
[リミット] (字幕版)
「[リミット]」の感想です。
ある男が棺の中に閉じ込められるスペイン発のシチュエーションスリラー。ライアン・レイノルズの一人芝居が格好良すぎました。
タイトルにある[ ]これ、この括弧、意味深すぎるけどいったいなんのために!? とずっと考えております。もしかして棺桶を表している?
本記事は2025年10月08日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
棺桶から助けを求めよ! シチュエーションすぎる(?)スリラー。
作品情報
あらすじ
妻をアメリカに残し、ひとりイラクでトラックの運転手をしていたポール・コンロイは、ある日何者かに襲われる。目を覚ますと棺桶の中に閉じ込められていたポールは、なんとかして救助を求めようとするのだが、取れる手段はあまりに少なく――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
ポール・コンロイ
(演:ライアン・レイノルズ)
単身、イラクで仕事をしていた男。仕事中に何者かに襲われ、気がつくと棺桶の中に閉じ込められていた。アメリカに残してきた妻がいる。
映画「[リミット]」の感想
映画「[リミット]」の感想です。原題は「Buried」。「埋められた」ということで、内容をそのまま表しているという感じですね。埋められた男、ポール・コンロイ。
ライアン・レイノルズの一人芝居
まずね、本作のメインはライアン・レイノルズの一人芝居ですよ!
映画「[リミット]」は1時間半ほどの作品となっているんですけれども、その間、ほぼほぼライアン・レイノルズしか映りません。映画「インサイド」(2023)のウィレム・デフォーの時同様に、一人芝居でも画が持つのって、それだけですごいですよねえって。
なんなら、「インサイド」の時よりもずっと一人芝居感が強かった。他者の存在が本当にないからかな。主人公のほかに出てくるとしたら、電話越しに映る同僚と電話越しの声ぐらいで。
なににしても、存在感がありましたね。全編英語だし、アメリカの作品なのかと思っていたら、スペイン産のシチュエーションスリラーでした。棺桶の中で、動けるスペースがこれってシチュエーション(スリラー)の中のシチュエーションじゃないです!?
動ける範囲としては、映画「ALONE アローン」(2016)と同等って感じ。緊張感としては「ALONE アローン」のほうが強かったかもしれないけど。
電話先でたらい回し
そして、観ている人すべてが思ったであろうこと。
電話相手、いくらなんでも無能すぎない!? って(笑)。
しかるべき場所に電話しているのに、相手は「ちょっとお電話代わりますね」「専門の人に」みたいなことを言って、この状況で主人公のポールはたらい回し状態に。だから緊急だっつってんの! というポールの苛立ちがひしひしと感じられるシーンでしたね。正論だし。
ただ、海外に長く住んでいた身としては、「ごめんなさい、緊急で……」としかるべき機関に電話しても、たらい回しに合うか、数十分は待たされるか(挙句「回線が込み合っています。あとでまたおかけ直しください」的なアナウンスと共に強制終了)というようなことは割とありがちなので、絶対にないと言い切れないのがなんとも。
まあ、緊急の内容は比べものになりませんけれど(笑)、でもなくはないかもなと思わせるような対応をされることもしばしばだったんですよね。「こういうやり取り、覚えがあるぞ……!」と、個人的にはかなりストレスフルな場面でした。
息苦しい閉塞感
あと、棺桶の中ですべてが完結するので、当然閉塞感がすさまじかった。閉所恐怖症気味(もしくは暗所恐怖症気味)の人はちょっとしんどいかもなあと。
MRI検査を受ける時もそうなんですが、あの、顔の前に壁? 蓋? がある感覚って「うっ」ってなりますよね。ソワソワしてしまうだけでブザーを鳴らすほどではないので、普通に検査は受けますが。
ここでもライアン・レイノルズの演技が生きていて、こちらまで息苦しくなるような空気感になっていました。
紙一重な退治法
っていうか、本来特にツッコむところではないと思うんですが、蛇の退治法、あれ怖すぎません?
ライターか何か(つまり火)で燃やすという物理的解決。いや、そりゃあ、あの時はそうするしかなかったんでしょうけど、一歩間違えれば自分ごと燃えていたところでしたよ。蛇がもし毒を持っていた場合、噛まれたら終わりというのもわからなくはないけれど、自分だったらもう少し躊躇してしまうだろうなと。
他に何かなかったんですかね。懐中電灯で殴り殺すとか。ペンで頭をぶっ刺すとか。一発で仕留められないと逆に襲い掛かってくるかもしれないから無理か。そこにあるものでとなるとやっぱり火を使うのがベストだったのかもしれないけど、ヒヤヒヤしましたね。
哀れな不倫(?)男
仕事中に襲われ、同僚たちを一気に失ったうえ、自分だけさらわれて人質になったポールはそれだけでだいぶ哀れなんですが、そのあとも最悪を更新し続ける不運な男でした。あまりに不運。で、可哀想。
勤めていた会社は、おおごとにしたくないという雰囲気でクビになるし、そのうえなんやかんやあって不倫したことにされるという。不倫は会社の規定に反する、みたいな理由で。会社の人相手に「彼女はただの同僚です!」なんて不倫男の常套句を言わなければいけなくなったポールよ。
しかも、話的にたぶんポールは無実。本当にただの同僚だったんでしょうね。妻のために稼がなきゃ! って危険を承知でイラクまで来て、人質に取られた挙句不倫をしたことにされたんだから、もうやりきれないと思う。
マーク・ホワイトは実在するのか
ちなみに、劇中に名前だけ登場したマーク・ホワイトなる人物。
個人的には、彼、実在しない人物なんじゃないかなと思っています。
その道(テロ対策?)のプロだという男が、ポールに信用してもらうために「こんな男も救出した」と自身の実績として挙げた名前。でも、あの時、ポールはペンで棺の蓋の部分に「マーク・ホワイト」とメモをしているんですよね。
実は、同様のことが他の被害者の時にも起きていたのではないか。
あの男は、救助実績など実はなくて、そのうえ、今まで対応した誰の名前も覚えていなかったんじゃないかとすら思います。それか、マーク・ホワイトは実在したが、他の被害者たちにも同じことを伝えていて、中にはポールのようにその名前をメモする人間がいたため、もはやどれがマーク・ホワイトの棺かわからなくなっていたか。
この辺、解釈は分かれそうです。
映画「[リミット]」が好きな人のおすすめの作品
映画「[リミット]」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ノーウェア:漂流(2023)
- 127時間(2010)
- DIVE/ダイブ 海底28メートルの絶望(2023)
映画「[リミット]」の配信サイト(サブスク)
※記事執筆時点での情報です(2025年10月08日)。レンタル作品等も含まれます。
Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:単調な印象
基本的には面白く観られました。
ただ、やっぱりシチュエーションがシチュエーションだからか、非常に展開が単調な感じになっていましたね。蛇や同僚のシーン以外はほぼほぼ盛り上がるところもなく。
とりあえず、稼ぐためとはいえ、危険性の高い場所に行っては駄目ということですね。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 87% Popcornmeter 65%
IMDb
7.0/10
Filmarks
3.1/5.0