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映画「セーヌ川の水面の下に」あらすじ・感想|皮肉たっぷりで◎!トライアスロン大会間近のセーヌ川に巨大ザメ

セーヌ川の水面の下に_タイトル スリラー

フランス発のサメ映画です。

謎の巨大ザメが出現したり、過激派の環境活動家がいたりと、なかなか見ごたえのある作品でした。

というよりも、内容といい、公開のタイミングといい、仏映画らしい皮肉さたっぷりでかなり面白かったです(ただし、ツッコミどころもある)。

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ワンフレーズ紹介

みーんなペロリといっちゃうぞ☆

作品情報

タイトルセーヌ川の水面の下に
原題Sous la Seine
ジャンルスリラー、アクション
監督ザヴィエ・ジャン
上映時間104分
製作国フランス
製作年2024年
レイティング不明
個人的評価★★★★☆

あらすじ

長年、サメの調査を続けてきたソフィア。ある日、調査対象だったサメの「リリス」に、夫を含めたチームメンバーたちを殺されてしまう。以降、一線から退き、水族館で働いていたソフィアだったが、環境活動家のミカに「『リリス』がセーヌ川に迷い込んでいる」と聞かされる。さらに、そんなセーヌ川では、間もなくトライアスロンの国際大会が開かれようとしていた――。

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登場人物

(敬称略)

ソフィア(演:ベレニス・ベジョ)

長年、サメの進化について調査を行ってきた女性。アオザメの「リリス」に襲われ、夫含むチームメイトたちが命を落として以降、一線を退き、水族館で働いている。「セーヌ川に『リリス』が現れた」と伝えに来たミカによって、事態に巻き込まれていくことに。

アディル(演:ナシム・リエス)

水上警察のひとり。ソフィアにきつく当たる場面もあるが、ソフィアの過去を知ってからは、仲間として事態の収束に取り組む。元軍人。

ミカ(演:レア・レヴィアン)

環境活動家の女性。「リリス」をどうにかして海に帰すべく、SNSを駆使して市民に呼びかけを図る。

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仏映画らしい皮肉さ

もうね、本作のあらすじを観た瞬間に、思いましたよ。

仏映画らしい皮肉たっぷりぃ~! って。

もう、これだけで大爆笑をかっ攫っていく映画。

セーヌ川でトライアスロンの国際大会が開催されるだとか、セーヌ川の不発弾だとか、この内容の映画を(パリ)オリンピック開催約1カ月前に公開するだとか。

もはや「なんだコレー!(大爆笑)」となるしかない仏映画です。攻めに攻めまくっていますね!

個人的には、めちゃくちゃ好きなタイプのサメ映画でした。

ツッコミどころのある設定

とはいえ、細かいことを気にしなければ、という注釈を付けるべきかもしれませんね。

まあ、海にいるべきサメが川(淡水)に迷い込むという時点で「!?!?」なんですが……(確かオオメジロザメは淡水に侵入することも可能と聞いたことがある)。

そのあたりは「生態系が変化した」かららしい。

そして、生態系が変化した理由については、そこまで詳しく語られていなかったはず。見落としていたら申し訳ない。なので、この辺も「ふーん、そんなもんかあ」とスルーできる人は楽しめると思います。

幸か不幸か、私はサメにはそこまで詳しくないので、それなりにという感じで観られました。

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テーマは環境問題

数あるサメ映画の中でも、特に珍しいなと思ったのがここ。

環境問題をテーマにしている。

サメ映画の魅力って、サメが人にもたらす絶望感や小気味良く次から次へと人が「あーれー!」となっていくところだと思うんですけど、そうなると、必然的にポップコーンムービーに偏りがちなんですよね(※偏見です)。

もちろん、ポップコーンムービーも大好き!

