
アイランド・ゼロ(字幕版)
もったいない。
非常にもったいない!
設定が割と良かっただけに、ギリギリ歯ぎしりしながら観てしまいました。いろんなところで、もうちょっと丁寧に描写してほしいなと思える部分があった。
本記事は2025年04月09日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
SFスリラーなのに、別方面でモヤモヤ。
作品情報
タイトル | アイランド・ゼロ |
原題 | Island Zero |
ジャンル | ホラー、スリラー、SF |
監督 | ジョシュ・ジェリッツェン |
上映時間 | 99分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2018年 |
公開年(米) | 2018年 |
レイティング | ― |
個人的評価 | ★☆☆☆☆ |
あらすじ
アメリカ・メイン州にある孤島。そこは漁村だったが、突然魚が捕れなくなったため、海洋生物学者のサムが調査に乗り出した。サムの内縁の妻であるルーシーは、孤島での生活に馴染めず、仕事のため本土に帰ることにするが、孤島と本土をつなぐフェリーが現れることはなく――。
主な登場人物
(敬称略)
サム – Sam(演:アダム・ウェイド・マクラフリン)
海洋生物学者。かつての妻は海で行方不明になっている。現在は内縁の妻がいる。
ルーシー – Lucy(演:テリー・リーヴス)
サムの内縁の妻。孤島での生活に馴染めず、仕事を得るために本土に戻ることを決意。
エリー – Ellie(演:エレーヌ・ランドリー)
サムと前妻の子ども。
映画「アイランド・ゼロ」の感想
映画「アイランド・ゼロ」の感想です。いかにも予算が少なかったのだろうと思わせる、工夫ありきの作品でした。設定は割と好き。
見えないクリーチャー
個人的に、もっとも物足りないと感じたのは、この物語のキモとなるクリーチャーの存在。このクリーチャー、人には視認できないという設定でした。いかんせんザ・B級映画という感じなので、このあたりもお金がなかったんだろうなあと思わせる部分。
これがまたB級映画のよさといえばそうなんですが、こういうパニックものって、強すぎるクリーチャーとどう対峙するかで決まると思うんですよね。なので、見えないということにするなら、相当うまく扱わないと難しい。登場人物たちに見えていないということは、我々にも見えていないわけですから。
結果、私には物足りないと思えてしまった。
個人的には、もうちょっと派手に暴れてほしかったなあと。あんなに数がいたのなら、数で勝負してもよかったかもしれない。
掘り下げてほしかった前妻の件
あとは、サムの前妻の件も物足りなかった。
サムには前妻がいて、その前妻が海の調査中に行方不明になったという設定だったのに、この前妻の件がまったくストーリーに活かされていないのが気になったところでした。サムもこの前妻のことがあるから、今の自分の研究を「もう引き返せない」と言っているほどだったのに、サムは今まで何をしていたのかと。
まあ、現実には過去や自分の仕事が実生活に活かせないなんていうことは間々あることなので、珍しいことでもないのでしょうが、映画として観るとどうなのかしらと思ってしまいます。
後妻が可哀想すぎて……
本作は、クリーチャーとの戦い(いわゆるモンスターパニックもの)であるのに、個人的に一番モヤッとしたのはサムの後妻(たぶん内縁の妻)に対する扱いでした。これが本当に酷かった。というか「なんで妻として迎え入れたん?」と思えるレベル。
前妻のことを忘れられないのは仕方がない。行方不明という扱いで、あの状況ではおそらく遺体も戻ってきていないのだろうから、過去にとらわれ続けているのも仕方がないと思える。前妻との間には娘もいるし。
ただ、「前妻、前妻」しすぎていて、あまりに後妻の彼女が憐れというか。馴染めないなら馴染めないなりに、本土から離れた孤島で2年間も頑張っていたらしいのに、「馴染めないなら、悲しいけど仕方ないな」(セリフにはなかったけど)みたいな態度。そればかりか「別れる」と言われたわけでもないのに「島を出るということは、別れることと同じだろう」みたいなことも言っていた。そのうえ「彼女は(研究者気質だった)前妻とは違うから」とも。
はあん?
いや、本当に「はあん?」ですよ。
後妻のルーシーは、島民の誰かに「(前妻に)勝つ必要はあるの?」と聞かれていたけど、「勝たなきゃ」と思わせているのはほかでもない夫自身でしょうと思ってしまいます。そうでなければ、自分に居場所はないと思わせてしまっても仕方のない態度だった。現に、そう思っていたからこそ「島を出る」と決意したのでしょうし、エリーのことを「私の娘ではない」とまで言わせてしまったのには、そのこともあったのだろうと感じました。
無駄なキャラが多い
あとは、登場人物が多すぎるというわけではないのに、いまいち名前が覚えきれませんでした。たぶん、あまりキャラが立っていなかったからかな。一回なんて、「誰々がやられたぞ!」という話だったから「ああ、あの人ね」と頷いていたら、次のシーンには『あの人』だと思っていた人が出てきて「あれ、違う人だったっぽい!?」ということもありました。
おそらくクリーチャーにやられるために出したキャラということなんでしょうが、もう少し個性を持たせてほしかったなあというのが正直な感想です。そのほうが感情移入もしやすいから、いざやられたときにもっと感情が動くでしょうし。
設定は◎!
と、少し物足りなかった点をいろいろと述べましたが、設定自体は割と面白かったように感じています。
クリーチャーが見えないというのも新しい。
でも、新しいというのはやっぱり、扱いが難しいということでもあると思うんですよね。そのあたり、素人目に見て本作はあまりうまくいかなかったようですが、もっと予算があれば、なんやかんやもう少しうまく作れるんじゃないかなという気がします。
まあ、その『今までにない』を実験的に試せるのも、B級映画ならではというところはある。
映画「アイランド・ゼロ」が好きな人におすすめの作品
映画「アイランド・ゼロ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
まとめ:設定をうまく活かせば
個人的には「物足りない」と感じた本作ですが、クリーチャーが見えないという設定を最大限活かせれば、もう少し面白いストーリーに仕上がったんじゃないかなと思える映画でした。
外の世界と断絶されてしまったということは、シチュエーションスリラーとしても成り立ったでしょうし。
少しばかり「惜しい!」という部分が多かったかな。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 60% Popcornmeter 32%
IMDb
4.7/10