シャーク・クルーズ [DVD]
Z級サメ映画。
思わず「やっちまったなぁ……!」と言いたくなりました。サメ映画の醍醐味を根こそぎそぎ落としたような作品でした。
とはいえ、個人的に良いと思えるカ所もあったので、だらだら感想を書いていきます。
本記事は2024年08月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
ワンフレーズ紹介
次から次へと現れる獰猛なサメからどう生き延びるか――。
作品情報
タイトル | シャーク・クルーズ |
原題 | Shark Waters |
ジャンル | スリラー |
監督 | ジェイドン・カル |
上映時間 | 85分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2022年 |
レイティング | 不明 |
個人的評価 | ★☆☆☆☆ |
あらすじ
陸で父親と別れ、釣りをするためにクルーズ船で沖に出たルシアたち一行。しかし、突然ホオジロザメに囲まれたことから、地獄のクルーズと化してしまうのだった――。
登場人物
(敬称略)
ルシア(演:メーガン・カラスキージョ)
一人っ子で、やや過保護気味の父親を持っている。
ホセ(演:ジム・フィッツパトリック)
ルシアの父親。愛娘から「サメに襲われた」とSOSの連絡が入り、救助に行くべく動き出す。
バニング(演:マイク・レイ・アンダーソン)
クルーズ船の船長。
シャトー(演:ジョナサン・ショアーズ)
一等航海士。曰く、無口な男で「聞き役」。
映画「シャーク・クルーズ」の感想
映画「シャーク・クルーズ」の感想です。うーん、なんとも評価(いや、評価というとおこがましいかもしれませんが)しづらい作品でした……。
ジャケットの女性
まず、どうしても触れておきたい点がひとつ。
……ジャケ写の女性、あれは誰?(笑)
いや、主人公のルシアだろうなというのは、格好的にもなんとなくわかるんですが。あまりにも雰囲気が違いすぎて「誰これ!?」ってなります。
こんな勇ましい感じの女性ではなかった……(それ自体は別にいいんですけどね)。
あとで口コミを見に行ったら、同じように思っている人がまあまあいて面白かったです。
サメのビジュアル
と、まあジャケ写のことはひとまず置いておいて、サメ映画を鑑賞するうえで気になるのが、サメのビジュアルですよね。
意外にも、このあたりはそう悪くなかったように思いました。
ただし、海の中の単体ビジュアルなら、という注釈を付けたいところ。人を襲うシーンになると、途端に粗すぎるCGになってしまうのがちょっぴり残念な感じがしましたね。
グロさゼロ
ジャケ写に違和感があるのも、サメのビジュアルが雑なのもB級サメ映画とかだとよくあることだと思うんですが、個人的に「えー!?」と思ったのが、グロさがほとんどなかったというところでした。
サメ映画なのに!? 人が喰われていくのに!?
なんなら、良質なグロさえあれば、ある程度満足できるまであるのに!?(私はですが)
人が喰われる描写はあるんですが、水の中に赤い絵の具(もしくは血糊)を流し込んだだけ……みたいな、不思議な描写になっていた。
観ている側としては「あ、やられたんだな」というのはわかるけど、それだけというのが正直な感想でした。
悪人ゼロ
本作の特徴として挙げられるのは、悪い人がひとりもいないということかなと思います。
例えば、最近注目されたサメ映画だと「セーヌ川の水面の下に」(2024)。主人公たちの忠告に耳を傾けないどころか、無責任な言動を繰り返すパリ市長がいましたね。
多くのサメ映画には、ここまで明確な悪役でなくても、サメに喰われても仕方ないと思えるような嫌な奴のひとりやふたり、いるものです。
そんな奴が喰われると「ザマァ!」とスカッとしたりして(酷い人間みたいだ……)。
なのに、本作に出てくるのはみーんなとっても良い人たちなので、普通に心が痛みます(笑)。自分だけ助かろうとする人とかもいない。
珍しいタイプのサメ映画と思えば、良いところでもあり。「ああああ、なぜこの人が……!」ともなるので、悪いところでもありました。
ワンパターンな襲われ方
あと、襲われ方もワンパターン。
水にバッシャーン! パクリ。
これだけ。
サメ映画の魅力って、次々に人が襲われていく(=人々がパニックになる)というのもそうなんだけど、そのバリエーションの多さにもあるわけで。
例えば、完全にネタ枠ではあるけど「ゴースト・シャーク」(2013)なんか、そのあたりはとても良かった。海からはもちろん、トイレから登場してみたり、水遊びの現場に登場してみたり。
「次はどうなるの!?」
というハラハラ感を楽しむのも醍醐味のひとつだと思うのに、本作はその辺、ちょっぴり物足りなかったかなという感じがしました。
お馬鹿さんな登場人物
とは、イコール……ルシアのパパンのこと。
いやあ、びっくりしちゃったね!
まさか「サメがいるの! 助けて、パパ!」という愛娘からのSOSに、無防備なボートで救出に向かうなんて。どう考えても、絶対駄目ですやん……。娘を助けたい気持ちはわかるけども……。
然るべき組織に連絡したのだから、どれだけ心配でも待つほかないよなあ、と思ってしまいますね(じっとしていられないという気持ちは痛いほどわかる、わかるんだけど!)。
ヒーロー的存在の不在
と、まあ、なんやかんや言ってきましたが、個人的に好きだと感じた点もあって。
それは、女性主演のサメ映画でよくあるヒーロー的存在がいなかったこと。
こう、ヒロインが追い詰められたときに(都合良く)助けてくれる、だいたい同世代あたりの男性(年上なこともある)。これがいなかったために、中途半端に恋愛要素が絡んでくることもなく、割とスッキリまとまっていた印象でしたね。
ルシアを頑張って励まそうとしてくれるおじちゃんたち、良い人だった。強いて言えば、おじちゃんたちがヒーロー。
無意味な長尺ゼリフ
また、「こ、これで終わりか……」と気を抜いていたラストに、思わず笑ってしまったこと。
救助に訪れたヘリのパイロットの長尺ゼリフ。
長尺ゼリフといっても、何分も何分も話し続けるわけではないんですが、それでもまあまあな長さで喋り続けるパイロット。通信相手の指令塔(かな?)の人もかなり良い笑顔。
一仕事終えたぜ……な表情を浮かべているふたりですが。
いや、この雰囲気出していいのは、作中活躍した人たちだけですからー!(ツッコミ)
と、思いもよらない場所でクスッと笑ってしまいました。でも、これは私だけかも……。
映画「シャーク・クルーズ」が好きな人におすすめの作品
映画「シャーク・クルーズ」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- ダブルヘッド・ジョーズ(2012)
- パニック・マーケット(2012)
- 海上48hours ―悪夢のバカンス―(2022)
- 海底47m 古代マヤの死の迷宮(2019)
まとめ:サメ映画を制覇したい人に
個人的には、あまり好きとは言えなかったZ級サメ映画……。
映画「ジョーズ」(1975)や「ディープ・ブルー」(1999)のような正統派のサメ映画が好きな人はもちろん、上で紹介した「ゴースト・シャーク」(2013)のように、ネタ枠でありながらも実験的な作品が好きな人にも、刺さるとは言いがたい内容だったのではないかと思います。
「どんな内容でも、サメ映画はサメ映画! 世の中にあるサメ映画は一通り履修しておきたい!」という人は、観てみるといいかもしれません。80分ちょっとと、映画としては割と短めですしね。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER ―% AUDIENCE SCORE 0%
IMDb
2.6/10