
28日後…
「28日後…」の感想です。
映画「ザ・ビーチ」(1999)などで知られるダニー・ボイル監督の作品。また、映画「クワイエット・プレイス 破られた沈黙」(2020)や「オッペンハイマー」(2023)で知られるキリアン・マーフィが主演を務めています。
猛ダッシュ! なパワー系ゾンビ(厳密には感染者)がめっちゃ怖い。
でもそれ以上に、ヒューマンドラマ要素が面白くてたまりません。
本記事は2025年06月18日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
――戦え!
作品情報
タイトル | 28日後… |
原題 | 28 Days Later |
ジャンル | ホラー、スリラー、パニック、ヒューマン、ゾンビ |
監督 | ダニー・ボイル |
上映時間 | 114分 |
製作国 | イギリス |
製作年 | 2002年 |
公開年(英) | 2002年 |
レイティング | ― |
個人的評価 | ★★★★★ |
あらすじ
ある日、人気(ひとけ)のない病院で目を覚ましたジム。事故に遭い、昏睡状態に陥っていたらしい。誰もいない病院を出て街を彷徨い歩くが、人ひとり見当たらない。呆然としながら教会に入ると、そこでようやく神父と思しき人物に遭遇。しかし、様子がおかしい。襲いかかってきた神父からなんとか逃げ延びたジムは、マークとセリーナという男女に助けられる。そこでようやく何が起きたのかを聞かされるジムだったが――。
主な登場人物
(敬称略)
ジム
(演:キリアン・マーフィ)
メッセンジャーとして働いていた青年。事故に遭い、一時昏睡状態に陥っていた。目覚めたらそこは感染者だらけの世界になっていた。
セリーナ
(演:ナオミ・ハリス)
マークと共に、襲われていたジムを助ける。元は薬剤師。
マーク
(演:ノア・ハントリー)
セリーナと共に隠れていた男。家族と共に逃げようとしていたが、父親が感染したのをきっかけに家族全員を失った。
ハンナ
(演:ミーガン・バーンズ)
フランクの若い娘。父フランクと家に籠もっていたが、ラジオ放送を聞いてジム、セリーナと共に軍事基地を目指す。
フランク
(演:ブレンダン・グリーソン)
ハンナの父親。ラジオ放送に従い、ジム、セリーナ、ハンナと共に軍事基地を目指すことに。
ヘンリー・ウエスト
(演:クリストファー・エクルストン)
英国陸軍の少佐。ラジオ放送を流していた人物。
映画「28日後…」の感想
映画「28日後…」の感想です。ゾンビ映画と言うとで挙がるタイトルなので、作品情報の欄に「ゾンビ映画」と記載しましたが、厳密にはゾンビではないと思われます。
ダニー・ボイル×アレックス・ガーランド!
先述した通り、本作でメガホンを取ったのは映画「ザ・ビーチ」(1999)や「127時間」(2010)で知られるダニー・ボイル監督。そして、脚本を務めるのは、公開当初かなり話題になった映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(2024)の監督アレックス・ガーランドです。
もうね、これだけで面白いってわかるよねと。もちろん、どの監督にも言えることで、苦手な人というのもいるとは思うけど。
期待大だし、何度観てもやっぱり面白い。エンターテインメント性もあるし、なにより芸術点も高い。
冒頭、ジムが「Hello!」と叫びながら街を彷徨うシーンなんか、こう、殺伐とした雰囲気がすごい。終末の世界にやって来てしまったっていう。ジムはちょうど感染者が爆増している時に昏睡状態にあったわけだから、まさに目が覚めたら世界が終わっていたという感じだったでしょうね。
終盤の屋敷でのシーンは、どことなく「サスペリア」(1977)を彷彿とさせるような演出と色使いで、お洒落でした。
ゾンビではなく……
ちなみに、本作は厳密に言うとゾンビ映画ではない(と思っている)。
劇中で「ゾンビ」という言葉は確か使われていないし、あくまでも謎のウイルス(=レイジウイルス)に感染した感染者ということらしいですしね。なので、普通に餓死していく。生存者も、相手(感染者)が餓死して息絶えるまで生き延びられれば勝ちという感じ。まあ、それまで生き残れる人が少ないから大変なことになっているわけですが。
でも、ゾンビ映画と言えばで必ず上位に食い込んでくる作品ではあるので、細かいことは気にしないということで(笑)。
ダッシュするし即感染!
