(つまりグロい作品)が好きな人にはおすすめです。

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あらすじ

東京から過疎の町へ引っ越してきた中学生の少女・春花は、早々に激しいいじめを受けることになった。もめ事を起こしたくない担任教師も見て見ぬ振りを決め込み、いじめは日ごとにエスカレートしていく。そんな中、春花は唯一自分を気に懸けてくれる同級生の晄を心の支えにしていたが、やがて春花の家に火が付けられ、彼女の両親が命を落とし、幼い妹も重傷を負ってしまう。あまりのことに、耐え忍んでいた彼女の心は崩れ去り……。

(引用元:WOWOW ミスミソウ「放送内容」

こんな人におすすめ!

  • 多少グロくてもスカッとしたい……
  • 復讐劇に快感を覚える
  • 「悪の教典」のようなサイコパス系が好きだ
  • 因果応報という言葉を信じている
  • 誰かに「愛してほしい」と思う……!
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スタッフ・キャスト

  • 監督:内藤瑛亮
  • キャスト:山田杏奈―野咲春花役
    清水尋也―相場晄役
    大谷凜香―小黒妙子役
    大塚れな―佐山流美役
    中田青渚―橘吉絵役
    紺野彩夏―加藤理佐子役
    櫻愛里紗―三島ゆり役

【ネタバレなし】「ミスミソウ」を観た感想

指が飛んだり血が散ったり……少しでもバイオレンスなシーンが苦手という人は即ゴーバック! そんな衝撃作品です。

モカ
モカ

わたしはそんなのも、うん、嫌いじゃない! 美的センス的に!

【1】とにかくグロい

先述したとおり、血が飛び散るのは当たり前、ときには指が飛んだりボーガンの矢が目を突き抜けたりと、とにかくグロいシーンの連続。

ただし、すべては復讐のため。

それを「スカッ」と感じるか、「それにしてもやりすぎ……」と感じるかで見方はずいぶんと変わってくるでしょう。ちなみにわたしはそのどちらでもなく、淡々と「おお、グロいなあ」なんて観ていられるタイプなので嫌悪感を覚えることはありませんでした。

モカ
モカ

ちょっと顔をしかめる程度!

【2】白銀の世界と鮮血のコントラストが美しい

わたしがグロいシーンでも淡々と見ていられたのには、ただそんな光景が嫌いでないということともうひとつ、単純に画が美しかったからということがあります。

舞台は雪の降りしきる冬。

辺りは一面の銀世界で、そこに飛び散っていく色鮮やかな血――残酷な描写であるにもかかわらず、この白と赤のコントラストが、実に美しく表現されているんですね。

静かな空間に響き渡る悲鳴と、誰にも気が付いてもらえない切なさ。冷淡な表情の下に隠した弱さ。正反対の事象や人柄って、どこか人を惹き付けるものがあります。

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【3】被害者にとっては加害者も傍観者もない

実際にいじめの被害にあったことはありますか?

生きていれば、被害者はもちろん、加害者になってしまう可能性もないとは言い切れませんよね。さて、加害者とはどこまでが加害者なのでしょうか。

直接拳を振り上げた人? それとも、一緒になって笑っていた人? あるいは、見て見ぬ振りをした人もそのうちのひとりなのかもしれません。

要は、被害を受けた側が「加害者だ」と思えば、そうなのです。

「ちょっと待とうよ」そんな一言で、もしかしたらいじめはエスカレートしなかったかもしれない。でもそれって、学生であれ大人であれ、集団の中で生きていくにはなかなか勇気がいることです。誰にでもできることではないでしょう。

また、加害者もそのコミュニティーを抜け出した途端、被害者になっていることもあります。例えば、学校では加害者だけれども家では被害者になってしまう、というような場合です。その逆もまたしかり。

だからといって、他の誰かを傷付けていいことにはなりません。あくまでも被害者からすれば加害者は加害者、許しがたい存在なのですから。

本作では、そんな血も涙もない残酷な復讐劇が描かれています。

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【4】「愛情」と「依存」は紙一重

事の発端はすべて、主人公の家が焼き払われてしまったことでした。仲の良い家族が一瞬で崩壊していく様子は、まさに残酷の極みです。

主人公はまだ中学生。義務教育中で、卒業まで間もない時期の転校でした。だから別に、わざわざ学校に通う必要なんてなかったし、春花自身、家族のすすめもあってそのとおりにする予定だったのです。

