錨を上げて [DVD]
「巴里のアメリカ人」や「私を野球につれてって」などで知られるジーン・ケリーの代表作のひとつです。
相変わらず華麗なジーン・ケリーのステップが炸裂しています。フランク・シナトラとのコンビネーションも最高。
「雨に唄えば」をはじめ、大人気のミュージカル映画の多くに出演しているジーン・ケリーの美しい姿が垣間見れます。
本記事は2023年11月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | 錨を上げて |
原題 | Anchors Aweigh |
ジャンル | ミュージカル、ロマンス |
監督 | ジョージ・シドニー |
上映時間 | 140分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1945年 |
レイティング | G |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
あらすじ
水兵として働いているジョゼフ・ブラディとクラレンス・ドゥーリッツルのふたりに、あるとき、4日間の特別休暇が与えられた。ジョゼフはローラという名の女性に会いに行くと言うが、クラレンスはそんなジョゼフに「女性の口説き方を教えてくれ」と頼み込む。クラレンスは男子校で学び、卒業後はすぐに聖歌隊に入ったことから、女性との関わりをほとんど持たないままここまで来てしまったというのだ。真剣な様子のクラレンスを前に、ジョゼフは仕方なく協力を約束するが……。
登場人物
ジョゼフ・ブラディ(演:ジーン・ケリー)
水兵の青年。本気の恋愛はしないと豪語している。休暇の間にローラに会いに行く予定だったが、クラレンスの頼み事を聞いたことにより叶わなかった。
クラレンス・ドゥーリッツル(演:フランク・シナトラ)
水兵の青年で、ジョゼフの友人。男子校に通い、卒業後は聖歌隊に所属。そして、現在は水兵として男たちに囲まれて働いているので、女性との関わり方がわからずにいる。
ドナルド・マーティン(演:ディーン・ストックウェル)
ジョゼフとクラレンスと出会った少年。水兵になるのが夢で、ジョゼフに懐いている。
スーザン・アボット(演:キャスリン・グレイソン)
ドナルドの叔母。ドナルドの両親が亡くなったため、ドナルドを引き取って育てている。ジョゼフとクラレンスがドナルドを家まで送ってきた際、ふたりと知り合った。
ブルックリン(演:パメラ・ブリットン)
カフェで働いているウェイトレス。
ホセ・イトゥルビ(演:ホセ・イトゥルビ)
指揮者兼ピアニスト。
映画「錨を上げて」の感想
ジーン・ケリーの代表作のひとつです。第二次世界大戦の功績により、特別休暇をもらえることになった……という話ですが、この作品が作られた年ともリンクしていて面白いですね。
プロット自体は見覚えのある展開
ヒロインのことを友人が好きになり、紆余曲折あったのち、結局はヒーロー(ジーン・ケリー)とくっつくというおおよそのプロットは、「私を野球につれてって」と似たり寄ったりです。
既視感のあるストーリー展開。
それでも、毎回楽しませてくれるのは、ジーン・ケリーの歌とステップがなせる業なんでしょうね。
あと、だいたいがハッピーエンドで終わるので、安心して観られるというのも魅力のひとつです。安定感があるというか、歌とダンスに集中できるというか。
上映時間自体は割と長めなんですが、それでも飽きさせない工夫がなされています。
鉄板のフランク・シナトラとのコンビ
ジーン・ケリーとフランク・シナトラのコンビは鉄板です。
「私を野球につれてって」や「踊る大紐育」などでもそうでしたね。このふたりのコンビが尊すぎる。まさに息ぴったりです。
海軍の特別休暇という筋書き的には「踊る大紐育」とほとんど一緒。まあ、どちらが好きかは人それぞれです。
個人的には、どちらにもまた違った良さがあると思っているけれど、こちらの作品はホセ・イトゥルビという指揮者兼ピアニストが本人役で出ているので、華麗な指使いなどが堪能できます。
歌って踊って楽しいアニメーション
途中、かの有名な「トム&ジェリー」とダンスするシーンがあります。
めちゃくちゃ可愛かった。
相変わらず、ジーン・ケリーのフットワークは軽いですね。このキャラクターが出てくるだけで、とにかくハッピー! な気持ちになります。
アニメーションと融合している感じは、どこか「メリー・ポピンズ」を彷彿とさせるような演出(「メリー・ポピンズ」のほうが後に発表された作品ですが)。
もっとも「メリー・ポピンズ」のキャストにジーン・ケリーは含まれていないものの、あとから見ると、なんとも言えない懐かしさを覚えるシーンでした。
ちなみに、撮影前にはミッキーと踊る予定だったそう。それが、ある理由から使えなくなり、トム&ジェリーになったんだとか。ミッキーとの共演を見てみたかったような気もしますが、これはこれで大成功でしたね。
▼メリー・ポピンズを観たい人に▼
相変わらずのジーン・ケリーの役柄
ジーン・ケリーはさまざまなミュージカル映画で主演を務めていますが、このジーン・ケリーの役柄って結構な確率で同じタイプの男性なんですよね。
二枚目で、軽薄で女にだらしがなく、お調子者みたいな。
「錨を上げて」のジーン・ケリーもそんな感じ。女性と付き合うがすべて遊びで、決して本気にはならない二枚目キャラ。正直、キャラクターだけを見るといけすかない。
ただそれだけのときもあるんですが、今回に限っては、友情を第一に考える熱い一面も見られたので、素直に応援することができました。「お、お前、良いとこあるじゃん……?」と。
真面目一辺倒できた人より、ちょっと手慣れた危険な香りがする人に惹かれることってありますもんね。特にそれが自分とまったく違う人種だった場合、変に気になったりとかして。危ない危ない。
上へ下への壮大なダンスシーン
そのシチュエーションにあるものを使ってダンスをするというのは、いつものジーン・ケリーと変わりないんですが、今回はさらに飛んだり跳ねたり、正直落ちたらただじゃ済まないなと思えるようなダイナミックなダンスがありました。
ドキドキハラハラ。
遊びとは違う本気の恋に対するジョゼフの浮かれ具合がひしひしと伝わってきます。
「生まれて初めて恋を知った!」という感じなのかな。女性と遊び程度に付き合えば同僚たちに自慢できるとでも思っていそうな人だったのに、かなり情熱的でした。
映画「錨を上げて」が好きな人におすすめの作品
映画「錨を上げて」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- イースター・パレード(1948)
- ショウ・ボート(1951)
- 雨に唄えば(1952)
- 銀色の月明かりの下で(1953)
- グッド・オールド・サマータイム(1949)
まとめ:シンプルなラブロマンス
いつものジーン・ケリー作品らしく、ストーリーはいたってシンプル。恋愛模様にしても、複雑なものはなくハッピーなので安心して観られます。
アニメーションを融合させてみたり、結構大がかりなダンスシーンがあったりと、ちょっぴり他作品とは違うジーン・ケリーが見たい人におすすめです。