
ディープ・インパクト
昔、子どもの頃に一度観たことがあったんですが、正直、細かい内容までは覚えていなかったので……(ダイナミック大災害のシーンが印象的すぎて)。
改めて観てみたのですが、大人になると「なにこれ、すごい映画だった……」という感想でした。
本記事は2025年02月13日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
家族の愛情とは――。
作品情報
タイトル | ディープ・インパクト |
原題 | Deep Impact |
ジャンル | SF、アクション、ヒューマン、パニック |
監督 | ミミ・レダー |
上映時間 | 120分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1998年 |
公開年 | 1998年 |
レイティング | PG12 |
個人的評価 | ★★★★★ |
あらすじ
天文学部に所属していたリオ・ビーダーマンが彗星を発見し、その彗星が地球に衝突すると予測を立てたウルフ博士が、その情報を伝えるために奔走する道中で事故死して一年後。テレビ局勤めのジェニーは、元財務局長官の突然の辞職に「エリー」との不倫が絡んでいると見て、取材をすることに。すると、ジェニーは大統領のもとへと連行される。その場で、「後日行われる緊急会見で優先的に質問権を与えるので、スクープにするのは待つように」と要求される。要求を呑んだジェニーが緊急会見に出席すると、なんと一年後に彗星が衝突するという発表が行われたのだった――。
登場人物
(敬称略)
リオ・ビーダーマン(演:イライジャ・ウッド)
天文学部に所属している普通の高校生。偶然発見した彗星は、リオとウルフ博士の名前から取り「ウルフ=ビーダーマン彗星」と名付けられた。
サラ・ホッチナー(演:リーリー・ソビエスキー)
リオの恋人。幼い妹がいる。
ジェニー・ラーナー(演:ティア・レオーニ)
テレビ局勤めのキャスター。野心家で、上昇志向が強い。両親は離婚している。
ジェイソン・ラーナー(演:マクシミリアン・シェル)
ジェニーの父親。ジェニーの母親とは離婚して、現在は若い妻がいる。
ロビン・ラーナー(演:ヴァネッサ・レッドグレーヴ)
ジェニーの母親で、ジェイソンの元妻。現在は独り身。
トム・ベック(演:モーガン・フリーマン)
大統領。一年後に予測される彗星の衝突に際して、さまざまな決断に迫られる。
スパージョン・タナー(演:ロバート・デュヴァル)
通称「フィッシュ」。ベテランの宇宙飛行士だが、若手の宇宙飛行士たちからは煙たがられている。
オーレン・モナッシュ(演:ロン・エルダード)
宇宙飛行士で、船長。
映画「ディープ・インパクト」の感想
映画「ディープ・インパクト」の感想です。ヒューマンドラマ色が濃いだけに、他のSF/パニック作品に比べるとやや地味な印象になりがちですが、めちゃくちゃ素敵な作品。
愛の物語×∞
本作はSF、あるいはパニック作品ではあるんですが、「ムーンフォール」(2022)や「ジオストーム」(2017)といった他のSF(パニック)作品とは異なり、ヒューマンドラマ色がとても濃かったように思います。
なので、正直、ちょっぴり地味めに感じてしまう。
だけど、それがまた良いんですよね。
例えば、リオとその家族。そして、リオと恋人サラ。サラとその家族。ジェニーと父親。ジェニーと母親。宇宙飛行士たちとその家族……。
みんなそれぞれ家族や恋人に対する愛情があって、それがとても丁寧に描かれていました。
個人的に特に好きだったのは、オーレンのシーン(鑑賞済みの人にはわかるはず)。と、フィッシュと宇宙飛行士たちのやり取り。
いや、正直ね、最初のオーレンがまあまあ生意気で嫌な奴っぽいので(笑)、ここから好感度は上がらんやろと思っていたんですが……そんなことありませんでした。むしろ、今はオーレン大好きです。
残酷な取捨選択
確定で彗星が地球にぶつかる! となったとき。
そして、「人類全滅を防ぐために、どこかに避難しなきゃ……」となり、けれど全員を避難させることが困難だったとき。
そこにある取捨選択が残酷であり、リアルでした。
限られた人数で生きていかなければならないと考えると、国の上層部や技術者、医者が優先されるのはある意味当然だし、一般人にしても、ある一定のところで区切られるのも仕方のない話。
……それでも、こんな残酷なことってある? と。
さらに、その「避難できる条件」に当て嵌まっていたとしても、当て嵌まった人全員が避難できるわけじゃない。しんどい……本当に、しんどいよ。