従来のゾンビって、のろのろ動くイメージが強かったと思うんですが(でも数の暴力には勝てない)。本作の感染者は猛ダッシュします。しかも、噛まれたり目などから感染者の体液が入ったりしたら、即感染。従来のゾンビのように「こいつはセーフか? アウトか?」みたいに考える必要もない。なぜなら、感染したらすぐにわかるから。
そういった意味では生きやすい世界(!?)なのかもしれない。
ところで、あの猛ダッシュ描写って、元の能力に依存するものなのでしょうかね。だとしたら、例えば自分が感染者になってしまったら、元々足が遅いので、なんの脅威にもならなそう(笑)。
ロードムービー要素も
あと、本作の特徴のひとつと言えば、ロードムービー要素が取り入れられているところですね。映画「ザ・デッド:インディア」(2013)とかもロードムービーなゾンビ映画でしたけど、あれよりは襲われたり逃げたりするシーンも多く、アクションシーンとのバランスが程良かったと思います。といっても「ゾンビ映画にそんなのはいらん!」という人にはウケないかもですが。
ジムたちがみんなで買い物をするところとか、レジをする人はもういないのに、るんるんしたフランクがカードを置いていくところとか、ジムが寝坊したのを「朝食食いっぱぐれたか?」みたいに冗談めかして言うところとか、ほっこりするシーンが挟まっていて、改めて「そうだよな、こんな世界だからってずっと嘆き、恐怖していなきゃいけないわけないよな」と気付かされます。過度な恐怖心があるからこその自己防衛反応ではあると思うけど、それがこの世界を生き抜く術な気もする。
覚悟を決めたジムの表情
そして、なんといっても主人公のジムを演じたキリアン・マーフィが良いんですよねえ! もう何? あれ。演技が素晴らしすぎる!
冒頭、目覚めた当初は人気(ひとけ)のない病院にぽつんとひとり。むくむくと沸き上がる不安を抑え込むように「Hello!」と叫び、やがて街中に繰り出すものの、そこもやはり同じ状況でまた「Hello!」。あの声がエコーする演出もたまらなく良かったんですが、その時のジムはどこか頼りなく、心細そうでもある。
そして、マークとセリーナに出会い、程なくしてセリーナの行動で「これはマジでヤバいやつやん」ってなるんですよね。よくあるパニックもののように、状況がわからないなりに「お前、なんでそんなこと!」と突っかかるのではなくて、ただただ絶句するあの感じに思わず溜め息がこぼれます。
初めて至近距離で感染者に襲われた時の「戦え!」という言葉にも痺れましたね。もう本当に関係ない話で恐縮なんですけど、ちょっと「進撃の巨人」を思い出してしまいました(笑)。こちらのほうが圧倒的に後に出た作品ですが。
で、途中では「待って! 置いて行かないで!」とセリーナにすがりついているのに(笑)、終盤あたりになるとキリッとした顔になっています。こう、覚悟を決めた顔になっている。多少の危険を冒してでも戦ってみせるという。
ヒューマンドラマとしてもしっかり成立していて、面白かったです。
映画「28日後…」が好きな人におすすめの作品
映画「28日後…」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- YUMMY ヤミー(2019)
- 新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)
- 新幹線 ファイナル・ステージ(2020)
- ソウル・ステーション パンデミック(2016)
まとめ:猛ダッシュ感染者は怖い!
猛ダッシュゾンビ(厳密には感染者)って本当に怖い。
なんていうか、こう。のろのろゾンビだと、たとえ体力がなかったり足が遅かったりしても、知恵があれば生き残れる可能性がわずかにでもありそうなところですが、猛ダッシュゾンビに見つかったらもう終わりって感じ。
子どもや女性など、弱い人間から淘汰されていく感じに薄ら寒さを覚えました。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 87% Popcornmeter 85%
IMDb
7.5/10
Filmarks
3.4/5.0