
28年後…
「28年後…」の感想です。
映画「28日後…」(2002)、そして「28週後…」(2007)に続くシリーズ3作目。
「28日後…」のダニー・ボイル(監督)とアレックス・ガーランド(脚本)が再びタッグを組んでいます。展開や描写がまさにっていう感じで大興奮でした。
本記事は2025年12月28日に執筆したものです。すべての情報は執筆時点のものですので、最新の情報はご自身で直接ご確認ください。
ワンフレーズ紹介
一縷の望みをかけて母を連れ出す息子スパイクが出会ったある人物とは――。
作品情報
| タイトル | 28年後… |
| 原題 | 28 Years Later |
| ジャンル | ホラー、スリラー、ヒューマン、アクション、SF、パニック、ゾンビ |
| 監督 | ダニー・ボイル |
| 上映時間 | 115分 |
| 製作国 | アメリカ、イギリス |
| 製作年 | 2025年 |
| 公開年(米) | 2025年 |
| レイティング | R15+ |
| 個人的評価 | ★★★★★ |
あらすじ
舞台はパンデミック発生から28年後の世界。感染から生き延びた人間たちは、本土を離れ、ある孤島で助け合いながら生活を送っていた。病気に苦しむ母アイラと過保護な父ジェイミーに育てられた12歳のスパイクは、外の世界を知らない。そんなある日、とある任務のために本土に行くことになったスパイク。初めて出る外の世界は危険に満ちていた。なんとか島に戻ることができたスパイクだが、あることをきっかけに、母と共に再び外の世界に飛び出すこととなる――。
主な登場人物
(以下、敬称略)
スパイク
(演:アルフィー・ウィリアムズ)
アイラとジェイミーの息子で、12歳。父が不倫をしている場面を目撃し、病気の母を医師に見せるため、母を連れ外の世界に飛び出す。
アイラ
(演:ジョディ・カマー)
ジェイミーの妻で、スパイクの母親。病気のため伏せりがち。
ジェイミー
(演:アーロン・テイラー=ジョンソン)
アイラの夫で、スパイクの父親。伏せりがちの妻を支えているが、実は不倫中。
ケルソン博士
(演:レイフ・ファインズ)
医師。母を治療するために訪れたスパイクと出会う。
映画「28年後…」の感想
映画「28年後…」の感想です。「28週後…」より「28日後…」が好きだった私としては、とても好みの雰囲気でした。
ダニー・ボイル×アレックス・ガーランド
本作で監督、脚本をそれぞれ務めるのは、ダニー・ボイルとアレックス・ガーランド。
「28日後…」(2002)のタッグ再びですね! 素晴らしい。最高です。ちなみに、アレックス・ガーランドは「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(2024)や「MEN 同じ顔の男たち」(2022)を手掛けたことでも知られています。
個人的には「28週後…」(2007)より「28日後…」のほうが好みで、本作の雰囲気もどちらかと言えば「28日後…」に近かったので、まさしくダニー・ボイル×アレックス・ガーランドだ! となりました。
最初は微妙?と思ったけど
と言いましても、正直、最初は「あれ、ちょっと微妙かも?」なんて思ったりもして。
まあ、これは完全に個人的な好みなんですけど、私、不倫ものってちょっと苦手なんですよね。理由があるなし関係なく、たとえそれが必要な描写であっても若干「うっ……」ってなってしまう。それで「観るのやめよう」とはさすがになりませんが。
で、劇中に登場するスパイクの父ジェイミーも不貞を働いている。
しかも、妻が病気で伏せりがちな時にですよ。もうね、とんでもない最低野郎。そのことを息子に指摘されて逆ギレまでしていて、最低すぎる父親です。
なので、このあたりは「あー、ちょっと微妙かもなあ」と思ったところだったんですが、スパイクが母を連れ出し、本土に渡ってからはダニー・ボイルとアレックス・ガーランドの本領発揮! っていう感じでしたね。これこれ! こういうのが見たかったの! って。
不倫した理由はともかく、ジェイミーの息子に対する愛情は本物だったということで。せいぜい自分を責めまくるがいい。不倫の目撃をきっかけに、息子は家を飛び出して行ってしまったわけですからね。
ニュータイプの感染者も登場
ちなみに、本作の興味深い点としては、ニュータイプの感染者が登場したこと。
例えば「スローロー」とかですね。
スローローは、スパイクがジェイミーと共に本土を訪れた際に初めて見た感染者でした。でっぷりした体型で地面に這いつくばり、ミミズをモグモグしていた。群れで行動するので、一体いたら、その付近に二、三体はいるらしい。
あとは、「28日後…」の時からいた「俊足」だとか、知性のある「アルファ」だとか。他の生き物同様、感染者も進化する。ただ、生き物が進化する速度を考えると、28年でこれは結構速いほうだと思う。
アポカリプスな世界観
また、本作のアポカリプスな世界観はとにかく美しい。
