黒いチューリップ (字幕版)
追悼アラン・ドロンということで、選んでみた作品。
他にも「アラン・ドロンのゾロ」(1974)や「サムライ」(1967)などの有名作に出演しているアラン・ドロンですが、いやほんと、美男子すぎる……。
もうそれだけで大満足の作品でした。
本記事は2024年08月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
MVPはヴォルテール(馬)☆
作品情報
タイトル | 黒いチューリップ |
原題 | La Tulipe Noire |
原作 | 黒いチューリップ/アレクサンドル・デュマ著 |
ジャンル | アクション |
監督 | クリスチャン=ジャック |
上映時間 | 115分 |
製作国 | フランス、イタリア、スペイン |
製作年 | 1963年 |
レイティング | 不明 |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
――市民と貴族。フランス革命直前の、不穏な空気漂うフランスにて。ギヨーム・サン・ド・プルー伯爵は、貴族であるにもかかわらず、義賊「黒いチューリップ」として貴族の馬車を襲い、金品を強奪していた。そんなある日、宿敵とも言える憲兵隊長ラ・ムーシュ男爵の手により、頬に傷を付けられてしまう。そこで、ギヨームは双子の弟ジュリアンを呼び出し、自らの身代わりとして侯爵邸へ行ってもらうことにするのだった。
登場人物
(敬称略)
ギヨーム・サン・ド・プルー(演:アラン・ドロン)
伯爵。義賊「黒いチューリップ」として活動している。宿敵である憲兵隊長に傷を付けられたことで、自らと瓜二つの双子の弟ジュリアンを身代わりに立てることを思いつく。侯爵夫人の愛人。
ジュリアン(演:アラン・ドロン)
ギヨームの双子の弟。野性的な兄とは異なり、やや内向的な性格をしている。
カロリーヌ(演:ヴィルナ・リージ)
愛称は「カロ」。活発な女性で、馬を駆るし、剣も持つ。結婚式当日に、負傷したジュリアンと出会い恋に落ちる。
ラ・ムーシュ(演:アドルフォ・マルシラック)
男爵で、憲兵隊長。「黒いチューリップ」の宿敵。
ヴィゴーニュ侯爵夫人(演:ドーン・アダムス)
奔放な女性で、夫以外の男性をも魅了する。ギヨームの「お気に入り」。
グラジアック殿下(演:ロベール・マニュエル)
革命を鎮圧するため、連隊を率いてやってきた。
映画「黒いチューリップ」の感想
映画「黒いチューリップ」の感想です。もうね、最初から最後までアラン・ドロンのための作品といっても過言ではないような内容! ……好き(はーと)。
黒マスクを貫通する神々しい美しさ
本作を語るうえで欠かせないこと――。
それは、
アラン・ドロンの神がかった美しさ!
昔から「美しい人だなあ」とは思っていたものの、改めて見てみるとやっぱり息を呑むほど美しい。
顔のつくりが整った俳優さんを見て「素敵な人だな」「格好良い(美しい)な」と感じることは多々あると思うんですけれども、久々に「芸術的な美しさ」というものを目の当たりにしましたね。神様に、寸分違わず作られたという感じ(超絶褒め言葉です)で、見蕩れてしまうような。
怪傑ゾロ(のちにアラン・ドロン自身が『アラン・ドロンのゾロ』で演じてもいますが)を思わせるような黒いマスク――を貫通してくる美しさ!
