メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
大人気だった第一作目の「メイズ・ランナー」に続き、こちらは第二作目となっています。
人気をそのまま維持するのはなかなか難しいことですが、この作品の場合はどうでしょうか? インターネットで調べてみると、結構酷評しているコメントなどが目につきます。
第一作目が盛り上がりすぎると、第二作目でちょっとばかり失速して、中だるみ感が出てしまうのは仕方のないことなのかもしれませんね。
本記事は2023年12月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮 |
原題 | Maze Runner: The Scorch Trials |
ジャンル | アクション、サスペンス、スリラー |
監督 | ウェス・ボール |
上映時間 | 131分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2015 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★★★☆☆ |
あらすじ
迷宮から命からがら逃げだしてきたトーマス一行。外に出てやっと救われるかと思えば、そこは太陽に焼き尽くされて砂漠化した世界だった。さらに、そこにはゾンビのようなクランクという生き物までいる。ともあれ、いったんは助かったと安堵するトーマスたちだったが……。
登場人物
(敬称略)
トーマス(演:ディラン・オブライエン)
主人公の青年。迷宮にいた仲間たちを引き連れて、脱出に成功した。現在は、WCKD(ウィケッド)という組織に保護されているが……。
テレサ(演:カヤ・スコデラリオ)
トーマスの想い人。理知的で度胸がある、たくましい女性。
ニュート(演:トーマス・ブロディ=サングスター)
トーマスの仲間。慎重な性格で、突っ走るトーマスにたびたび制止をかけようとする。
ミンホ(演:キー・ホン・リー)
トーマスの仲間。強さと優しさを兼ね備えている。
フライパン(演:デクスター・ダーデン)
トーマスの仲間。仲間内では相変わらずごはん係。
アリス(演:ジェイコブ・ロフランド)
トーマスたちと共に、WCKDに保護されていたひとり。組織内ではひとり行動をすることが多く、あるときから、トーマスたちと共に動くようになった。
ブレンダ(演:ローサ・サラザール)
トーマスたちが旅をしている最中に出会った女性。
エヴァ・ペイジ(演:パトリシア・クラークソン)
WCKDの局長。
ジャンソン(演:エイダン・ギレン)
WCKDに集められた若者たちを管理している人物。
映画「メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮」の感想
第一作目に続き、第二作目。ただただ突っ走っていた前作とは異なり、今作からは頭脳戦が入ってきます。
今作での迷宮(メイズ)は砂漠
今作での迷宮(メイズ)は砂漠、とは言ったものの……
もはや迷宮ではない。
砂漠ですからね。砂漠。
なので、前作のように、訳もわからず迷宮をただ突っ走っている感じの展開を想像していた人は、ちょっとがっかりするみたいです。「メイズ・ランナーに期待していたのはこれじゃない!」と。
確かに、多少なりとも肩透かし感はある。
今作は「ハンガー・ゲーム」と「バイオハザード」を足して2で割ったような世界観です。しかも、どちらかというと「バイオハザード」寄り。
ゾンビっぽいクリーチャー(クランク)が出てくるから、余計そう思ってしまうんでしょうね。
ただ、前作とは主旨が変わっているんだと一度理解すれば、それなりに楽しめます。見方を変えれば問題なし。
第二作目だからこその中だるみ感
「ハンガー・ゲーム」でもそうだったんですが、第二作目や第三作目、つまり複数作品があるシリーズものの場合、間に挟まれた作品ってどこか失速しがちな気がします。
どんな作品にしろ、第一作目が盛り上がりすぎると、第二作目がそれを超えるってなかなか難しいですよね。
この作品は起承転結の承転の部分。なので、問題提起はあってもなかなか解決に向かわず、もどかしかったです。
中だるみしてしまったように感じたのは、それも原因のひとつだったかもしれません。
仕方ないと言えば仕方ない部分もあるんですが、話の雰囲気がガラリと変わってしまっただけに、観ているほうもここが粘りどころという感じでした。とはいえ、「バイオハザード」や「ウォーキング・デッド」のようなゾンビアクションものが好きなら、普通にそれはそれとして楽しめると思います。
いまなら言える。
「メイズ・ランナー」はゾンビ映画です!
