「モナリザ」といえば、かの有名な芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチが遺した謎多き美女の油彩画を思い浮かべる人がほとんどかと思います。
でも、本記事で取り上げたいのは「北方のモナリザ」とも称される「真珠の耳飾りの少女」という作品について。

「青いターバンの少女」「青いターバンを巻いた少女」とも呼ばれているよ!
作品を通してどことなくただよってくる神秘的で儚げな雰囲気に注目です。
ヨハネス・フェルメールという画家

本記事を執筆するにあたり、名言しておかなければならないことがひとつ……わたしは、フェルメール……やレンブラント、まあ、うん、あのあたりと申しますか、ああいったタッチの芸術家の大ファン! です!(学生時、芸術を専門にしていた時期あり)
そういったことを踏まえたうえで、まずはヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)について簡単に説明します。
ヨハネス・フェルメールは17世紀に活動していたオランダのデルフト出身の画家です。

デルフト焼き
オランダのデルフトといえば、上記のような青が特徴のデルフト焼き(Delftware)が有名ですね。実はこのデルフト焼き、フェルメールの作品の中にもこっそり登場します。隠れミッキー的な感じで探してみると楽しいかも?
いまやその地位を確立しているフェルメールですが、作品数は35点ほどとやや少なめ(正確な点数は未確定)。そんなフェルメールの代表作ともいえるのが、映画「真珠の耳飾りの少女」のモチーフになった作品なんですね。
フェルメール自身のことを語ろうと思うと1晩でも2晩でも続きそうなので、それはまた別の機会に。
作品情報
- 作品名:真珠の耳飾りの少女(原題:Girl with a Pearl Earring)
- 上映時間:1時間40分
- ジャンル:ヒューマンドラマ/ロマンス
- 製作国:イギリス/ルクセンブルク
- 公開年:2003年
あらすじ
1665年オランダ。失明した父の代わりに家計を支えるため、画家フェルメール(コリン・ファース)の家で使用人として働くことになった17歳の少女グリート(スカーレット・ヨハンソン)。やがて、その美的センスをフェルメールに認められた彼女は、彼の手伝いをし始める。
(引用元:シネマトゥデイ「真珠の耳飾りの少女」)
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こんな人におすすめ!
- 芸術(特に絵画)に隠されたバックグラウンドストーリーに思いを馳せるのが好き
- 映画はなんといっても芸術的でなくちゃ!
- フェルメールってどんな人なの? 気になる~!
- 官能的な雰囲気にある種の美や神秘性を感じる
スタッフ・キャスト
- 監督:
– ピーター・ウェーバー(Peter Webber) - 原作:
– トレイシー・シュヴァリエ(Tracy Chevalier) - キャスト:
– スカーレット・ヨハンソン(Scarlett Johansson)⇒ グリート(Griet)役
– コリン・ファース(Colin Firth)⇒ ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)役
– トム・ウィルキンソン(Tom Wilkinson)⇒ ファン・ライフェン(Van Ruijven)役
– キリアン・マーフィー(Cillian Murphy)⇒ ピーター(Peter)役
– エシー・デイヴィス(Essie Davis)⇒ カタリーナ(Catharina)役
– ジュディ・パーフィット(Judy Parfitt)⇒ マーリア(Maria)役
「真珠の耳飾りの少女」を観た感想
内容はもちろんのこと、映像美を楽しみたい人に特におすすめしたい作品です。
実際にあったかもと思わせる緻密な物語設定
オランダの画家、フェルメールの代表作のひとつ「真珠の耳飾りの少女(Girl with a pearl earring)」は実在する絵画ですが、物語の内容自体はフィクション。にもかかわらず、その内容展開も登場人物たちもすべからく細かく設定されています。
下女としてフェルメールの家に入るグリートと、才能はあるが売れない画家フェルメール、嫉妬深い夫人カタリーナ、グリートに好意を寄せるピーター。
謎多き画家として有名なフェルメールのことなので、その人物像がどこまで正しいのかは不明なところですが、自画像がほとんど残されていない(といっても、現存の作品は35点ほどしかない)彼のことです。寡黙で絵画に一途――といったところは、もしかしたらそのとおりだったのかもしれません。
なお、「取り持ち女」という作品に出てくる男性が唯一フェルメールではないかと囁かれています。
プラトニックなのに官能的
フェルメールとの間に愛があるかないかはともかくとして、フェルメールのほどよいエロス感とまだ何も知らない真っ白なグリートの純真無垢さが、プラトニックな関係の中になんともいえない官能的な雰囲気を醸し出しています。
ただの奉公先の主人と下女、あるいは画家とモデルでしかないのに、そこはかとなくなまめかしい空気がただよっているのがすごい。絵でつながった2人の一挙一動を見ているだけでドキドキします。
フェルメールの顔出しは果たして……
コリン・ファースは間違いなくイギリスを代表する名優といえるでしょう。
ただ、本音を言えば……。