一般的に、アポカリプスな世界観と言えば、大地は枯れ果て、空もどんより、みたいなイメージだと思うんですが。本作においては、木々が生い茂り、自然は美しいものとして描かれている。
黄色い花畑から痩せ細った感染者がひょっこりするシーンでは、怖いという感情より美しいという感想が先に来るほどでした。「ゾンビ(本作の感染者は厳密にはゾンビではないけど)の世界で景色が綺麗ってあるんだ!?」と、これだけでダニー・ボイル監督のすごさがうかがえます。
なんだか、人間は特別なんかじゃないと感じさせてくれるような。
これまでに地球上に登場した生物の99%以上は、すでに絶滅している。たえず変化する環境に適応しようと新しい種が進化してくる一方で、古い種は消えてゆく。
こうあるように、地球上ではいろんな生物が時に進化し、時に絶滅している。そして、時に新たな命が生まれることもある。人間は「支配者側」だと思いがちだけれど、地球にとってみれば、他の生き物となんら変わりないのだろうなと思います。
本作のアポカリプスな世界観では、たとえ人間がいなくなろうとも続いていく世界みたいなものを意識させられました。美しかった。
生と死
それから、本作では生と死についても描かれていました。
死に向かう母アイラと、生を感じさせてくれる存在も登場し。アポカリプスな世界だと、人間も割と残酷な死に方をしたりしますが、本作では「死は悪いことじゃない」「死は怖いことでもない」というふうな演出がされていたような気がします。
だからといって死自体を過剰に美しく演出するのでもなく、命あるものいつか死が訪れる、と人の営みの中にあるものとして描かれていました。
スパイクがこれを静かに受け止めている感じがとても良いんですよね、また。12歳の少年にはわからないだろう、じゃなくて、悲しみにそっと寄り添おうとするケルソン先生も良かった。
ちなみに、このケルソン先生は「教皇選挙」(2024)で主演を務めたレイフ・ファインズが演じていました。
存在感がすごいケルソン医師
で、このケルソン医師の存在感がまたたまらないんですよ。
ケルソン医師は、孤島ではなく、感染者であふれかえる本土で暮らしている人物。襲われないようにと体中にヨードを塗りたくっていて、狂気の人だ! と思いきや、亡くなった人たちを火葬するという優しい一面を持ち合わせている……と思いきや(二度目)、その骸骨をひたすら積み上げて塔にしているのでやっぱり狂気の人(かもしれない)。
まあ、感染者に囲まれながらずっとひとりで生活している人なので、ちっともおかしくないなんていうことはないんでしょうけど。
ケルソン医師が狂気の人であれ、多少まともな感覚を残している人であれ、スパイク少年が影響を受けたであろうことは間違いない。次作からどのようになっていくのか気になります。
ラストは賛否両論
それで、ちょっとね、賛否両論が出るとすれば、ラストの展開かなと思いますね。うん。
たぶん、だいたいの人が「どういう展開?」と思ったはず。重大なネタバレは控えたいので、詳細は省きますが、ここから対人間になっていくのかなと思う。アポカリプスな世界で怖いのはなにも感染者だけじゃないでしょって。
アレックス・ガーランドによる「シビル・ウォー アメリカ最後の日」とかもモロ人間怖い! って感じでしたもんね。個人的には「シビル・ウォー アメリカ最後の日」で出てきた一番怖い奴、赤サングラスみたいなのがいるんじゃないかと予想(根拠はない)。
「なんじゃこれは!?」となったラストでしたが、とりあえず次作を楽しみにしておきます。
映画「28年後…」が好きな人におすすめの作品
映画「28年後…」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ゾンビ(1978)
- ザ・デッド:インディア(2013)
- 新感染 ファイナル・エクスプレス(2016)
映画「28年後…」が観られる動画配信サービス
※記事執筆時点での情報です(2025年12月28日)。レンタル作品等も含まれます。最新情報はご自身で直接ご確認ください。
| Netflix | U-NEXT | Amazon Prime Video | Hulu | Ameba TV | FOD |
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まとめ:ロードムービー要素は少なめ
「28日後…」同様、本作にもロードムービー要素があるにはあるんですが、割合としては少なめでした。
でも、旅をする中で新たな出会いや別れがあるといった点は同じで、「28日後…」ファンとしては「これぞダニー・ボイル×アレックス・ガーランド!」となりましたよね。
かなり面白かったです。
Rotten Tomatoes
Tomatometer 89% Popcornmeter 63%
IMDb
6.6/10
Filmarks
3.7/5.0

