映画「爆弾」の感想です。
一時期、めちゃくちゃ印象的なCMが流れていたあれ。
気になってはいたんですが、まず原作を読みたいなあなどと思っていたら、その前に配信に来てしまったので待ちきれずに鑑賞!
佐藤二朗が日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞したとおり、演技はかなりすごかった。……ですが、内容的には「思っていたのとはなんか違った……」でした。

映画「爆弾」の見どころは……
- 取調室で行われるド迫力の会話劇。
- 山田裕貴&佐藤二朗の迫真の演技。
本記事は2026年05月11日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
作品情報
あらすじ
酔って店員と自販機に暴行を働いたとして、警察に連行された「スズキタゴサク」を名乗る男。聴取を受けるタゴサクは、暴行事件とは別に、都内で起きるであろう(爆弾の)爆発事件を言い当てる。やがて連続爆破事件と化したこの事件を止めるため、警察はタゴサクと心理戦を繰り広げることになる――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
類家
(演:山田裕貴)
スズキタゴサクの尋問を担当することになった刑事。冷静な頭脳派タイプ。
等々力
(演:染谷将太)
スズキタゴサクが暴行事件を起こし連行されてきた際、聴取を担当した刑事。
スズキタゴサク
(演:佐藤二朗)
酔った勢いで暴行事件を起こしたとして、警察に連行されてきた男。都内で起こるであろう連続爆破事件を言い当てる。
伊勢
(演:寛一郎)
タゴサクの尋問内容を記録している刑事。
矢吹
(演:坂東龍汰)
交番勤務の巡査。曰く、過去、伊勢に手柄を横取りされたとのこと。
倖田
(演:伊藤沙莉)
交番勤務の巡査。先輩の矢吹と共に行動している。
清宮
(演:渡部篤郎)
類家の上司。タゴサクの尋問を等々力から引き継ぐものの、その後、類家にバトンタッチ。
長谷部
(演:加藤雅也)
故人。等々力の上司だったが、問題を起こし世間から叩かれる。その後、自死。
石川明日香
(演:夏川結衣)
長谷部の元妻。
石川辰馬
(演:片岡千之助)
長谷部と明日香の息子。家を出ている。
石川美海
(演:中田青渚)
長谷部と明日香の娘。現在はスタイリストとして働いており、母親(明日香)と同居中。
映画「爆弾」の感想
映画「爆弾」の感想です。会話劇としてはめちゃくちゃ面白かったけれど、正直、ストーリーは微妙でした(好き嫌いに分かれそう)。
最高の会話劇
先述したとおり、会話劇としては最高でした。
めちゃくちゃ面白かった。
まず、メインキャラの類家とスズキタゴサクを演じた山田裕貴と佐藤二朗の演技力ね。佐藤二朗は、日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞しただけのことはあります。すさまじかった。
2人とも、基本的には早口で畳みかけるような話し方(いや、タゴサクはゆっくりなときもあるか)。
なのに、しっかり聞き取れるからすごい。
取調室で行われるこの会話劇ったらね、もう本当に迫力があってゾクゾクします。
幼稚園児orホームレス
劇中、「(救えたのがホームレスでなく)幼稚園児でホッとしたでしょお?」とタゴサクが清宮刑事を煽るところがあるんですけど、ここのくだり、正直いまいちに感じました。
というのも、実際には、清宮刑事が幼稚園児orホームレスという選択肢を持っていたわけではないから。清宮刑事の中では、幼稚園に仕掛けられた爆弾のみだった。幼稚園児を選んだ、というのは極論すぎるのではないかと思う。ホームレスが犠牲になり、幼稚園児のみを救ったことに対して、ホッと安堵する気持ちが芽生えたことと、自分の意思で幼稚園児だけを救う(ホームレスを切り捨てる)とすることでは、だいぶ意味が異なってくるんじゃないかと。
そもそも、仮にホームレスのほうを救ってしまったとして(その場合は幼稚園児が犠牲になる)、そのとき清宮刑事がどう思ったかなんてifの話は誰にもわからないわけでね。
まあ、でも、この明らかにフェアじゃないよねみたいな話を、それっぽく話せてしまうのがスズキタゴサクという人間なのでしょう。
無責任なSNSの使い方
また、無責任なSNSの使い方についても言及されていました。
「あなたの『いいね』が爆弾を起動させる」(うろ覚え)みたいなやつ。
あれ、「そ、そんな……(震)」ってなりました。なぜなら、私自身、気軽にいいねを押しがちだから。私のいいねは基本的に、共感ではなく「読んだよ!」のつもりなんですよね。既読、みたいな。「さすがにこれはな……」というようなものには触れないようにしているので、タゴサクのあのいかにもやばそうな動画とかにはしないと思うけれど。