顔の上半分を覆い隠したような状態でも、とにかく美男子だということはわかる。
侯爵夫人がそばに置きたがるのもうなずけます(うなずきすぎて首がもげそう)。
アラン・ドロンの一人二役
そして、本作でアラン・ドロンは、なんと一人二役を演じています。
双子の兄と弟。ギヨーム・サン・ド・プルー伯爵(兄)と、ジュリアン(弟)。野心はないものの、野性的でイケイケGOGO(愛人でもなんでもござれ!)の兄と、そんな兄に憧れるちょっと大人しめの弟。
性格からして違うこの二人を、アラン・ドロンが見事に演じ分けています。
いや、もうね、すごかった。
何がすごいって、演じているのは同じ人なのに、この二人はしっかりまったくの別人に見えたこと。ギヨームは憲兵隊長(ラ・ムーシュ男爵)に付けられた頬の傷があるので、そういった意味で見分けるのは簡単なんですが、そういうことじゃなく、なんだかもう顔立ちからして違うんですよね。
兄のほうがキリッとしていて、弟のほうはどこか柔和な雰囲気を醸し出している。
本作は、アラン・ドロンがキラキラしすぎているために、アラン・ドロンのために作られた映画! という感じがするんですが、やっぱりすごい役者さんなんだなあと、改めて。
推していきたいヴォルテール(MVP)!
先述した通り、アラン・ドロンの神がかった美しさが一番の見どころとして。
個人的に、MVPはヴォルテールにあげたい。
馬です。
ギヨームの愛馬。
貴婦人をたぶらかしたり、侯爵夫人の愛人に収まったりする奔放な性格のギヨームだけど、女好きかと言われると、それとも少し違うような気がする。
ジュリアンに「愛人を人に譲るのが紳士だ」みたいなことを言うくせに、ヴォルテール(馬)に触れようとしたジュリアンに「触るな」と言い、そのあとイチャイチャ(キス)しているし。
個人的な見解としては、ギヨームはもらったものを返す人間というような感じなのかなと。
長年の相棒ヴォルテールからは、純粋な忠誠心をもらっているので、それに見合うだけの愛情を。自己中心的な(ある意味貴族的な)侯爵夫人には夫がいて、ギヨームのことをアクセサリーや玩具のように考えているから、ギヨーム自身も彼女のことを「お気に入り」程度の扱いに。
ギヨームは、なんだか相手にしている本人の鏡っぽいところがあるなと思って観ていました。
なので、ギヨームにとっての一番はヴォルテールだし、私としても推していきたいキャラでした。
モヤモヤが残る&意外な展開
本記事では、重大なネタバレは控えたいので、詳細なことは書きませんが。
終盤あたりの展開にモヤモヤを感じる人は多いかもしれませんね。
かく言う私もそのひとり。まさかの展開に「うっそー!?!?」と呆然としました。
でも、よくよく考えてみると、活劇としては「うっそー!?!?」なんですけれども、リアルといえばリアルなのかもしれません。誰にとっても都合の良い展開なんてないよね、と。
アクションシーンも◎
また、冒険活劇として、アクションシーンもなかなかのものでした。
古くさい(褒め言葉)のもまた良い。
「やあやあ、我こそは!」みたいな(いや、さすがにこれはないか)、なんていうか、わざわざ高いところに駆け上って、あるいは飛び乗ってから「やあ!」と敵に向かってジャンプをかます感じ。
この、いかにも昔の活劇っぽいアクションが癖になります。
あとは、カロリーヌが敵を倒し、低めの崖のようなところから馬の背中に飛び降りて、そのまま馬を駆って颯爽と去って行く場面とかも、めちゃくちゃ格好良かった。
カロリーヌにも惚れちゃうね。
美しいアクションシーンの数々でした。
映画「黒いチューリップ」が好きな人におすすめの作品
映画「黒いチューリップ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- アメリ(2001)
- 最強のふたり(2011)
- ライフ・イズ・ビューティフル(1997)
- ジョジョ・ラビット(2019)
まとめ:王道だけど王道じゃない活劇
一見、王道な活劇かのように見える本作ですが、中盤から終盤にかけて(特にクライマックス前後)は意外な展開を迎えます。
まあ、その辺は好き嫌いがあるとしても、とにかくアラン・ドロンが美男子すぎる。まさに「目の保養!」って感じで、観ているだけで幸せな気持ちになれちゃいます。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER ―% AUDIENCE SCORE 60%
IMDb
6.6/10