春花の両親が亡くならなければ。幼い妹が重傷を負わなければ。

このままやり過ごし、きっと平穏な高校生活を送ることができていたに違いありません。そんなタイミングの悪さの中に潜んでいたのが、「愛情」と「依存」です。

誰かが「愛情」で動き、また他の誰かが「依存」で狂気に走る。それらはきっと、紙一重の感情なのでしょう。「愛情」が「依存」になり、その気持ちが裏切られたとき、それは「憎しみ」に変わる。人間、極限状態に陥るとなにをするかわからないものですね。怖い。

【5】「ミスミソウ」の花言葉=登場人物

映画のタイトルともなっている「ミスミソウ」は、厳しい冬の寒さに耐え、やがて雪の下から顔を覗かせる強く可憐な花

相場晄は、「自信・信頼・優雅・高貴・忍耐・内緒・悲痛」という花言葉を持つミスミソウと春花を重ねます。

いじめに耐え忍び(忍耐)、誰にも言わないまま復讐に走った(内緒)春花の、家族を失ってしまった悲しみ(悲痛)。残忍極まりない復讐法を選んだにもかかわらず、その光景にはどこか(高貴)で(優雅)な雰囲気さえただよっています。

それ以上失うものはない。だからこその復讐劇(自信)。(信頼)を裏切られ続けた人はどうなるのか――。

でも、それは春花に限った話ではありません。すべての登場人物にはそれぞれ秘めた想い(内緒)があり、それがきっかけとなって負のループに陥ってしまう。結局、人は弱い生き物なんですね。

だからこそ悩んだり、苦しんだり、他人に対して攻撃的になったり。主人公視点で考えれば「なんて可哀想に!」と簡単に思ってしまいそうですが、社会に束縛された子どもたちならではの苦しみが浮き彫りになっている、考えさせられる作品でもあります。

もし彼らが東京のようなたくさんの「逃げ場」がある都会暮らしの中学生だったら、どうなっていたのかなと思わずにはいられません。

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【6】後味は最悪

正直に言います。

後味は最悪です。それ以外のなにものでもありません。

救いがないエンディングとはまさにこのこと。でもそこに、もしかしたら新たなミスミソウが芽吹いているのかもしれない(詳しくは本編で!)。

もし彼らが現実世界で生きていたのだとしたら、物語はそこで終わりません。

暗く淀んだ記憶の中に、けれども一筋の光を見つけてこれからの人生を歩いていく誰かがいるのかもしれませんよね。ひどい後味ですが、どこか前向きにさせてくれる終わり方はなんだか不思議な感じがしました。

原作は漫画

「私は家族を焼き殺された――。」三角草(ミスミソウ)。厳しい冬を耐え抜いた後に雪を割るようにして咲く花。閉鎖的な田舎町の中学に転校してきた少女「春花」を待っていたのは、壮絶なイジメだった。せき止められない憎しみに、少女の心は崩壊する―――!!

(引用元:日本最大級のマンガ(電子書籍)【eBookJapan】「ミスミソウ」

「ミスミソウ」は押切蓮介先生の漫画を映画化した作品です。

もちろん、漫画の長さからするとすべてを1、2時間そこらの作品におさめることは不可能なのであるが、おおまかなストーリー展開は同じ。ただし、「R15+」という特性上、残酷描写はやや削られているような印象は受けます。

モカ
モカ

むしろ漫画だともっとひどいってこと!? という感じですね……。+R15の限界や、いかに。

人気の漫画作品を実写化すると失敗するパターンも多いものですが、ミスミソウに関しては成功といっていいのではないでしょうか。若手俳優たちが見事演じきった狂気の沙汰。多少粗削りぐらいがまたいいんですね、これが。

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大袈裟なくらいが丁度良い

キャスティングされたのはこれからが期待される新進気鋭の若手俳優たち。決して演技力がないというわけではないけれど、粗削りな部分も否めないフレッシュ感がたまりません。

そんなこともあって、時折「大袈裟では?」と思えるほどの必死な形相を浮かべるんですね。でも、それがミスミソウのテーマ「トラウマサスペンス」にぴったり!

ただし、終始どんよりした雰囲気がただよっていますので、観るのは精神的に余裕があるときをおすすめします。

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モカ
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