ちなみに、この作品でのゾンビ(クランク)は、全力疾走するパワー系のゾンビ。
終始不穏な空気
ただし、終始不穏な空気が漂っているのも、第二作目ならでは。
いや、もちろん第一作目だってそうなんですよ? 何者かわからない相手と戦わなければいけなかったという点においては。
でも、今作の不穏さには、ちょっとディストピアっぽさがあるというか、世紀末感があるというか。とにかく、世界のこれからがトーマスたちの肩にかかっている感じ。
同じ逃げ回るでも、背負っているものがまったく違うので、より不穏に感じるのかもしれません。
相変わらず飛び抜けて格好良いミンホ+α
前作のときも書きましたが、ミンホの格好良さは別格。
こう、潔い強さっていうんですかね。
トーマスに引っ張られるようについてきて、その中にはやっぱり間違いに見えるようなことが多々あるんだけれども、それでも決して他人を責めない清々しさ。無口なわけじゃないのに、人を不快な気持ちにすることを言わないのってすごい。
あんた、漢だよ……。
あと、ニュートもなんだかんだでだんだん格好良く見えてきます。めちゃくちゃイギリス訛りの英語で、これもまた素敵。
ミンホと違って、ニュートはところどころトーマスに強く意見したりするんですが、それはそれで人間味があるし、「自分がこの世界にいて、彼らの立場だったらどうか」と考えてみると、多くの視聴者がニュート寄りの感覚になると思うので、共感するなら間違いなくニュートです。
こんな状況、誰だって「お前のせいだ!」って言いたくもなるでしょうよ……(確かニュートはそこまで言っていない)。
テレサ?ブレンダ?ヒロイン不在の映画
前作から今作の序盤にかけてのヒロインは、間違いなくテレサだったはずなんですよね。
なんなら、トーマスの想い人っていう設定もありますし。でも、映画の中では意外と恋愛的なシーンがないんです。トーマスがテレサを想っているのはわかる。テレサもたぶん……という程度。
逃げ回ってみんなで走っているときなんかも、トーマスはテレサを終始気にしている様子でした。ただ、途中からはその役割がブレンダに取って代わられた感じでした。
それでもやはり、ブレンダともロマンス的なシーンが多いわけではないので、Wヒロインというよりは、もはやヒロイン不在というほうが正確な気がします。
アイコン(ヒロイン)的女性を出すなら出すで、もうちょっとわかりやすくしてほしいと思ったり。そこらへんで、トーマスの心の揺れを表現してほしかったなと思いました。
トーマスお得意の「プランはない」
前作のときから思っていたんですが、トーマスは感情の赴くまま、しかも仲間たちを巻き込んでほとんど衝動的なアクションを取ることがあります。
正直、めっちゃ迷惑。
自分が仲間だったらとても嫌。
しかも、その多くが「プラン(計画)はない」という思いつきなんですから、一部とはいえ怒りたくなる仲間の気持ちもわかります。このような状況下じゃ、すでに巻き込まれたあとに「やっぱ俺、抜けるわ!」と手を引くことなんてできないわけですから。
でも、まあ、それでどうにかなっているから仲間からの信頼も得られるし、ヒーローたる所以なのでしょう。最初から最後までずっと手を貸してくれるミンホさまさま。彼がいなかったらきっと、もっと早い段階でトーマスは命を落としていたことでしょう。仲間を道連れにして。
トーマスはもう少し、考えてから行動できるようになったほうがいいですね。
そうじゃないと、視聴者は「この人たちはいったい、何を目指して走っているんだ?」と一緒に目的を見失ってしまいます。共に迷走状態という不思議なことに。
ダイナミックでクールなビジュアル
ちょっとディストピアっぽさを感じる……とは先に述べたことですが、これはまさにその通りで、砂漠化した世界の中で倒壊したビルや瓦礫など、世紀末を思わせる演出は非常に見ごたえがありました。
これはよかった。
トーマスたちが目指すゴールが不明瞭である一方、監督が表現したかった世界観は明確に反映されていたのではないでしょうか。
映画「メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮」が好きな人におすすめの作品
映画「メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- バイオハザード(1996)
- アイ・アム・レジェンド(2007)
- ワールド・ウォーZ(2013)
- サイレントヒル(2006)
まとめ:第三作目のための準備映画
基本的には、第三作目につなげるための作品という感じでした。
伏線回収もまだまだだし、第一作目とは話の趣向が変わってしまってはいるけれど、ゾンビアクションものとしては普通に楽しめます。
それに、第三作目を期待できるような内容ではありました。