ロミオ&ジュリエット (字幕版)
劇作家ウィリアム・シェイクスピアの代表作といえば「ロミオとジュリエット」。
その「ロミオとジュリエット」が現代ver.として復活。レオナルド・ディカプリオ主演で、モンタギュー家とキャピュレット家の争いを描いています。
時代背景は変わっているものの、シナリオはほとんどそのままなのが◎!
本記事は2024年03月に執筆されました。すべての情報は執筆時点のものです。
作品情報
タイトル | ロミオ&ジュリエット |
原題 | Romeo + Juliet |
原作 | ロミオとジュリエット/ウィリアム・シェイクスピア著 |
ジャンル | ロマンス、ヒューマン |
監督 | バズ・ラーマン |
上映時間 | 120分 |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1996年 |
レイティング | PG-12 |
個人的評価 | ★★★☆☆ |
あらすじ
ヴェローナには、街を取り仕切る二大マフィアがいた。モンタギュー家とキャピュレット家である。ある時、パーティーで出会ったモンタギュー家のロミオと、キャピュレット家のジュリエット。別の女性に想いを寄せていたロミオだったが、親が決めた縁談を間近に控えていた若く美しいジュリエットに一目で惹かれて……。
▼DVD▼登場人物
(敬称略)
ロミオ(演:レオナルド・ディカプリオ)
モンタギュー家のひとり息子。ロザラインという女性に想いを寄せている。
ジュリエット(演:クレア・デインズ)
キャピュレット家に生まれた娘。親が決めた縁談を間近に控えている。
ティボルト(演:ジョン・レグイザモ)
ジュリエットの従兄弟。
マキューシオ(演:ハロルド・ペリノー)
ロミオの親友。
ロレンス神父(演:ピート・ポスルスウェイト)
ロミオとジュリエットのよき理解者であり、相談者。
バルサザー(演:ジェシー・ブラッドフォード)
ロミオの従者。
プリンス署長(演:ヴォンディ・カーティス=ホール)
警察署長。
映画「ロミオ&ジュリエット」の感想
映画「ロミオ&ジュリエット」の感想です。誰もが知る偉大な文豪ウィリアム・シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を現代版にした作品です。
監督はバズ・ラーマン氏
本作は「ムーラン・ルージュ」や「オーストラリア」、より最近だと「エルヴィス」などの映画を手掛けたバズ・ラーマン監督による作品です。
個人的にめちゃくちゃ好きな監督。
クラシックな題材を華やかな世界観に移し替えて演出するのが大得意な監督さん。
つまり……「ロミオとジュリエット」なんて得意中の得意な題材なんじゃないか!? と期待たっぷりで鑑賞しました。
結果は、まあ良かった……かな?
バズ・ラーマン監督らしさが十分に反映されていて、美しくも儚い雰囲気がとても好きでした。なんといっても、キャスティングが見事だったと言うほかありません。
とにかく素晴らしいレオ様のビジュアル
本作「ロミオ&ジュリエット」でロミオを演じたのは、誰もがしる人気俳優レオナルド・ディカプリオ氏。
かの有名な「タイタニック」が1997年製作の作品なので、1996年に作られた本作のほうがちょっとばかり早く世に出た映画ということですね。
なんといっても、この作品におけるレオ様のビジュアルが途轍もなく良い。
チャラいレオ様。一途なレオ様。プライドをかなぐり捨て、愛のため必死に駆け回るレオ様。
普通に考えれば好青年とは言い難い、いけ好かない男であるはずのキャラクターなのに、レオ様が演じると「これは……騙されてもいい……」という気持ちになるから不思議です(ドキドキ)。
大好きな俳優ジェシー・ブラッドフォード
これはかなり個人的な(感情的な)感想なんですけれども。
ジェシー・ブラッドフォードが大好きだっ!
