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映画「ALONE アローン」あらすじ・感想|一歩でも動けば即エンド……砂漠で孤独と戦う兵士の物語

ALONE アローン_タイトル スリラー

ALONE アローン(字幕版)

「君の名前で僕を呼んで」(2017)で知られるアーミー・ハマー主演の作品です。

例えば「FALL/フォール」(2022)のように、限られた道具を用い、その場所(あるいは状況)から脱出しなければいけないというのがシチュエーションスリラーの特徴ですが、本作はその最たるものと言っていいかもしれません。

――なぜなら、その場から一歩でも動いたら即ジ・エンドだから!

本記事は2024年08月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。

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ワンフレーズ紹介

ミッションに失敗して、歩いていたら地雷踏んじゃった! あーん! どうしたらいいのー!?

作品情報

タイトルALONE アローン
原題Mine
ジャンルスリラー、アクション
監督ファビオ・レジナーロ、ファビオ・グアリオーネ
上映時間106分
製作国アメリカ、イタリア、スペイン
製作年2016年
レイティングPG12
個人的評価★★★★☆

あらすじ

自身に課せられたミッションに失敗したアメリカ兵のマイク。仲間と共になんとか敵の攻撃から逃れたマイクは、気がついたら3,000万以上もの地雷が埋まる地雷原にいた。しかし、その事実に気がついた瞬間、仲間の兵士が目の前で吹き飛んだ。そして、マイク自身も、足下から響く「カチッ」という微かな音を耳にしたのだった――。

登場人物

(敬称略)

マイケル・スティーブンス(演:アーミー・ハマー)

通称「マイク」。アメリカ兵で、スナイパー。暗殺ミッションを課せられていたが、ターゲットが現れたのが結婚式だったことで、狙撃を躊躇い、ミッションに失敗してしまう。恋人との結婚も躊躇っている。

トミー・マディソン(演:トム・カレン)

アメリカ兵で、スポッター。マイクとは気安い関係の仲間。今回のミッションにも共に臨んでいた。

ジェニー(演:アナベル・ウォーリス)

マイクの恋人。

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映画「ALONE アローン」の感想

映画「ALONE アローン」の感想です。その場から一歩も動いてはいけないなんて、シチュエーションスリラーとしてこれ以上ないぐらいの状況ですね。

究極のシチュエーションスリラー

例えば「FALL/フォール」のように高い所に登って降りられなくなったとか、「エスケープ・ルーム2:決勝戦」のように今いる場所から脱出しなければいけないとか、シチュエーションスリラーの醍醐味というべき、「ミッション:ここから脱出せよ」

ですが、ここから一歩も動くなという状況は、その最たるシチュエーションと言えます。

いや、無理ゲーじゃん――って思いますよね。普通なら。

実際、砂嵐に見舞われたり、夜が来て意識が朦朧としたり、そんな夜に狼(野犬かな?)に襲われたりと、ただそこにいるだけなのにハプニング続きで、緊張感はめちゃくちゃあります

ただ、まあ、一般的なシチュエーションスリラーとはちょっと違うかなとも思うけど。

地雷を踏んだ時の「カチッ」という音の威力といったらもう。マイク自身「やっちまった……」って顔をするわけですが、観ているこちらも「やっちまった……」と思っています。没入感がすごい。

現実と幻覚の境界線

意識が朦朧としていくにつれ、現実と幻覚の境界線が曖昧になっていく描写が、とても自然で◎

現実でこんなこと起こるわけないと思うんだけど、実はそれが幻覚だったり。これは幻覚だろうと思ったことが、実は現実だったり。

現実は現実でも、ふと自分の過去のことを思い出したりね。

たぶん、マイクは自分のことが嫌いだったんだろうな。だからこそ、極限状態に追い詰められた時に、自分自身と向き合うことになった。こう、幸せだったことだけじゃなくて、過去の嫌だった出来事までも思い出したから。

そして、マイク同様、我々も現実と幻覚の境界線が曖昧になっているはずなので、観終わったあとに「あれが現実で、これが幻覚……」と思ったことでも、実はその逆だったりするかもしれませんね。

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父親との関係

本作で、特筆すべきはマイクと父親の関係

暴力的な父親から受けた仕打ちがトラウマになっているマイク。なのに、自分自身もその気質を受け継いでいて、恋人に迷惑をかけているという状況。

そこからふと思い出す、暴力を振るったあとに泣いていた父親の姿

子どもの頃から一貫して「あんな人間(大人)にはならない」と父親を恨んでいた気持ちが、ここで「父親も自分と同じだったんだ」と気がついたのかもしれませんね。

なんていうか、大きくて怖い人間だったのが、対等であり、怖がる必要のない人間になったという感じ。

小さい頃の父親なんて、自分よりずっと大きくて勝ち目のない相手ですから、暴力を振るわれれば怖くて当然です。そこで逃げてしまったから(この場合、逃げるのが確かに正解なんだけど)、マイクにとって、父親はずっと恐怖と理不尽さの象徴だったんじゃないかなと思います。

それが、もう怖がらなくていいんだと解放されたんだと。

「なぜそこから動かないのか」

――なぜ、そこから動かないのか。

なんだかドキッとするセリフですね。

「本当に地雷のことを言ってる?」と問いかけたくなるような。

マイクに近付いてきたベルベル人の男があまりにも意味深なことを繰り返すので、どういうポジションの人やねんコレ、とは思ってしまうものの、まあ、結構良い役柄でした。

といっても、この場合「地雷踏んでるんスよォ……」としか返しようがないんですが。さすがに「えっ、地雷踏んでるの!? ヤバいじゃん!」とはならなかった。

でも、理由はさておき、マイクは動きたくないから動かないのです。「地雷を踏んでいて動けない」とは言うけれど、それは物理的に「動けない」のではなく、「地雷が爆発するのが怖くて(動けるけれども)動きたくない」というのが、実は正解。

実生活でも、「できない」という言葉の向こう側に、実は「したくない」という思いが潜んでいることって結構多いんじゃないかと思いました。

7%の可能性

古い地雷なら、不発率は7%

それをたった7%と読むか、7%もあると読むか。「コップ半分の水」みたいな話ですね(グラス半分に入っている水を「半分もある」とするか「半分しかない」とするか)。

……7%しかないでしょう。普通に。命懸かってるもん。

でも、現実には、このままじっとしていたら助かる確率はほぼ0%だし。力尽きるのも時間の問題。とにかく「前に進め」とプッシュしてくるおじいさんもいる。

諦めって大事なんだなと思いました。

悪い意味での諦めではなくて、良い意味での(?)諦め。

過去のしがらみやトラウマ、自分自身への感情をいったん手放して、とりあえず前に進んでみる、みたいな。ごちゃごちゃ考えるより、吹っ切れたときのほうが、物事がうまく進みやすいのと同じですね。

だが、しかし、7%はさすがにビビる。

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映画「ALONE アローン」が好きな人におすすめの作品

  • ザ・ウォール(2017)
  • ローン・サバイバー(2013)
  • ザ・グレイ 凍える太陽(2012)
  • 127時間(2010)

まとめ:典型的なシチュエーションスリラーとは少し違う

典型的なシチュエーションスリラーを思い浮かべて観始めると、ちょっと肩透かしを食った気分というか「なんか違う……」という感想になるかもしれない物語。

緊張感はあるものの、主人公の内面に焦点を当てた作品でした。哲学的な部分も多かった。

でも、私個人としては、これはこれでめちゃくちゃ好きでした。

Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 17% AUDIENCE SCORE 44%
IMDb
5.8/10

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