新感染半島 ファイナル・ステージ 4K ULTRA HD&Blu‐ray<2枚組>
映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」の続編にあたる作品です。
今回は、アクションとカーチェイスに全振りした内容となっています。ハリウッド映画顔負けのド派手な立ち回りが連続するので、前作とはまた違った意味でのハラハラドキドキ感があって◎。
本記事は2024年01月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | 新感染半島 ファイナル・ステージ |
原題 | 반도 |
ジャンル | スリラー、ホラー、パニック |
監督 | ヨン・サンホ |
上映時間 | 116分 |
製作国 | 韓国 |
製作年 | 2020年 |
レイティング | R15+ |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
あらすじ
謎のウイルスが韓国に蔓延してから4年。姉と甥、義兄と生き延びたジョンソクは、しかし亡命する船の中で義兄以外の家族を失ってしまった。失意の中、廃人のように亡命先の香港で暮らしていたジョンソクに、ある日、韓国に戻り、大金を積んで戻ってくるという仕事が舞い込む。韓国に潜入したジョンソク一行だったが、そうやすやすと成功するはずもなく……。
登場人物
(敬称略)
ジョンソク(演:カン・ドンウォン)
元軍人の男性。4年前、韓国から逃げる際の船の中で、姉と甥を失った。その後、香港へと亡命。廃人のように暮らしていた。
ミンジョン(演:イ・ジョンヒョン)
姉妹の母親。4年前、ジョンソクが家族と共に韓国を脱出する際、一度会っている。
チョルミン(演:キム・ドユン)
ジョンソクの義兄。船の中にゾンビが出現した際には妻と息子を守ろうとしたが、軍人の義弟に止められたことで、結果的に見捨てる形になってしまった。
ジュニ(演:イ・レ)
圧倒的ドライブテクを持つ少女。ジョンソクがピンチに陥った際、助けに現れた。
ユジン(演:イ・イェオン)
ジュニの妹。姉と共に行動し、ラジコンカーを操縦しながらゾンビを引き付ける。
ファン軍曹(演:キム・ミンジェ)
民兵集団631部隊の軍人。人を集め、ゾンビから逃げさせるゲームを行っている狂った集団の一員。
ソ大尉(演:ク・ギョファン)
ファンたちの上司。臆病だが腹に一物抱えるタイプで、基本的には自分第一主義。
映画「新感染半島 ファイナル・ステージ」の感想
映画「新感染半島 ファイナル・ステージ」の感想です。前作に引き続き、ゾンビから逃げるアクションスリラー。舞台は韓国のままです。
うっとりするようなド派手なカーチェイス
前作もなかなかのアクションでしたが、今回はカーチェイスメインになっています。
その分、前作のような、ある意味泥臭い逃亡劇が中心になったストーリーを期待していると、肩透かしを食ったような気分になると思います。「思っていたのとは違った」みたいな。
ただ、前作に比べるとアクションは割増で、カーチェイスはド派手になっています。
姉妹のドライブテクがすごい。
姉のジュニだけでなく、妹のユジンも最高です。ゾンビが蔓延している世界で育ってきただけあって、多少のことにはビビらない最強姉妹でした。
派手なラジコンカーもイカしていました。
前作のにおわせも◎
前作で、主人公たち含む面々は「釜山は安全だ」という情報をもとに釜山に向かっていましたね。ところが、今作ではなんと「『釜山が安全』はデマで、実は1日で壊滅していた」という話が出てきます。
この作品は単体で観ても楽しめますが、前作を観たことがある人は「釜山壊滅」の情報に「ええ!?」と思ったことでしょう。そういった意味では、前作を観たことがある人のほうが、いろんな意味で楽しめると思います。
ただ、個人的には、前作で生き残った人たちはしっかりどこかに亡命できていると信じています。
あの時点ではすでに、あれが暴徒化した人間の仕業ではなくゾンビ(らしき謎の存在)だとわかっていたわけですし、釜山に辿り着いた際にもすでにそれ用に厳重体制が敷かれていたみたいですしね。残された一般市民がどこかに逃げるだけの隙はあったと……信じたい。
勧善懲悪でスッキリした終わり方
前作同様、ストーリーそのものは勧善懲悪(ただし、善人が全員助かるというわけではない)なので、悪人ざまあなエンドでスッキリしています。
モヤモヤが一切残らない終わり方で素晴らしい。