単純に、顔が個人的にものすごく好みという(もちろん演技もね)。
ジェシー・ブラッドフォードの存在を初めて知ったのはペイトン・リード監督の「チアーズ!」を観た時。「ジュマンジ」や「スパイダーマン」にも出ていたキルスティン・ダンストの相手役として登場しました。
この時にビビッと来て一目惚れをしたんですけれども、その後「ロミオ&ジュリエット」を観て、メインキャラではないものの「ジェシーが出てる!」と大興奮しましたね。
両者共に(劇場でなく)あとあとDVDで観たので、個人的には「チアーズ!」に高校生役として出ていたジェシーが「ロミオ&ジュリエット」でチンピラを演じているのに違和感を覚えたり、作られた年がそう変わらないことに衝撃を受けたり。
とにかく、ジェシー・ブラッドフォードが出ているだけで観る価値はあるというものです。
オチがわかっているからこその始まり
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」といえば、誰もが知る話ですよね。
ああ、ロミオ。あなたはどうしてロミオなの……! と。
古典文学に興味がない人ですら、ある程度のストーリーは知っているはず。同時に、これが悲劇であることも。
ということは、原作に忠実である限り、この作品だって結局は悲劇になるわけです。つまりオチが大事な「悲劇」で、オチが露見している状態から始まる作品。
これって映画作品としては結構不利な状態。
悲劇において「これからどうなるんだろう?」という観客の不安を煽るのは重要なことだったりしますからね。ロミオとジュリエットの悲恋だということは周知の事実。
それがわかっているだけに、どう「楽しめる悲恋」に持っていくのか……。
しかし、バズ・ラーマン監督はそこを逆手に取っていました。
初手「家同士の不和によって生じた恋人(ロミオとジュリエット)の悲劇」がニュースとして流れます。おそらくほとんどの人はオチがわかったうえで観ているでしょうから、ここでバラしてもネタバレにはならないわけですね。
ニュースの裏に隠されたストーリーはあるけれども、この二人の物語は運命でも崇高なものでもない、ほんの数行で語れてしまうような俗なものであるという印象を抱きました。
(特に英語で)詩的な言い回し
現代版「ロミオとジュリエット」であるはずの本作ですが、それにしては詩的な言い回しが目立っていました。
「Thou/Thee(汝、そなた)」とか「’Tis(=It isの略)」とか。
私は基本的に字幕なしで英語のまま観ることが多いんですけれども、これはどうにも無理だった。古語、難しい……。
高校時代、授業の一環でシェイクスピアの作品を学び、辞書片手にうんうん唸りながら徹夜した苦い記憶が蘇ってきました。
ただ、やっぱり美しくは感じましたね。
美しいロミオとジュリエットの世界観
対立した二つの家。どうにもならない環境……。
二人だけの世界。
二人を邪魔する人たちや要因はたくさんあるはずなのに、なぜか二人の世界感がとても強かったです。
それはたぶん、二人の恋愛を物理的に阻んでくるのは実質ジュリエット父だけで、あとは精神的に拘束されている感じで展開するからでしょうね。
これまでの経験や周囲の反応を窺って、「二人の関係は祝福されるものではない」と思い込んでいるような。
まあ、実際、それは思い込みなどではないんですけれども、この要素が二人の「狭い世界」を作り出していて、とても良い役割を果たしているんですよね。
なるべくしてなったラスト(恋に生きた二人)
これに関してはこの作品がというより、まあ原作もそうなんですが。
ロミオとジュリエットの悲劇については、なるべくしてなったという感じがします。
二人ともまだ若く、未熟で、それがゆえに暴走してしまった結果。
この二人がもう少し成熟した大人であったなら……また別のやり方があっただろうし、見ようによっては喜劇にさえ感じられる「そんなことある?」と思えるようなすれ違いなど起きなかったでしょう。
恋に生きた二人。
一時の感情で暴走する二人ですから、生き残っていてもうまくいったかは……というような気がします。
両家の不和解消のためだけの存在
冒頭のニュースでも、二人の悲恋は両家の不和を解消するものとして報じられていました。
たったそれだけの話。
美談にもなっていないし、ひとつのニュースとして埋もれていく物語でしかない。結局、二人の燃え盛るような恋はなにものにもなれなかったということでしょう。
言ってみたら「若さゆえの……」程度の話。
周囲の人に傷は残したでしょうが、あの二つの家だって、表面上和解したように見せても、実際はどうなることやら。だって、お互いに命を奪い合ったあとですから。
しかも、両者跡取りを失うという痛手を負っている。
このあとは意外と表面上は仲良く、水面下で対立みたいな構図が出来てもおかしくありませんね。
ちなみにアメリカでは、この「その後」を描いた「Still Star-Crossed」というドラマが作られたとか(視聴率は悪かったらしい)。
映画「ロミオ&ジュリエット」が好きな人におすすめの作品
映画「ロミオ&ジュリエット」が好きな人には、以下の作品もおすすめです。
- 華麗なるギャッツビー(2013)
- ウエスト・サイド・ストーリー(2021)
- ロザライン(2022)
- 真夏の夜の夢(1999)
まとめ:ロミジュリ現代版の良さ
正直、あえて現代版にした良さは微妙に損なわれていたような気がします……が。
なによりもレオ様のビジュが最高に良い。
それに、ニュースから始まる冒頭も。バズ・ラーマン監督らしい素朴ながらも儚く美しい華やかな演出が光っていました。
ちなみにジュリエットを演じたクレア・デインズ、撮影時は未成年(16歳)だったらしい。初々しくも情熱的な演技は素晴らしいものでした。
Rotten Tomatoes
TOMATOMETER 74% AUDIENCE SCORE 77%
IMDb
6.7/10