でも、下手すると頭の悪いポップコーンムービーになりがちなサメ映画(まあ、実際それがまた良かったりもする)に、シリアスな社会問題をぶつけてくるのって結構勇気がいることだと思う。

そして、長年、サメの調査を続けてきたソフィアと、環境活動家のミカ。環境活動家ではあるけれども、ミカよりは中立――とまではいかないにしても、やや冷静なベン。

ひとくちに環境活動家といっても、人によって価値観や考えは違うんでしょうね。ミカは「過激派」という感じ。生物(の命)の平等を謳いながらも、どう見てもサメのほうを優先しているし。

環境活動家の言葉

環境活動家のミカは、作中でSNSを使って「みんな」に呼びかけます。

ミカの目的は環境を保護すること。その第一歩が「リリス」を殺させず、もといた場所に戻してやることだというのです。

……ああ、面倒くさい奴のにおいがするぅ!

アニマルパニックもので、動物と人間の共存は可能だニャン☆ とか言っている奴は、だいたい中盤~終盤あたりでポックリ逝きますし。

まあ、私もね、共存自体はある程度可能だと思うんですよ。でも、ミカの場合は「サメは無害だ」とか「サメは理由なく人を襲ったりしない」だとか、人間の傲慢さを煮詰めたような考え方をしているので、駄目なタイプの活動家でしたね。

そもそも、「サメは『理由なく』人を襲ったりしない」とは言うけれど、人間にその理由のすべてがわかるだなんて傲慢もいいところ。だいたい、人間同士だって、どんなに親しい人でも相手の行動理由なんて正確にはわかりやしないのにね。

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クソ・オブ・クソのパリ市長(※映画の中の話です)

映画「JAWS/ジョーズ」(1975)でもあった、市長との対立。

本作でもあります。

なんとなく、こちらの作品の市長のほうが地味に嫌な感じ。んでもって、現在のパリ市長がそうであるように、この作品の中でも女性のパリ市長にしているあたりが皮肉度が高い。ここまでくると、「すげえよ、アンタ……(拍手)」と賞賛を送ってしまいたくなるほどの皮肉っぷり!

「獰猛なサメがいるから、トライアスロン大会を今すぐ中止にしてくれ!」と抗議する水上警察とソフィアに対し、巨額をかけている国際的なスポーツ大会を今さらやめることはできないということで「頑張ってね!(人任せ)」と一言で済ませてしまうパリ市長。

ありがちといえばありがちで、もしかしたらちょっぴりリアルかもしれない展開ですね。だからこそ、とっても嫌な感じでした(褒め言葉)。

こういう「一般人に知らせる必要はないやろ」みたいな上層部の保身的な考えって、実は結構あるものなのかもしれないなと思ったり。そうすると、自分は明らかに「知らせる必要はない側」なので、なんとも言えない気持ちになりました。

ちなみに、本作でメガホンを取ったザヴィエ・ジャン監督曰く、

『ジョーズ』では、サメがもたらす危険に焦点が当てられていました。一方、本作では人間の貪欲さがもたらす危険を強調したかったのです。人間の貪欲さについて語ることは重要だと思います。

(引用元:『セーヌ川の水面の下に』監督が語る、ラストの意図とは?【ネタバレ】|The Hollywood Reporter Japan

とのこと。

市長然り、ミカ然り。

確かに「人間がこの行動を取らなきゃ……(被害はもっとマシだったかも)」負の連鎖が起きていたようにも感じます。

ド迫力のサメたち

あと、サメ映画としてやっぱり気になるのは、サメのビジュアル

正直、「リリス」自体は、気にならない程度ですが作り物めいた部分があったかなと。ドアップになると特に。

ただ、ソフィアたちの頭上をサメの大群がふぁーっと通過していく光景には、目を奪われましたね。薄暗く、赤っぽいライティングが禍々しさ(事態の異常さ)を表しているようで、かなり良かったです。

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映画「セーヌ川の水面の下に」が好きな人におすすめの作品

映画「セーヌ川の水面の下に」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。

まとめ:社会問題を織り込んだ珍しいサメ映画

サメ映画としては珍しく、しっかりきっちりシリアスな社会問題を盛り込んだ作品です。

仏映画らしい皮肉さもあり、かなり楽しめました。市長だけでなく、(過激派の)環境活動家との対立もあり、飽きずに最後まで観られました。

Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 63% AUDIENCE SCORE 31%
IMDb
5.2/10

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