無責任ないいね。無責任な拡散。無責任なコメント。
そういうSNSの使い方に警鐘を鳴らしているのだとは思いましたが、だとしてもちょっと一瞬すぎたような気がしなくもない。意外とあっさりしていましたね。
もしくは、無責任なSNSの使い方により「やべっ!」と思うようなことがあったとしても、結局人はそう簡単に変われないということでもあるのかもしれない。
モヤモヤする理由
本作を観てモヤモヤする人がいるとしたら、たぶんそれは「なーんにもわっかんねー!」なお話だからだと思うんですよね(笑)。
スズキタゴサクの正体も謎なままですし。
広げた風呂敷がひとつも畳まれなかった感じ。
ただ、それこそがこの作品の良さでもあると思いました。妙にリアルだなって。現実はフィクションと異なり、スッキリ終わることばかりではない(フィクションでもモヤモヤエンド、バッドエンド、メリバエンドといろいろあるけれど)。
2時間半弱、ずっと「あなたはどう思いますか?」を問いかけられるような内容でした。だからこそ、自分の心の内と向き合わなくちゃいけなくて、余計モヤモヤするのかも。
命の価値
先述した「幼稚園児orホームレス」のくだりで、タゴサクが語った「命の価値」。
みんな口をそろえて人の命は平等だと言うけれど、冷静に考えてそんなわけはない。権力者と自分なら、迷わず前者を選ぶはずだと。
考えさせられますね。
タゴサクが言ったとおり、私も命の価値が平等だとは思えないから。でもそれって、基本的には社会にどれだけ貢献しているかみたいな話になってくると思う。幼稚園児orホームレスの件もそう。幼稚園児には未来があって、社会の一員になる日が来るわけだけれど、ホームレスは(語弊を恐れずに言えば)なんらかの理由により現在の社会システムから脱落してしまった人たちです。
じゃあ、ホームレスの人たちに価値がないのかと言うと、そんなことはないと思う(思いたい)。平等じゃない=価値がないではないから。
ただ、人の命は平等だなんて所詮建前で、そんなのみんなわかっているでしょ? というのがタゴサクの主張(たぶん)。ここに関しては「まあ、平等……ではないよな」と共感しつつ、映画やドラマでよくあるテーマですねとも思いました。
なので、失礼ながら「あの、タゴサクさん、あんたは今さらそんなことをおっしゃってるの?」ってなります。考えてみれば、タゴサクは純粋な人だったのかもしれない。
暴走しがちな警察官
あとは、そうですね。
警察官が気になる(笑)。
ルール及び指示に従わない警察官に、取調室で堂々と暴力を振るう警察官。タゴサクに暴行しようと取調室に乗り込んでくる警察官。タゴサクに取引を持ち掛けられ簡単に頷く警察官。
……無能か!? ってなります。
が。
頑張って解釈するとしたら、人間は結局自分の物差しでしか動けないものなのかもしれない。そういうのをあえて描いているというのはあるかもしれませんね。どんなに冷静を装おうとしても、人間は感情的な生き物で、自分の欲を優先することも多いよって。
この映画は基本的に、人間の業の深さみたいなものを徹底して描いていました。
映画「爆弾」が好きな人におすすめの作品
映画「爆弾」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ヒメアノ~ル(2015)
- 劇場版 緊急取調室 THE FINAL(2025)
- ラストマイル(2024)
- 見えない目撃者(2019)
映画「爆弾」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2026年05月11日)。レンタル(有料)作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD(PREMIUM) |
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まとめ:緊迫感のある会話劇
個人的に、ストーリーはあまりハマらずだったんですけれども、類家とスズキタゴサクによる会話劇は本当に最高でした。取調室に、まるでピンと糸を張ったような緊張感があって。
無責任なSNSの使い方や、命は平等なのか問題などといったメッセージ性はあったものの、ギュッと詰め込まれてしまったせいで霞んでしまった印象。ここら辺はもうちょっとじっくりやってほしかったかなと。
個人的には、等々力刑事にもっと活躍してほしかった。
Rotten Tomatoes
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IMDb
7.0/10
Filmarks
4.1/5.0

