
メリーおばさんのひつじ
映画「プー あくまのくまさん」(2023)と「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」(2023)で監督を務めたリース・フレイク=ウォーターフィールドや、前者(シリーズ一作目)では製作に携わり、後者(二作目)では製作及び出演を果たしたスコット・ジェフリー(あくまのくまさんシリーズでは『スコット・チェンバース』)が、本作の製作陣に名を連ねています。
超B級ホラーという感じだったけれど、正直、若干物足りなく感じたかなあという印象でした。
本記事は2025年04月04日に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
毒親が化け物を生み出すのだ!
作品情報
タイトル | メリーおばさんのひつじ |
原題 | Mary Had a Little Lamb |
ジャンル | ホラー |
監督 | ジェイソン・アーバー |
上映時間 | 80分 |
製作国 | イギリス |
製作年 | 2023年 |
公開年(英) | ― |
レイティング | PG12 |
個人的評価 | ★★☆☆☆ |
あらすじ
未解決事件や超常現象などを扱うラジオ番組「カルラの迷宮事件簿」は、放送開始当初の勢いを失い、ネタ切れにより聴取率が下がり続けていた。パーソナリティーのカルラは、プロデューサーに「このままでは続けられない」と言われ、焦りの中、リスナーたちを惹きつける新たなネタを探しに行こうと決意する。そこで、ワープウッズの森で行方不明者が続出しているという情報を頼りに、仲間たちと現場を訪れるのだが――。
主な登場人物
(敬称略)
カルラ – Carla(演:メイ・ケリー)
「カルラの迷宮事件簿」という冠番組を持っているラジオパーソナリティー。番組打ち切りのピンチに、藁にも縋る思いで「ワープウッズの森」の情報に飛びつく。
メリー – Mary(演:クリスティン・アン・ニーラン)
「ワープウッズの森」で息子と共に暮らす女性。
映画「メリーおばさんのひつじ」の感想
映画「メリーおばさんのひつじ」の感想です。良い悪いは置いておいて、タイトルそのまんまの内容でした。……良い悪いは置いておいて(二度目)。
冒頭から大暴走
いやあ、冒頭から大暴走していましたね。
びっくりしちゃった。
というか、冒頭が面白そうだっただけに、ここで期待値がグンと上がってしまった感じ。なんていうか「配給会社があのアルバトロスですしね! ハハッ!」とそれなりの覚悟(失礼)で観ようとしていたのに、冒頭が面白かったせいで「あのアルバトロスなのに……普通に面白い……だと……?」と期待させてからの、「ああ、やっぱりアルバトロスか……(失礼)」みたいな。
ちなみに、(配給会社)アルバトロスでも面白い作品はたくさんあるので、あしからず。
「プー あくまのくまさん」シリーズ(2023)とか「キラー・ナマケモノ」(2023)とか、めっちゃ好きです。「キラー・ナマケモノ」のアルファ(ナマケモノ)はすごく愛らしくて、何度でも観たくなります。
本作に関しては、冒頭が一番の盛り上がりどころだったかもしれない。
警察は無能か?
でもって、まず、この世界の警察はたぶん無能。
というのも、ワープウッズの森で行方不明者が続出していて、かなり大がかりな捜査を行ったらしいのに、こんなにも怪しいメリーに辿り着けていないから。
まあ、この手の話に警察の優秀さを求めたら駄目なのでしょうけれど……(警察が優秀だと、そもそも一般人を巻き込む事件など起きないでしょうしね)。
どうせなら、なにかしらの力が働いていて、カルラたちにしか家の存在がわからないようになっていたみたいなふうにぶっ飛んだ設定にしてくれていたほうが、まだ納得できたかもしれない。
様子のおかしいメリー(リアル)
ただ、メリーの様子のおかしさは、結構リアルで良かったなと思いました。
出会って間もない相手に依存してしまうタイプの人。相手は、出会ったばかりだから当たり障りのない返事をしたり、適当な相槌を打ったりしているだけなんだけど、それを「この人は私を受け入れてくれているんだわ!」と思い込み、依存する。
いるよねえって。
で、ここで怖いのが、少しでもこの人の理想とは違った言動を取ると「裏切り者め!」となるところなんですよね。
一歩間違えれば敵に回る。メリーにもそんな危うさがあって、その恐ろしさがよかったです。
唐突なメッセージ
また、本作には妙なメッセージ性があって、なんというか、この手の内容にはちょっぴり余計だったかなという感じがしました。
確かに考えさせられると言えば考えさせられるようなことだったんですけれども。
近年、よく耳にするようになった毒親という言葉。親側にも理由があり、だからといって子どもに何をしていいわけではないけれど、毒親が子に悪い影響を与えるのだと。子を壊すのは毒親の言動だと。
本作では、ちょいちょい「障がい者」という言葉が出てくるので、メリーおばさんの子どもを「障がい者」になぞらえているのかもしれませんね。そのうえで、毒親という存在がどのような悪影響を及ぼすのかと。
言いたいことはわかるんだけど、やっぱりこのタイプの物語には必要ない話だったかも。
あくまのくまさんのような大男
あと、「プー あくまのくまさん」(一作目)と同じように、メリーの子どもが完全にただの大男だった。いや、まあ、実際に大男で間違いないんだろうけど。
あの大男に猛ダッシュで追いかけられたら、めちゃくちゃ怖いよなって。
「プー あくまのくまさん」の大男感もよかったし、このあたりのシーンも個人的には好きでした。
メリーさんのひつじである必要性
ザ・B級映画という感じで、私は割と好きなタイプの映画だったんですが、正直、元ネタが「メリーさんのひつじ」である必要性はあまりないように感じました。
静かなところで流すと、なんとなく意味ありげに、なんとなく怖く感じるぐらいの効果しかなかったような。「このあと何が起こるんだろう?」とドキドキはするけれど、それ以上でもそれ以下でもなく、そのあとに期待していたようなとんでもないことが起こるわけでもない。
この元ネタが駄目だというのではなくて、ふと思い出したようにこの曲を使ったりするから、どこか物足りなく感じるのかも。
個人的には、もう少し使うタイミングを増やしたほうが効果的だったかななんて思っています。
映画「メリーおばさんのひつじ」が好きな人におすすめの作品
映画「メリーおばさんのひつじ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ジーパーズ・クリーパーズ(2001)
- ザ・ハント(2020)
- パニック・マーケット(2012)
- ハロウィン・キラー!(2023)
まとめ:雰囲気で楽しむ映画
スラッシャー映画というにはグロいシーンが少なく、ホラーというにはちょっと物足りなさがある作品でしたが、おどろおどろしい雰囲気はなかなかのものでした。
ホラーっぽい雰囲気をポップコーン片手に楽しむタイプの映画かなと思います。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 17% AUDIENCE SCORE 31%
IMDb
3.4/10