まあ、ゾンビものの場合、だいたいの悪人は「(さっさと逃げようとして)ひとりで行動する」「(主人公たちを出し抜こうとして)派手な言動をする」みたいな、絶対やっちゃアカンやろなことをしでかすので、当然と言えば当然の帰結ですね。
ゾンビ世界ならではの悲愴さは冒頭がピーク
ゾンビが蔓延る、というか蔓延り始めた世界ならではの暗澹とした雰囲気ってありますよね。
映画の中だと必ず全員が生き残れるというわけでもないので、悲愴さがより一層増します。でも、基本的に、この作品にそういった類の悲愴さはほとんどありません。
なぜなら、みんな強いから。
もう一度言います。
みんな、強いから(ただし義兄除く)。
そのため、ゾンビ映画ならではのあの悲愴さは、冒頭で姉と甥を見捨てなければならなくなったシーンがピークと言えるでしょう。たぶん、前作の「新感染 ファイナル・エクスプレス」が好きだった人が求めているのは、ああいう世界観だったはず……。
あそこで「あっ、始まった始まった!」とワクワクするのに、いざ蓋を開けてみれば、中身はほとんどカーチェイスという。
私は好きでしたが、きっと好みに分かれるところだと思います。
時間判定が甘い世界観
前作がそうだったように、今作でのゾンビもダッシュするパワー系なんですけれども、これがまためちゃくちゃ速いんですよね(私ならすぐに追いつかれる)。
にもかかわらず、結構時間判定が甘い。
ゾンビに囲まれていていたりもう少しで追い付かれてしまうというような状況なのに、(本人たちはそのつもりはないのだろうが)のんびり会話をするわ、怪我をしていてもなんだかんだ逃げ切れちゃうわ……。
「どう考えても、今のアウトだよな?」というシーンがそこそこありました。
こうした危機的状況を「え、もう絶対駄目じゃん!」「今度こそ駄目だ!」「ああ! 死んだ!」と思いながら観ることになるので、それなりに(悪い意味で)ストレスが溜まります。
その割に、退場するときはサクッと退場。
素晴らしいカメラワーク
今作のカメラワークもやっぱり良かったですね。
今回はカーチェイスやアクションがメインになっていることもあり、その良さがさらに際立っていました。
湧いたゾンビが大量であればあるほど、上からそれを表現したときの迫力がすごいなと。人間が追い詰められているときの絶望感がよく伝わります。
特に四方八方からゾンビが迫っているのがわかると、もう逃げ場なんてどこにもないような気になりますもんね。
人が変わるには十分すぎるほどの年月
主人公であるジョンソクには、韓国を脱出する際、「一緒に(車で)連れて行ってくれ!」と引き留めてきた家族を見捨てたという過去があります。
その家族が、ミンジョン一家。
ミンジョンたちは結局亡命することができず、韓国に残り、戦う(身をひそめる)しかなくなったわけですが。
4年前のあのときは大人しい女性という雰囲気だったミンジョンが、銃を手に取りゾンビたちと対等に戦うまでになったのだから、相当過酷な日々を送ってきたんでしょう。
4年という月日の長さを思わせます。
失意の中、廃人のように生きていたジョンソクにとっては瞬きするほどの短い年月で、自ら戦わなくてはいけなかったミンジョンたちにとっては、終わりのない長い歳月だったのではないだろうかと想像できます。
娘たちはちょっと狂って見えるぐらい、元気いっぱいに育っていましたね。
子どもにとっては、家族がいる場所が「ホーム」ということなんでしょう。
映画「新感染半島 ファイナル・ステージ」が好きな人におすすめの作品
映画「新感染半島 ファイナル・ステージ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ソウル・ステーション パンデミック(2016)
- 感染家族(2018)
- ただ悪より救いたまえ(2019)
- FLU 運命の36時間(2013)
まとめ:バチバチのカーチェイス
前作のような雰囲気を期待していると、ややがっかりしてしまうかもしれない内容ではありますが、バチバチのカーチェイスとアクションが魅力的なストーリーに仕上がっていました。
主人公が元軍人という設定も活きていた。
主人公がゾンビが蔓延る世界に飛び込んでいく形になるので、キャラクターのほとんどが(精神的、あるいは肉体的に)強いのがサッパリしていてとても良かったです。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 55% AUDIENCE SCORE 76%
IMDb
5.5/10