しかも、例えばなんですけれども。
親しい友達は避難できなかったのに、自分だけ助かってしまったとなったら、罪悪感に押し潰されて、その後の人生も決して明るいものにはならないんだろうなと思ってしまった。
法のもとでは、人は平等であるはずなのに、避難できる人と避難できない人に分かれてしまうなんて、つらすぎます。
ゾッとする津波のシーン
ちなみに、私がしっかりはっきり覚えていた光景。
それが、大津波が襲いかかってくるシーンでした。
災害とは切っても切り離せない日本人だから、余計に感情移入してしまうのかもしれませんけれども、この津波のシーンがとても怖かったです。ゾッとした。
「ああ、こんなのが来たら、ひとたまりもないで……」と。
大きな波に呑まれ、次々と高層ビル(らしき建築物)が倒壊していく。でも、あのスピードであのレベルの大波が襲いかかってきたら、逃げられなかったとしても、苦しむ間もなくポックリ逝けるんでしょうか……(逝けるといいな。せめて)。
あっさりしすぎている別れ
と、いろいろな部分にリアルを感じた私ですが、その一方で、登場人物たちの別れが意外とあっさりしすぎているなと思ったところもありました。
今ここで別れたら、一生会えないかもしれない、あるいは生死がわからない状態になるかもしれないという状況で、そんなにすんなり手を離すことができるものだろうかと。
……もうちょっと粘らない?(いや、そこでぐだぐだやっていたら、上映時間が云々と大人の事情的にもまずいのだろうけど)
ただ、個人的に、そこがちょっと気になったかなというお話でした。
人生が終わる瞬間
本作で面白かったのが、どうにか彗星が地球を終わらせないようにと、宇宙からアプローチをかけるのと同時に、地球では「終わり」に向けて人々が覚悟していくところ。
人生が終わるとしたら、最後の瞬間に誰と一緒にいたいか?
そんな疑問を投げかけられます。
親か? 恋人か? 妻か? 夫か?
中にはペットという人もいるかもしれないし、ひとりがいいと答える人もいるかもしれませんね。私は誰だろう、と考えたけれど、やはり難しかったな。
今のところ思い浮かぶのは母の顔だけれど、それだって今後変わるかもしれないし(母が大事じゃなくなるという意味ではなく)。
本作のように、最後の最後にならないと、案外わからないことなのかもしれませんね。例えば、リオとジェニーのように。
特に、ジェニーは(その環境からか)真っ直ぐに愛情を受け取るのが苦手なタイプで、見ていてもどかしくもあり、けれど、苦くも幸せな気持ちになりました。本当は傷だらけなのに虚勢を張っている、ハリネズミのようだった……。
「自分には無理かも……」
これ、自分で考えてちょっぴり自己嫌悪に陥ったことなんですが。
例えば、地球にこの作品のような状況が訪れたとして。
自分が「助かる側」で、身近な人が「助からない側」だったとき、躊躇わずに自分の席を譲ったり、自分の席を捨ててまで共にいることを望んだりできるだろうか?
登場人物たちに自分を重ねたとき、今の自分じゃちょっと難しいかもしれないと思ってしまったんですよね。
個人的には、そこまでして生き延びたいかと言われたらそうでもないんだけど、でもやっぱり、痛い思いをするのは嫌だもん。
それを思ったら、自分の命を危険にさらしても守りたい人(一緒に過ごしたい人)がいるって、本当に幸せなことだし、すごいことですよね。
任務中の宇宙飛行士たちが、徐々に変化していくのもとても良かったです。
映画「ディープ・インパクト」が好きな人におすすめの作品
映画「ディープ・インパクト」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- デイ・アフター・トゥモロー(2004)
- カリフォルニア・ダウン(2015)
- グリーンランド―地球最後の2日間―(2020)
- アルマゲドン(1998)
まとめ:非常にバランスの良い作品
彗星が地球に衝突するというお話ですが、SF描写がメインになるでもなく、だからといって地球上でのパニックに偏るでもなく。
SF×パニック×ヒューマンドラマのバランスが非常に良い作品だと思いました。
ヒューマンドラマ色が濃い(やや長い)ので、ちょっぴり地味に見えることはあるものの、津波のシーンは非常にダイナミックですし、見ごたえ抜群です。あと、泣ける。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 45% AUDIENCE SCORE 43%
IMDb
6.3/10