フェルメール役にしてほしくなかった……!
これが正直なところ。
というのも、先述のとおり、フェルメールはあまり多くの自画像を残していません。残っているにしても、「取り持ち女」に描かれている左端の男性が「もしかしたらフェルメールでは?」程度です。つまりそれは顔を想像(妄想)する余地が残っているということ……!
できることなら、フェルメール役は出さない――あるいは、顔がわからないようカメラワークでうまく誤魔化してほしかったかなという感じでした。

これだとフェルメールの顔がコリン・ファースのイメージになっちゃうよう……。
とはいえ主人公がグリートであるのは◎
ただ、主人公をフェルメールでなくグリートにしたという部分に関しては「物語そのものはあくまでもフィクションですよ!」ということがわかって良かったかなと思います。
実のところ、「真珠の耳飾りの少女」で描かれている少女はあまりに理想的すぎるため実在しなかったのでは、という説があるほどですが、スカーレット・ヨハンソンほどの美貌の持ち主なら文句なしですね。
スカーレット・ヨハンソンはただの天才
本作にてわかること。
スカーレット・ヨハンソンはただの天才である――ということ。
「真珠の耳飾りの少女」の撮影が行われた当時、スカーレット・ヨハンソンは弱冠19歳でした。少女から女性になる、未熟ながらもどこか大人びたセクシーな表情や仕草が様になっています。
時折訪れる既視感に感動
本作を観る前に、一度でいいからまずフェルメールの作品を網羅しておくことをおすすめします。と、いうのも、作中にフェルメールの作品そのものの風景やその背景に似た光景が出てくるからです。

あっ、この風景、なんだか見覚えあるなあ!
なんて、既視感を覚えるシーンも多々あります。実に忠実に作り込まれていて、既視感を覚えるたびにドキドキワクワクですよ!
映像美は間違いなくナンバーワン
本作において、なによりもまず注目したいのはその映像美。
物語性もさることながら、映像美を楽しみたい人におすすめしたい作品のひとつでもあります。
なにと比べて……と言えないほど、すごい。フェルメールの作品の中に飛び込んだような、とも言えるし、逆にフェルメールの作品が目の前で動き出した、とも言える、デルフトの穏やかで涼やかな美しさがひしひしと伝わってくるのです。
フェルメールといったら……青!

フェルメールといったら、フェルメール・ブルー!
「真珠の耳飾りの少女」をはじめ、フェルメールが遺した多くの作品には、神秘的な青色が使われています。これはラピスラズリという鉱石を原料として作られた色。ここではフェルメール・ブルーと言いますが、正式名称は「ウルトラマリン・ブルー」です。
この青色はフェルメール作品の特徴のひとつ。使い方が本当にうまいんですよね。人によっては冷たくも感じられる青色ですが、フェルメールの目にはこのように見えていたのでしょうか。
そんな特別な青を思わせるシーンが作中でも幾度か登場しますので、ぜひチェックしてみてください!
こってこての英映画!
本作は、典型的なイギリス映画といえます。そのため、アメリカ映画により親しみを持つ日本人にとってはもしかすると、若干の好き嫌いに分かれるかもしれません。
でも「とにかく美しいものが好き!」という人にはおすすめですので、一度観てみてくださいね。オランダまで足を運ぶときには、デルフトでフェルメールめぐり、なんていうのも楽しそうです。
※本記事の情報は2020年11月時点のものです。

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